あなたがきっとしらない弦楽四重奏
弦楽四重奏。ストリングカルテット。どんなものを想像しますか?
もちろん室内楽。シンフォニーのように重厚で荘厳なものではなく、無伴奏のようにストイックでもなく、こういう言い方が適当かどうかはさだかではないけれど、イージー・リスニングなもの。貴族がお茶会のBGMとして演奏させたりしそうな。
わたしもそんな印象を持っていた。かつては。
ここに、とんでもない弦楽四重奏を紹介しよう。純粋に室内楽が好きな人はおそらく出会わず、弦楽四重奏に興味のない人も普通にしていたら出会わない。フュージョンが好きな人は気に入りそうだけれど、そういう人たちが出会う機会もあまりないであろうアーティスト。
それが「Turtle Island String Quartet」。タートル・アイランド・ストリング・カルテット。なんだろう。亀の島弦楽四重奏団とでも訳すのか。なんなんだそれはいったい。
さて、わたしは彼らの音楽に、ひょんなことから出会った。前述のように普通にしているとどうやってこの人たちの音楽に触れるのかまったくわからないのだけれど、わたしは普通じゃない方法でひょんなことをして出会ったのだ。わたしはジャンルがクロスオーバーした音楽を愛好していて、ジャズフュージョンからジャズロック、プログレあたりを好み、もっと違った音楽はないか、と世界のいろんなものを探し回った時期があった。そのようにして見つけたのがタートル・アイランド・ストリング・カルテット。
まずはこれを聴いていただきたい。これは件のストリングカルテットではなくてパットメセニーグループ。
だからサムネがでけぇよSpotify。
これパットメセニーグループのJacoっていう曲なのだけど、パットメセニーグループからジャコがいなくなり、後任のマーク・イーガンが入ってから作られた曲。ジャコへの追悼とオマージュが込められた曲だと思う。
そんでもってこちら。
これはその曲のタートル・アイランド・ストリング・カルテット版。
なにこれ!!!!!ってなんない?
わたしはこれを発見したとき、弦楽四重奏に対して持っていた先入観みたいなものがみんな吹っ飛んだ。すっげぇぇぇぇと大騒ぎしてどハマった。これで興味持った人はもう彼らのアルバム覗いてみて。いろんなのをカバーしてるのだけど、ものすごいグルーヴ感。誰、クラシックの人はビートのあるものは苦手だとか言うの。これドラムのないアンサンブルでこのグルーヴ感よ。ありえん。
もっとすげえのあるよ。
ドファンキーブラスグループ、タワー・オブ・パワーの「Who Do You Think You Are」
ぐおぉぉお。ぶっ飛ぶほどかっこいい。おいまさか?まさかそうなのか?
そうですよもちろん!
ぐっは!鼻血噴射した。なにこれ。ぶっ飛ぶんですけど。
いやもう、ファンキーという意味では世界最高峰に類するタワー・オブ・パワーですよ。それを弦楽四重奏でやるという発想がそもそもぶっ飛んでるというのに、なにこの完成度。ヤバくない?
今一度確認しますが、弦楽四重奏というのは第一バイオリン、第二バイオリン、ビオラ、チェロの四人で演奏するもので、いわゆるリズム楽器である打楽器やベース(コントラバス)は不在。それでこのファンクっぷり。
むちゃくそかっこよくて、これを発見した当時(もう二十年以上前)の私は狂喜したものです。今みたいにインターネットとか普及してないから、あちこちで本や雑誌を読み漁り、当時まだあった六本木のWAVEとかに入り浸って輸入盤を漁って見つけたのです。今やSpotifyで全部聴ける。当時の自分に教えてやりたい。WAVE無くなっちまうぞって言ったら絶望するだろうけど、あれもこれもSpotifyで聴けるよって言ったらどうすんだろ。泣くかな。泣くわ。
ちなみに本日の蘊蓄。タワー・オブ・パワーというのは「勃起した陰茎」のことらしいですよ。