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【短歌】ポップコーン

水源の暗い光はいつまでもポップコーンの夢を見ている

半額のカレーライスが辛いのはこの世の果ての最後の砦

本当は環状線を走りたい新幹線は目を閉じている

どうしても手に入れたくてハイジャンプきりんの首が届かない星

ひまわりに訪れている高齢化曲がった腰で名月を観る

理不尽で分かち合えない悔しさは若草山に沈んでいった

豚肉をどれほど深く知っている? わからないから食べてしまえ

若干はどれぐらいの量この両手広げてもまだ足りそうにない

漱石が歩いた道がいつの間にスマートフォンから消えたのだろう

二人には決定的な「あれ」がある漢和辞典が拒んだ単語

長風呂で作り笑顔の作り置きこの仮面なら騙せるでしょう

星空を半分覆い隠したら君のこころにだいぶ似てきた

誰からも信じられない真実を酒のつまみに二分の一人

この恋は続け永遠の二両編成都会に出たらかなわなかった

今よりも二人の心つなぐためメールを通貨にするのをやめよう


 短歌を詠み始めた頃は、言葉をぎちぎちに詰め込んで窮屈になっていました。そのうちだんだん言葉が間引かれていくんですよね。「リズムが決まっているとはこういうことか」という感覚になってきます。

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清水らくは
大変感謝です!