人生を変えた話[1]――高校3年生 前に進む勇気
当時僕はまだ双極性障害の診断が出ておらず、調子のいい時はなんでもできるスーパーマンで、調子の悪い時は生きた屍の自分を受け入れられなかった。
僕が通っていた高校は県下では名前の知れた進学校で、僕の模試の成績は不登校の方を除けばベリだった。それというのも僕は8月から長期の抑うつ状態に入ってしまい受験勉強はおろか、およそ出席をとるのすら危うい状態だった。
当然そんな状態で受けたセンター試験はボロボロで、元々の高校のレベルがなければ箸にも棒にもかからないものであっただろう。しかも、この期に及んで抑うつ状態真っ盛りだった僕は、前期試験を丸ごと受けることが出来なかった。
後期試験では親に我儘を言って5つの大学に出願したが、結果は振るわず1番手ごたえがあった愛知県の南山大学に成績開示請求をしてみると、得意の日本史であと2問とれていたら合格だったことが分かった。
そんな僕に届いた合格通知は1通だけ。夢に見ていたような掲示板による発表ではなく、味気ない電話の音声ガイダンスを喫茶店で聞いたことを憶えている。第1志望の社会科専攻は落選、偏差値50(当時)の心理学専攻に合格していた。
僕は悩んだ。このまま進学するか、浪人するかだ。
僕は健康に不安を抱えている。
高校も留年して4年かけて卒業できそうだ。
就職の不安もあるから、安易な奨学金も借りられない。
でも、南山の結果を見てしまった僕には未練が募った。
人生を変えたひと言
「とりあえず先に進んでみなさい。坂を登っていくと新しい景色が見えてくるように、今立ち止まっていては見えないものが進んだ先では見えるはずですよ。」
その意味
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