見出し画像

#121 伝えることって難しいけれど

図書館の責任者になって、はや半年。
覚えることも仕事も多いけれど、なんとかやっていけている。
しかし、その中で心から難しさを痛感する仕事がある。

それは、仕事を教える、という仕事である。

教えたくても言葉が出てこない!

この1か月で、教える機会がものすごく増えた。
今月から僕が受け持っている仕事の一部を、スタッフの一人にやってもらうことになったのだ。
仕事の内容は全て頭に入っているし、長年やってきた仕事だから、教えることも容易い……

と思った僕が浅はかだった。

いざ教えるとなると、なかなか言葉が出てこないのである。
とりわけ、僕は会話をするときに口癖のように使ってしまう言葉がある。
それは、「あれ」である。

立竹「じゃあ次の仕事はあれ……別の図書館に本を依頼する作業ね。じゃあそこのパソコンであれして、依頼ができたら、この予約の紙に日付と名前をあれしてね。その後は、その紙をあそこにあれして下さい」

あれってなんだよ。

自分で言っといて、自分でツッコむ有様である。
上記の例は多少オーバーに書いたけど、いざ教えるとなると、言葉が出てこない……。
改めて、教えることの難しさを痛感している最近である。

「あれ」を言いすぎてしまった後、僕は猛省していた。
僕の下手な説明ではわかりづらかっただろう。
僕は、そのスタッフに謝ると、笑顔でこう言ってくれた。

「いえいえ、ちゃんと伝わりましたよ!

そうか。
教えることって、伝えることなのか。
スタッフのその言葉で、そんな当たり前な換言に気づいたのである。

それなら、日々伝えることをしているではないか。
毎日僕は、noteという場所で、文章で伝えることをしている!
僕は教える内容を文字に起こし、マニュアルを作ることにしたのである。

伝えることって奥深い

マニュアル大作戦は見事に成功した。
文字に起こした内容に沿って仕事を教えると、僕の口から出てくる「あれ」の回数は各段に減ったのである。

スタッフの努力のおかげもあり、今はその仕事を任せることができている。
仕事の負担が減ったことも嬉しい。
だけど何より、教えた内容が伝わったことが何よりも嬉しい……!

文字に起こすこと、文章を作ること。
noteで毎日やっていたことが仕事に結びついたのだった。

とはいえ、今でもnoteをやりながら伝えることの難しさを痛感している。
日々、細々とnote記事を書いているが、「今日は書くの楽だった」と思えた記事は今までに一つもない。
もちろん楽しみながら書いているが、自分の伝えたい内容を伝えるために、かなり頭を使いながら、悩みながら書いている。

文章も、伝えることも奥深い。
ちょっと前になるが、仲川光さんのこのnoteからその奥深さを改めて感じたことをよく覚えている。

5000字は書けるけれど、140字が書けない。
文章で伝えることに、字数はあまり関係ないとも言えるのかもしれない。

文章には全く底が見えない。
だから、難しい。だから、面白い。
だから、伝わったときの喜びは何にも代えがたいのである。

文章で伝える努力も、口で伝える努力もしていこう。
努力した分、伝わったときの喜びを噛み締めることができそうだから。


余談

「やっぱり教えるのって難しいですねぇ」
と、職場で僕がボヤくと、先輩と後輩も同意してくれた。
双方共に教えることが上手いと僕は思っていたのだが、彼らなりに教えることの難しさを痛感しているようだった。

先輩の悩みは早口になってしまうこと——
後輩の悩みは「バーッ」とか「パーッ」とか擬音を多用してしまうこと——
だそうだ。

あまり気にならなかったけど、皆色々悩んでいるんだ。
教えるのなんて簡単、なんて言える日は一生来ないなと思う。
まあだからこそやりがいもあるんだろうと、彼らのおかげで前向きになれたから、今こうしてこの記事を書いてみたのである。





この記事が参加している募集

サポートをしていただけるととてもとても嬉しいです! 読書と勉強の糧にさせていただきます!