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IT企業研修の講師が教える、三日坊主を卒業する脳科学的アプローチ

「今度こそ続けるぞ!」と意気込んだものの、三日坊主で終わってしまう…そんな経験、誰しも一度はありますよね?

わたしは長年、一部上場企業に出向いて、IT技術研修の講師をしているのですが、新しいスキルを学ぶ際、特にプログラミングのような分野で、三日坊主の壁にぶつかる方に数多く出会ってきました。

今日は、25年以上の社会人教育の経験と、最新の脳科学の研究から見えてきた「三日坊主を卒業する方法」についてお話しします。


三日坊主の本当の理由:脳の「省エネ本能」との戦い

三日坊主になってしまう理由、それは「脳の省エネ機能」にあります。現代人はなんと、1日に約35,000回もの意思決定をしているといわれています。

  • 意思決定の具体的な内訳

    • 仕事関連:約15,000回

    • 生活習慣関連:約12,000回

    • 人間関係関連:約8,000回

その負担を減らすために、脳はできるだけ「エネルギーを消費しない」ように、新しい行動よりも「いつもの習慣」を優先させる傾向があります。

例えば、お気に入りのソファに腰を下ろしたら、昨日習った簡単なストレッチを始めるよりも、スマホを手に取りたくなる…これが脳の選択です。この「エネルギー節約モード」が三日坊主の正体と言えます。

  • 脳のエネルギー消費量

    • 新しい行動:通常の2.3倍のブドウ糖を消費

    • 習慣化された行動:基礎代謝の40%程度

新しいことを始めるためには、この脳の本能をまず理解し、うまく騙しながら習慣化へ導かなければなりません。(そもそも、ソファに腰を下ろす時点で節約モードに入ってますね)

最初の3日間が重要な理由:脳の「お試し期間」を攻略せよ

新しい行動を始める最初の3日間、脳はその行動を評価しています。これをわたしは「お試し期間」と呼んでいます。

例えばあなたが、新しいアプリをインストールした後、何度か使ってみて「これは使えそう🎵」「これは使えないかも...」といった評価をしますよね。脳も、あなたが新しい行動を始めると「有益かどうか」を神経伝達物質の分泌パターンなどからチェックします。

また、この3日間で短期記憶から長期記憶へ転換され、今後「継続できるかどうか」を次のような基準で判断します。

  • 主な評価基準

    • 報酬系の活性化度

    • ストレス耐性の形成度

    • 実行可能性の判断指標

このチェック期間を乗り越えることが、三日坊主を卒業する第一歩です!

三日坊主卒業のための3つのアプローチ

では、具体的に三日坊主を卒業する3つのアプローチをご紹介します。

1. 21日ルールを「細分化」する

多くの人が「21日間続ければ新しい習慣が身につく」と言っています。わたしも体感的には「そう思う」のですが、科学的根拠はないようです。

大切なのはその21日間を細分化すること。やみくもに21日頑張るのではなく、例えば3日を1セットとして7回繰り返すと考えます。

3日×7セットで分割する例

  • 最初の3日:ただ「やる」だけの、基礎固め期間。脳に習慣を体験させます。ポイントは、ベイビーステップ(最小実行単位)にすることと、時間を決めることです。後は何も考えず、とにかくやる。

  • 次の3日:やり方を「変えてみる」、改善期間。無駄なことや邪魔になるもの取り除くなど、プラスすることよりマイナスすることにフォーカスると改善しやすいです。

  • その次の3日:効率を「高める」、習慣化期間。スムーズに出来るようになると、エネルギー消費量が減る(前述の通り)ので習慣化しやすくなります。今度は自動化するためのツールを使うなど、プラス要素を検討してみましょう。

  • 最初に戻って繰り返す

これはあくまで例ですが、3日間ごとに小さな目標を設定することで、1日ごとに達成感を得ながら継続できます。新入社員研修でもよく使うんですが、新しいツールやプログラミング言語を習得する際、学びを習慣化するために非常に効果的な方法です。

2. 習慣の「前後」を活用する

脳科学では「実行意図」というテクニックがあります。「ある行動の直後に別の行動を紐付ける」ことで、脳がその行動を無意識のうちに促します。

これは、神経学的な連鎖反応の活用で、ドーパミン分泌のタイミングを制御することで、報酬系を効果的に活用することができるのです。

あなたがすでに日常的にやっていること、例えば「歯磨き」は毎日しますよね?「歯磨きを始めたら、スクワットする」のように、「〇〇したら△△する」と決めておくと、脳が自動的にその行動を取るようになります。

実行意図の例:

  • 「お菓子を食べたくなったら、コップ一杯の水を飲む」

  • 「机に座ったら、まずメールチェックと返信をする」

  • 「夜10時になったらスマホの電源を切り、5分間読書する」

わたしは以前、「アラームが鳴ったら、まず起きる」という実行意図を設定したことがあります。「当たり前でしょ?」と思った方は笑ってください。朝起きれずに悩んでいる方は、1度、この意図を設定してみてください。

3. 「できない日の規則」を作る

これはわたしのオリジナルなんですが、できない日の対処法を「先に決めておく」こと。「今日はできないから諦める」ではなく、「できない日」にこそルールを決めておきましょう。

脳神経学の研究によると、習慣形成中に「空白の日」があると、それまでに形成された神経回路が弱まってしまうことがわかっています。特に形成初期は、継続的な刺激が重要だそうです。

だから、たとえ5分でも1分でも、毎日必ず何かしらの形で続けることが大切なんです。

例えば、わたしがプログラミングを教える時も:

  • 忙しい日は「5分だけでもコードを読む」

  • 疲れている日は「1行だけでもコードを書く」

  • 移動中は「動画教材の音声を聴く」

このように、量は減っても、とにかく "途切れない" ことを大切にします。「最低限の基準」を決めておくことで、"完全にやらない(ゼロ)" リスクを回避できます。

脳を味方につける小さなコツ

新しい習慣を始める最適なタイミングは「午前中」だと言われています。その理由は、前頭前野が最も活性化していて、意思決定能力が高い時間帯だからです。

ただし、午前中が無理でも、自分が一番集中できる時間を確保すれば問題ありません。クロノタイプや生活リズムは個々で異なりますので、自分に合った「習慣の時間」を決めましょう。

新しいことを始めるなら:

  • できれば午前中に

  • 無理なら、自分が一番集中できる時間に

  • その時間を「習慣の時間」として確保する


まとめ:小さな成功を重ねよう

三日坊主を卒業するためのポイントを振り返ります。

  1. 21日をx日間に分ける

  2. 既存の習慣に紐付ける

  3. できない日のルールを決める

これだけです。難しく考えず、小さな成功体験を積み重ねていきましょう。まずは、3日間。達成したらぜひコメントしてください!

最後に、わたしの恩師の言葉を贈ります。これが一番のポイントかもしれません。

「四の五の言わずにやってみる!」

最後までお読みいただきありがとうございました!


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