里山は静まり返る
秋の花たちは冷たい風を受け
時間がとまっているかのように
静まり返る里山
キジが2回ケーンケーンと鳴く
そして
思いついたように突然飛び立つ
稲刈りの終わった田んぼの畔には
ミゾソバ、イヌタデ、センダン草などが
まだ粘り強く咲いている
ミゾソバのつぼみの色が
濃いピンクに染まっている
そっと持ち帰って生けてみる
どんな色に咲くのだろう
つぼみはじっと固く口を結んだまま
けっして開かなかった
山里は静まり返り
秋が深まるのをじっと待っている
燃え尽きる直前の蝋燭の灯ように
やがて鮮やかに色づき
ゆっくり落ちてゆく
そして山は
真っ白な世界に包まれてゆく