【映画】いま自分の胸に手を置いて考える、あの時の選択【天使のくれた時間】
今でも覚えている。20〇〇年のことだった。
私は仕事を辞め、兼ねてからの夢だった留学をすることにした。大学を卒業して社会に出たばかりなのに、すぐに社会から逃げ出そうとしている行為には不甲斐なさを覚えもした。だが、今後の将来のことを考え、後悔したくなかった。
当時、自分には彼女がいた。付き合って1年足らずだが、そこまでは上手くいっていたと思う。ただ、大切にするあまり留学に対してなかなか相談できずにいた。若き頃の自分は、1年以上、日本を離れる決断をどう伝えればいいかわからなかったのだ。
そして、自分の中で決心がついた頃、彼女に留学する思いを伝え、その理由も事細かく説明した。今では悪かったと思っている。当時の自分は、理由を説明すれば、納得し、応援してくれるものだと思っていた。だが、彼女から返ってきた言葉は「なぜ行くの?」の一点張り。今の現状を捨てる意味を問われた。
まだ自分は若かったと思う。そこで彼女を納得させる言葉を並べることができなかった。結局、彼女が自分を応援してくれないことに嫌気がさし、別れを選ぶことになった。
その選択が正解だったのか。それは今でもわからない。
そんな過去を持つ自分が、今週一つの映画にたどり着いた。
題名は聞いたことがあったが、一度も鑑賞したことはなく、内容も知らなかった。映画のポスターを飾っているヒロインのティア・レオーニが可愛いなと思い、短絡的に見ようと思った程度である。
ただ、この映画を見て様々なことがデジャブに感じた。そして、終わった後、すごくモヤモヤしている自分に気がついた。
過去の自分の選択はどうだったのか。
改めて考える時間をもらった映画を、今回は紹介させていただく。
■どんな人生を歩もうとも
映画の内容は非常に簡単なものだ。
ニコラス・ケイジ演じるジャックと、ティア・レオーニ演じるケイトはかつて恋人だった。だが、将来のためにジャックはロンドンへの留学を決意し、共にいることを望んだケイトと離れ離れになったことで二人は破局する。それから数十年後、大手会社のトップに立っていたジャックは、「すべてのもの」を手に入れていた。富、名声、女。何不自由のない生活を送る日々。そんな時、一人の男と出会い、ジャックは「ロンドンに行かず、ケイトと共に過ごすことを望んだ」世界に飛ばされてしまう。今までの生活、そしてケイトと共に過ごす生活、全く異なる生活に大きなギャップを感じながら、ジャックは自分の中で何が正解かを探していくのだった。
ざっくり表現すると、ロンドンに留学をした世界としなかった世界の二つを見て、自分の選択はどうだったのかを考える映画である。
映画の答えとして、もちろん最後は一つのエンディングにたどり着く。
だけど、それは例えば自分だったり、あなただったり、人によって選択の答えは違っていいものだと思っている。ジャックが迎えた結末も正解だし、もう一つの結末も正解なのだ。
そう思うと、この映画は「何が正解か不正解か」ではなく「何を思って選択をするのか」が大事であると伝えたかったのではないだろうか。選択をしたことに理由を持ち、後悔しないことが重要であると教えてくれた気がしている。
かつて自分は彼女を置いて行く決断をした。もちろん、当時の自分は若く、傷つける別れになってしまったことは事実だ。それでも留学をした決断は今でも間違っていなかったと思っているし、行かない方が後悔したと思っている。
そんなあの日の選択をもう一度、思い出させてくれたのが、今作の「天使をくれた時間」である。
もし、あなたが何か選択を迷った時、一度見てみるのはいかがだろうか。たぶん自分はまた、何かの選択をする時、この映画を思い出すことだろう。
■編集後記
今回は正直、紹介というより自分が今作を見て感じたことを書くことにしました。それくらいすごく胸を締め付けられる映画だったんです。
そして、今回の邦題「天使のくれた時間」という題名は素晴らしいですね。原題は「The Family Man」なんですけど、ドン・チードルを天使と見立て、天使がジャックに対して答えを探す時間を与えたというニュアンスの解釈をしたことに非常に幸せな気持ちになりました。こう言ってはなんですが、邦題があまり好きではないんですけど、今回に限っては素晴らしかったと思います。
2000年のアメリカ映画。少々古い映画ですが、若い子に見て欲しいと思う映画です。
では、今回はこの辺で。
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