江戸時代の高級ホテル@塩尻宿 11 楽園探訪家の楽園図鑑 2020年7月10日 20:01 江戸時代の高級旅籠が、ほぼそのままの姿で見れるのが、ここ。長野県篠尻宿の小野家住宅。 外観は、立派ながら、普通の町家。天保期の建築なので、間もまく200年になります。中には上の写真みたいな「桜の間」をはじめ、素敵な内装の部屋が複数あって旅人を待っています。 入ってすぐのミセのスペースには、魔除の鍾馗がでっかく襖に描かれています。 屋号は、銀杏屋。古い看板と、銀杏をあしらったマークが味わい深い。 簾に透かし細工で、銀杏が浮かび上がっているのが、分かりますか?江戸期の手業。 ディテールではこうした手の込んだ細工をして、しゃれた効果を生んでいるのに驚きました。 家人の方が、提灯の収納箱から、折り畳み提灯を出して説明してくれました。各部屋も丁寧にご案内いただきました。今も、この家に実際に住みながら、電話予約を受け付けて、土曜日に限定して公開をされているそうです。暮らすには不便であろう、相続文化遺産を壊すことなく、修復して守りながら住み続け、さらに公開までもしてしまう。その心意気に頭が下がります。 白眉は、やはり2階の「桜の間」。あまりに感動したので、もう一度写真をあげておきます。宿泊した人は、満開の桜に包まれながら、どんな季節でも春に思いを馳せることができたでしょう。 床柱にはこんな遊びも。 「鶴の間」です。 富士と三保の松原が、部屋の壁に広がります。鶴がこちらから、飛んできて、床の横に降り立つ 「鹿の間」です。ここは紅葉も描かれて、秋を感じさせてくれます。床の壁をよくよく見ると。 ここにも、紅葉が。 一番奥の「竹の間」。墨で描かれた、竹と雀で、囲まれます。 屋根裏っぽいスペースの「梅の間」。ここも墨で勢いよく描かれた梅がすてきです。 「梅の間」の窓から見える屋根は、板葺きで、石が置かれた、古い形式が再現されていました。 江戸時代にタイムスリップできるスペースです。たくさんの人が押しかけすぎても困ってしまわれると思いますが、もう少しこんな楽しい場所が残っていることは知られても良いように感じます。 お庭の奥には、隠居所的な蔵屋敷もありました。宿の名前を象徴する銀杏の古木も。とにかく天保期に宿泊客のためにワクワクしながら建てた人の気持ちが、伝わってくる、楽しい建物でした。末永く大事にお暮しください。 いいなと思ったら応援しよう! チップで応援する この記事が参加している募集 #一度は行きたいあの場所 57,524件 #一度は行きたいあの場所 #ホテル #長野 #旅館 #日本画 #高級ホテル #マイクロツーリズム #宿場町 #塩尻 #町家 #日本建築 #襖絵 #旅籠 #塩尻宿 11