落語ラン vol.5 「堀之内ラン」
粗忽者が出てくる噺は落語に結構ありますね。「堀之内」も原型がどんなものか分かりづらいくらい、おっちょこちょいなエピソードをオムニバスに集めたような噺です。何しろ主人公は汽車の線路を帯と間違えて拾おうとします。
「あれ?こんなところに帯が…。欲しかったんだよな、前から…。重たいね…、随分…。」「うわーー!汽車のレールじゃねぇか!轢かれるところだった…。」
これって粗忽??と思わないこともないですが、まぁそんな事もあるかも知れないな!とか、そーそー、俺もこの前思わずメトロの線路を…、というのが正しい落語の楽しみ方なのかも知れませんね。そもそも汽車が出て来ますし、この落語は比較的新しいものでしょうね。
あらすじ
【神田三河町】の熊五郎は、生来の粗忽者。女房に促されて「神信心」でそそっかしいのを直そうと【堀之内のお祖師様(おそっさま)】に行くことに。ところが、朝起きてみると今日行くところも女房の顔すら忘れている。すったもんだして、ようやく弁当を風呂敷に包んで家を出る。歩いていく事にしたが、道が分からないので、人に聞き、それを何度か繰り返していると自分の家に着いてしまう。再出発して道を尋ねると「この道真っすぐ行って【鍋屋横丁】を左に曲がるとお祖師様に出る」と聞くが、立派な帯が落ちていると思い、拾おうとすると汽車のレールで、危うく轢かれそうになる。そして、ようやくお祖師様に着いたが…。
ランニングコース
神田三河町→甲州街道→内藤新宿→青梅街道→鍋屋横丁→堀之内のお祖師様
神田三河町
家康公入府の折に帯同した三河の下級武士が移り住んだのが三河町ですね。今でいう美土代町、司町界隈だと思います。落語では、火事息子の伊勢屋が三河町にあったとされています。古地図を見ると、鎌倉河岸の手前まで、今のヴィラフォンテーヌやアパホテルの辺りも三河町ですね。ひとまず、美土代町のMidStand Tokyoをスタートして暫く行くと、東京電機大学跡地にオープンした神田スクエアがあります。向かいが竹橋スクエアとややこしい。新宿方面に先を急ぎましょう。
内藤新宿
甲州街道を西に向かうと、内藤新宿に到着します。本厄の厄払いにお祖師様に行くというのは一つのエンターテインメントで、日帰りで行くというよりは、内藤新宿で一泊して、というのが多かったようですね。内藤新宿までがちょうど6キロくらいです。青梅街道で更に西へ。
鍋屋横丁
落語にも出てくるように青梅街道を進むと、「鍋屋横丁」が出て来ます。落語の通りこれを左に行き、最初の信号を右に曲がって環七にぶつかるまでひたすら走ります。途中には謎の「ホルスタイン会館」「女子美大」など。ちょうど中野区と杉並区の区境の辺りです。
お祖師様
環七通りを超えると「お祖師様=日圓山妙法寺」が現れます。とにかく立派の一言に尽きます。いわれは、日蓮上人が伊豆に流された際、弟子が日蓮上人の姿を丹精込めて彫刻していたところ、42歳の時に厄が解けて帰り着き、仏像を厄除け祖師像として安置したということです。中には有吉佐和子さんの碑もあります(ご近所に住まわれていたようです)。
ところで、江戸時代に宗教的プロパガンダがどのくらいあったか良く分かりませんが、落語には良く法華の噺は出て来ますね。そもそも「鰍沢」と「刀屋(おせつ徳三郎)」はサゲが全く一緒ですし。「小言幸兵衛」でも面白おかしく扱われています。「甲府い」でも身延山が出て来ます。
マップ
https://www.mapion.co.jp/m2/route/35.6921494017297,139.76734759280814,16/aid=3352e2/
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