見出し画像

#139 働くパパもママもかっこいい

図書館司書になってから早7年。
この7年でさまざまなことが変わった。

中でも劇的に変化したのは、
女性と接する時間がとてつもないほど増えたことである。

図書館というのは女性社会。
僕の目測ではあるが、男性2割、女性8割というくらいに女性が多い。
その中でも子どもを育てながら、図書館で働いている方も大勢いる。
子育てとその将来、夫との距離感、義理の両親との関係性——
さまざまなことに悩みつつも、図書館で働く姿はとても力強く美しい。

映画「マイ・インターン」は、高齢者の働く姿を描くのと共に、働くママにもポイントを当てている名作だ。
仕事へのやりがいも、そして働くママゆえの苦しみも女社長ジュールズを通じて感じることができる。

マイ・インターンはこんな話(ジュールズside)

服の評価を書くブログに人気が火がついたことをきっかけに、アバウト・ザ・フィット社を立ち上げることになったジュールズ。
最初は20人だった会社も、1年半で220人の社員を雇えるほどに成長。
それに伴って多忙を極めるも、ジュールズは一切折れることもなく精力的に仕事へ打ち込んでいた。

ジュールズは、夫・マットと娘・ペイジの3人暮らし。
仕事を終え、彼らの顔を見るのが彼女にとって何よりの癒しだった。
マットも元々はバリバリ働いていたものの、ジュールズが会社を立ち上げてから仕事をやめ、専業主夫に。
仕事に打ち込めるのも、彼あってのことだとジュールズ自身も思っていた。

一見、順風満帆に見える彼女の人生だが、会社の成長と共に苦しみをも抱くようになっていた。
ペイジの通う幼稚園のママ友からはわかりやすい嫌味を言われるし、
あまりに忙しすぎるゆえに家族との時間がなかなか取れない。

その矢先、仕事上のバディであるキャメロンから一つの提案をされた。
外部からCEOを招こうと。
会社の成長に人員が着いていけていない。このままでは皆ダメになる。
社内からのSOSともいえる提案だったのだ。

それにジュールズは抵抗があった。
自分たちで育ててきた会社を、誰かの手に任せるなんて……!
だけどそれが叶えば、家族との時間をとれるようになるかもしれない。

強い葛藤、苦しみ。
それがシニア・インターンのベンとの出会いにより、少しずつ少しずつ変わっていくのであった――。

仕事の出来不出来に性別は関係ない

本作の見どころはありすぎるので一つに絞ることはできない。
けれど、本記事で取り上げたいのは、女性と仕事についてである。
本作の中でも働く女性に対してのネガティブな思想が感じられる場面がいくつかある。

例えば、ママ友からの嫌味。
ジュールズがペイジを幼稚園に連れて行った場面で、ママ友から週末のランチ会に誘われる。
その際に、ママ友はこう彼女に言うのだ。

金曜日のランチ会 ワカモーレ持ってきてね
作るヒマないだろうから市販のでいいわ 18人分
(それを夫の)マットに持たせて

マイ・インターンの日本語字幕より一部改変・引用

忙しいジュールズに対する嫌味。
そして旦那を家にいさせていることへの批判がこのセリフに含まれている。
彼女たちの言葉に対し、ベンの前でジュールズは怒りを露にする。

2015年だってのに――まだ働くママを批判?

マイ・インターンの日本語字幕より引用

その前にも、とあるCEOとの会談で女性差別をされたことをジュールズはぼやいている。
働く女性に対して、会社を引っ張る女性に対して、男性からも女性からも当たりが強いということを、ジュールズの周辺から感じ取れる。

世界の歴史から見ても、男性は仕事へ行き、女性は家を守るというのが今まではあったのかもしれない。
けれど、今はもうそんな世の中ではない。

社会で活躍する女性を称えるべき――!

と、書きたいのだが、僕はこの表現があまり好きではない。
もちろん仕事のできる女性は尊敬に値するけれど、あえてここで「女性」のことを強調する必要もないのではと思う。

仕事の出来不出来に、性別なんて関係ない。

女性だろうとも会社を引っ張れる能力があるのは素晴らしいし、
高齢者だろうとも健康に働けることもまた素晴らしい。

若者・高齢者、男性・女性——
そんな二項対立な考え方はやめて、互いが互いにリスペクトし合おう。
僕はこの映画から、そんなメッセージを受け取った。
だからこそ、僕はこの映画が大好きなのである。

働く人は誰だってかっこいい

先ほど書きかけた言葉を書き直したい。

社会で活躍する全ての人を称えるべき、である。

そこに、男性も女性も一切関係ない。
「働くママ」という言葉はよく聞くが、「働くパパ」という言葉はあまり聞かない。今までの社会において当たり前だったからかもしれない。
働くパパも、働くママも、かっこいいと僕は思う。

最初に子育てをしながら働く女性のことを書いたが、もちろん図書館の世界には子育てをしながら働く男性だってたくさんいる。

うちの子、全然勉強しないで遊んでばっかでさぁ、というお母さんも、
今度の休みに我が子の運動会があるんですよ、というお父さんも、
図書館という場所では、司書として孤軍奮闘している。

そんな姿を、僕は美しいなと思って見ながら、今日も働くのであった。


いいなと思ったら応援しよう!

立竹落花
サポートをしていただけるととてもとても嬉しいです! 読書と勉強の糧にさせていただきます!

この記事が参加している募集