《19歳の冬、私は大人になったつもりでいた。①》
#小説 #恋愛 #恋愛小説
有料にしてますが、最後まで読めます。
19歳の冬。大学1年生。
「今度飲みに行かない?」
そう誘ってきたのは、サークルの先輩Nだった。その誘いに、私は「いいですよ」と事務的に返す。
***
男、地方出身、バイトが忙しい、彼女がいる、サークル内にセフレがいるらしい、なんだか幸薄そう、頭がいい、
そして、私のことが嫌い。
これがNについて私が持っていた情報。
「私のことが嫌い」というのは、きっと被害妄想ではない。
「気が強くて尖ってて、プライド高くて面倒臭い。ただのガキ」と私のことを誰かに言っていたのは聞いたし、そう思っていることも薄々わかっていた。
別にこの人にどう思われてたって構わない。
むしろこう思っているくせに、「別になんとも思ってませんよ」みたいな顔して普通に接してくるNが、私は苦手だった。
そんなNからの誘い。
あーそうか、1年の間に、後輩全員と飲みに行きたいって言ってたっけ。
すでに12月、他の同期は全員、一緒に出かけたり飲んだりしてたな。関係ないけど。
***
日程を決めよう、というLINE。
別にいつだっていいので、相手のいう日にちに合わせた。
Nはモツ鍋と牡蠣ならどっちがいい?と聞いてきたけれど、私はどちらも好きじゃない。
どうせ今後会うことはないし、好きなフリをして食べればいいや。どちらでもいいと答えた。
苦手な人と苦手なものを食べるなんて、どこまで不毛な飲み会なのか。
まぁいい、どうでも。
タダで飲み食いできるだけ、ありがたいと思えば。
***
そんなこんなで飲み会の日程は決まった。
1週間後に、Nと他の先輩Tと、好きでもない牡蠣を食べに行くことになった。
これが後々、面倒なことを引き起こすことになるとは思いもせずに。
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