部下指導に悩む先輩サラリーマンを応援📣【分からないのに聞いてこない】後輩がいる理由
34歳の男性サラリーマンさんの相談です。
若手の指導役をやっているのですが、どうしていいか分からないです。
「分からない」ときは何でも聞いてくれと言ってあるし、聞きやすい人間関係になるように雑談をしたり、距離を縮めるよう工夫を重ねているにもかかわらず、「分からない」まま自己流で判断してやって失敗しています。
普段はプライベートな話をしてくれたりしているので、「怖いから聞けない」という存在ではないはずです。なんで聞いて確認してくれないのでしょう。失敗の後から立て直すのは手間がかかるし苦労も多いので、やる前に確認してくれればいいのにと思うのですが、どうにもなりません💦
【聞いてこない新人】の謎
相談者さんのような悩みは、多かれ少なかれ先輩社員のみなさんなら経験があるのではないでしょうか。
なぜ分からないのにそのままやってしまうのか?
と思いますよね。「謎」だ、、、と。
実は、新人の立場から考えると、何がわからないかがわかっていないことが多いです。疑問にすら思わない。だから聞かなくちゃ、確認しなくちゃという気持ちにもならないのです。
【やらせてみて学ばせる】時間がない現状
変化の激しい時代にあって、しかもリモートワーク。
席を並べて仕事をしていれば、「ちょっとやってみて」とやらせてみて、その様子を逐一、確認しながら適切なアドバイスをすることもできるでしょうが、いまは、それがなかなか出来ません。
こうなると、最初に全てのやり方を伝えておく必要があります。
そして、社会が目まぐるしく変わっているので、先輩にとっても、自分が新人時代にやった方法が、現在ベストかどうかは分かりません。
想像しながら、アジャストしながら、何も経験がないまっさらな相手に伝えなくてはならないという、かなりハイレベルなタスクを背負うことになります。
そのために、先輩側が努力しなくてはならない【絶対に必要なこと】があります。
これは「やってみせる」以上に、ひょっとしたら難しい、、、それは「言葉にして伝える」ことです。
【言葉で伝える】難しさ
共通の経験がある人に対して、言葉で表現するのは、まだ容易です。
でも新人社員と先輩の間には、その職務の共通の経験がゼロ。
新人の方も、生まれてこのかた、一回も経験したことがないもの、見たこともないものを、言葉で理解して、自分でできるようにならなくてはなりません。
両者を繋ぐのは、【言葉】だけです。
この【言葉】による「事前説明」が細かく、的確に行われていないと、何が重要なポイントか、どこでどのような注意や配慮が必要なのか、ということが、新人さんには伝わらないのです。
先輩社員は、普段、無意識にやれていることを言葉にするという「ハイレベルなタスク」を課されることになります。
指導社員に選ばれるような先輩は、大抵、優秀ですよね。
そんな人ほど、あまり考えたり悩んだりすることなく、直観的に、自分ではスルッとできちゃっている職務が多い傾向があります。
「指導」には、自分ではスルッとできていることを、一旦、立ち止まって、客観的にふりかえり、【全て言語化する】という作業が必要になってきます。
例えば、想像してみてください。
朝起きて、顔を洗って歯磨きをして朝食をとるのは、多くのサラリーマンさんにとって、「半自動行動」になっているのではないでしょうか。つまり、ほぼ「無意識」でできているルーティン行動ですね。
これを、改めて客観視して「分解」してください。外すとダメなポイント、ある程度、変えても大丈夫なポイントが混在していると思います。それも含めて、やったことがない人がイメージできるように言語化してみましょう。
難しいですよね💦
どこまで分解すればいいの?
キリがないんだけど、、、、
という声が聞こえてきそうです。
料理のレシピのようなイメージで考えると良いかもしれません。
作ったことがないメニューに挑戦するとき、わたしたちはレシピを頼りに進めていきます。良いレシピと、イマイチなレシピでは何がちがうのでしょう。
外してはマズいポイントがわかりやすく明瞭に書かれているか、長すぎないか、今はまだ知らなくてもどうにかなる「詳細」「上級者情報」と、外してはマズい基礎情報が、分けて表現されているか。
一つ一つ、やったことがない人ができるように順序立てて、書いてあるレシピはとっても人気があります。失敗しやすいポイントが分かりやすくなっています。
実は、簡単そうに見えて、とても難しい作業ですね。
それが、【言語化する】という作業です。
自分では「これなら分かるだろう」と感じるレベルで作業手順を示してみても、分からない人がみたら十分かどうかは分かりません。
良い説明を作りあげるには、一旦つくった手順書や、説明を、誰か別の人に試してみることです。
「これで、分かる?」
そう聞いてみましょう。
相手側に質問したいことが残ったり、
ここがわかりにくかった、というような反応がもらえるはずです。
それを元に修正・改訂していくのです。
テレビ局で長年、勤務してきたわたしの周りには、言葉で伝えることを生業にしているアナウンサーという職の人間がたくさんいます。
毎日、生放送でしゃべっているベテランでも、実は、普段から「こういう言い方で、誤解する人はいないだろうか」「この表現で伝わるかな」と、言葉を選び直したり、身近な人に聞いてもらってフィードバックをもらっては修正したりと、あくなき努力を重ねています。
伝えるプロでも、日々のフィードバックによる修正・改訂が欠かせないのですね。
【言葉で人に伝える】というのは、本当に奥が深くて難しい作業です。
「なんでも聞いてね」という先輩社員さんの愛情は、とても素晴らしいものですが、質問ができるようになるには、長い前段階があります。
「聞いてね」と言われても聞いてこないで、自己流でやって失敗してしまうという新人さんにとっては、まずは、丁寧なレシピの提示が必要なのかもしれません。何が分からないかが、まだ分からない。
ともにオフィスにいて、目の前でやってみせる指導ができない今こそ、自分にとっての「普通そうでしょ」「みんなそうやってるでしょ」という【あたり前】を、人に伝えるための【言語化】が必要です。
面倒で嫌だーーーと思うかもしれませんね💦
ただ、自分が普通にできていることを、一旦、客観視して人がわかるように言語化できることは、自分のためにもなるんです。
惰性でやっていた作業の無駄を発見できます。
同じスキームを他のことに応用できることに気付いたりもします。
雰囲気で動いている中には、無駄や宝が混在しているものです。言語化の作業を通して、自分の効率アップや、思わぬ業務改善の発見に繋がることは、少なくありません。
そして新人さんも、一旦、言語化された指示を理解して、実際の業務を体験すると、どこが自分に足りないスキルなのか、何ができないから失敗したのか、とても明確にしやすくなります。
これによって、先輩から見れば、かなり指導しやすくなるということですね。
リモート下での部下育成は、本当に骨の折れる仕事だと思います。
でも、自分自身もいつもとちがう成長のチャンスと思って、どうか無理し過ぎないでやってみてください。応援📣しています。
大澤 弘子
日テレHR代表/企業の人材育成を支援しています。
サラリーマン応援📣ライフコーチ
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なかなかの男性社会で30年働いてきたテレビマンが、コーチングやカウンセリングで「自分らしく生きる」を支援中。限定少数しか出来ませんが小学生からシニアまで。