ところでどうですか。あれの方は。
ところでどうですか。あれの方は。
はい。どれの方でしょう。
あれですよ。
これですか。
そうそう。それですよ。
あー。大丈夫ですよ。
さいですか。ほんならまた。いい時に。
左様ですか。ほなさいなら。
さて、とりあえず会議が終わりましたので、作業に取り掛かっていきましょうか。手を動かすことが大事やからね。ね。聞いてる?
はい?
はいやなくて。聞いてた?僕、今、割と良いこと言ったけどね。聞いていなかった?
はい。
そう。じゃあ、まあいいですわ。そんでね、あれなんやけどね。どうなったのあれ。
あれですか?
そうそう。あれあれ。
これどすか?
いや、ちゃいます。それちゃいます。あれよ。
あーあれですか。あれなら大丈夫ですよ。
ほんまかいな。そんならまあいいんやけど。しかし君は仕事が早いね。
あー。さいですか?
うん。いいよ。
はい、ありがとうございます。
うん。じゃあまた、いいときに声かけるから。よろしく。
はい。
そんなら、まあご飯にしようかね。うどんかな。ごぼう天乗せたうどんかな。おにぎりも食べようかな。1皿2個かいな。1個でいいんですけど。あのさ、おにぎり1個で頼める?あーそうなの、じゃあ1個で。はいはい。よろしく。
しかし、まあうどんとおにぎり一緒に食べる癖をなんとかしたいわ。どうしても食べてしまうな。一回な、うどんだけで注文してみたいもんやで。そしたら、ほら、こうスマートな感じがしまっせ。おにぎり我慢するだけで1つ上の男やで。
なんでもかんでも、米を添えたくなるっつーのは育ちかな。育ちが悪いんかな。僕の育ちの悪さまでバレるんならおにぎりはもう頼まれへん。悲しいな。おにぎり食べたいな。やっぱりな、なんでもそうやけど、失くすときに気づくもんです。自分にとっておにぎりはこれだけ愛おしい対象やったんか。
しかもほら、まだおにぎり失くしてないのに想像しただけでこんなに悲しい気持ちになって、実際もうおにぎり食べられませんなったらどんだけ悲しいんやろうね。嫌やわー、耐えられへんわ。絶対折れる。心が折れる。僕そんなにメンタル強くないもん。
どうしよう。でも今日はとりあえず、おにぎり注文してしまってるらから食べなあかんね。悲しい別れはまだ先や。それはそうよ。だってそれはクライマックスに値するもん。もっとこう、効果的な使い方あるやん。まだ早いよ。早い早い。ものごとはね、タイミングなんよ。わかる?わかる?って僕は誰に問いかけとるんや。ごぼう天かいな。ごぼう天に語りかけてどうすんの。かといっておばちゃんに急にな、話しかけても阿呆と思われることは免れんからな。
うどん運んでるおばちゃんに、クライマックスとタイミングの話したってな、それはプロに素人がアドバイスするようなもんでね。うどんなんかそれらが1番大切なわけでしてって、言われるよ。控えめな感じで言われるよ。それは恥ずかしいよね、逆に。
なんなら、オーダーとか客を席に通すタイミングとかな、そんなんも絡み合った上でおばちゃんはうどん運んでいるわけだから、こんなチンチクリンのおっさんに急に分かったようなこと言われても、苛立ちをつのらせるだけよ。
いやいや、誰がチンチクリンやねん。わしか。いやいや。それなりにスマートでとおってますけどねー。って。まあまあ、それはいいけど、そろそろ戻ろうかね。ごぼう天うどんいただきましたと、おにぎりもいただきましたと。ああ。これが、最後のおにぎりになるんかな。それは悲しいな。やっぱり、クライマックスはもっとあとや。
ただいま。休憩いった?
はい。
あー、そう。何食べたの?
うどんです。
なに?カレーうどん?
いや、違います。
じゃあなに?
冷やしぶっかけうどんです。
なに?なにが入ってるの?
ごぼう天とか、色々です。
あれも入ってるの?
あれですか。
うんあれあれ。
あーまあ。それなりに。
そう。いいね。僕も今度食べようかな。おにぎり食べた?
いえ。
なんで?
いやそうゆうもんなんで。
あらそう。君スマートやね。ボンボンかいな?
いえ。
そう。若い子ってそうなの?
はい?
いや、ほら、うどんとおにぎり一緒に食べないの?
あー。どうでしょう、僕は食べないですね。
そう。そんで、あれはどうなったの?
これですか?
あー、それじゃなくて、あれ。
あれなら大丈夫です。
あ、そう、それならあとよろしくね。僕今日早めに上がるから。
よしよし、それじゃ帰ろうかね。最近忙しかったからね。たまには早くお家でプシューッってやってサッカーでも拝見おまして、体たらくにグニャグニャして湯浴びてフカフカ寝っころがって、かといってすぐには睡眠を貪らずに、こう覚醒と眠りの間を行ったり来たりしながらあれしてこうしてでグーっとねってことにしてね。
それなら、ちょっと惣菜でも買って帰ろうかね。家になんかあったかな。なんかないなんかなーいお母さんつって。なんつって。母は故郷におるから。母に聞いてどないすんねん。いや、そこじゃないけどな。って僕は誰につっこんどんねん。
まあまあそれはいいけど、なんか疲れてきたな。なんでやろ。雇い主がもう終わりって言うてるみたいや。雇い主?飼い主言うたほうがええんかな。なんか、空からよう分からん力が僕に話しかけてきてるんや。もう終わりやで、もう終わりやでーって。
ほんなら、今日はこれくらいにして、続きはWEBでにしょうかな。いやいや、ここがWEBやっちゅーねん。しかし、一々引き出しが古いな。そんなんではいかんで。1番寒いで。自覚のない時代錯誤が1番寒いで。あれ、僕はこれ誰に言ってるんやろう。なんか、体がフワフワしてきたな。なんか、体が解けそうや。そうか、限界なんやな。それならそうと言っておくれや。僕だってちゃんと挨拶してから消えたいもん。閉じたいもん。別れ際は大事やで。
ほんならまた。僕は僕らしくやってきますから、またお会いできたらよかですね。次回は・・・、
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