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#119 ゆっくり時間をかけること

図書館に入れる本を選んでいるときに、度々目にする言葉がある。
それは、「効率」「タイパ」「時短」という言葉だ。

僕も仕事や家事については、できる限り時短で済ませたいと思っている。
いかに効率よくこなして、他のことに時間を費やせるか……!
それを、日々の生活の中で意識をしている。

けれど、物事によってはゆっくり時間をかけることで味わえるものもある。
そのことを忘れないで生きていきたいなぁと時折思うのである。

ゆっくり時間をかけて楽しめること

例えば、コーヒーをゆっくり楽しむ

僕は仕事に行く前に、必ずコーヒーを飲む時間を設ける。
ささやかではあるが、僕の楽しみな時間の一つだ。

本日は、ドミニカのお豆。
書かれてある通り、お豆もゆっくりを求めています
ミルにお豆を入れてガリガリ
このときもゆっくり時間をかけて挽いていきます
ゆっくりじっくり抽出したコーヒーは格別です

おそらくここまでで10分~15分くらいはかけている。
そして、ゆっくりと飲みながら、空っぽの朝を楽しむのである。

粉にお湯を注ぐだけでできるインスタントコーヒーも好きではある。
だけどやはり、自分で豆を挽いて、ゆっくり抽出するのが好きなのだ。

きっとこれらの工程を急ぎながらやったところで、コーヒーは美味しくならないし、美味しく感じることもできないと思う。
仕事に精を出せるのも、ゆっくりコーヒーを味わう時間があるからこそ。
心が整う大切な時間である。

例えば、読書をゆっくり楽しむ

1か月くらい前の「読書離れが進んでいる」というニュース。
図書館司書として、そしていち読書好きとしては寂しく感じる。
そして読まない理由の中にも、「時間」というワードが出てきていた。

「スマートフォンなどの情報機器で時間が取られる
「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない

現代に生きる人々がいかに時間と格闘しているかがわかる。
限られた時間の中で、できる限り多くのことをやりたいとなれば、読書の優先順位は低くなってしまうのだろう。

ただ、ゆっくり読書を楽しむ時間を作れるくらいの余裕も生きる上では必要なんじゃないかなと思うのは、僕も年を取ってきたからだろうか……。

実際、僕はゆっくりと読書する時間を設けるようになってから、気持ちに余裕が生まれているのを実感している。
活字を読んでいるだけでも心が落ち着くし、それが小説なら別の世界へ行けるあの感じは読書でないとなかなか味わえない。
何より静かにゆっくり読書する時間は、仕事の忙しさや社会のしがらみから一時的に離脱できる感じがあって、それが心地良い。

読書については、また後日記事を書きたい。
ともあれ、ゆっくり本を読むのってとてもリラックスできておススメだよというくらいで、ここでは留めておこう。

例えば、ゆっくり自分を磨いていく

僕は新しい環境、新しいことを始めるときに焦ってしまう癖がある。
適応障害になってしまった理由の一つは、そこにあると自己分析している。

noteをやっていても、時折焦ることがある。
「早く記事をあげなきゃ」とか「有料noteを早く上げられるように頑張らなきゃ」とか。
早く慣れよう、早くレベルを上げようとしてしまうのだ。

そこで思い出す言葉がある。
ジブリ映画「耳をすませば」で、主人公・雫に向けて言った、天沢聖司のお爺さん・司朗の言葉だ。

それは、恋人(と便宜上表現する)の聖司が、自分の夢へどんどん突き進むことへ焦る雫に向けてかけた言葉だった。

(バイオリン作りを極めることや、小説を書くことというのは)
自分の中に原石を見つけて、時間をかけて磨くことなんだよ。

映画「耳をすませば」の劇中のセリフを一部加筆

聖司はバイオリン作り、雫は小説執筆。
いずれの目標も、それを達成するためには時間をかけて磨くことが大切だと、少女に優しく説いていた。

仕事であれ何であれ、成長することに近道はない。
今は便利な世の中だけど、自分磨きこそゆっくり時間をかけて、楽しむくらいの余裕を持った方がいいのだと思う。

忙しい世の中だからこそゆっくりしましょ

やりたいこと、やるべきこと、興味深いこと——
それらがとても多い現代だから、限られた時間の中で多くのことをこなしたいと思うのはごく自然なことだ。
だから「効率」「タイパ」「時短」という言葉がよく使われるのは当然のことだと思う。

だけど、そればかり突き詰めてしまうと、肩に力が入って疲れてしまう。
小さな子からご老人まで、とても忙しい世の中。
だからこそ、たまにはゆっくり時間をかけて何かをすることが、自分の大きな何かに繋がるかもしれない。

いやあ、いかんいかん。年をとると説教くさくていかんな。

映画「耳をすませば」より引用

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