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オリーブ油と認知機能、がん関連疲労と気功、シンデレラ体重のリスク、スダチで肝疾患予防、アルコールと若年性大腸がん、歯ぎしりと食物繊維、認知症予備軍の腸内細菌叢、鍼の抗炎症作用、ナッツとうつ病、緑地で腸疾患予防|8/5(土)〜8/12(土)医学論文&健康関連ニュースまとめ

8/5(土)〜8/12(土)にラハール公式Twitterで紹介した、医学論文や健康関連ニュースをまとめました。

https://twitter.com/rahall_jp




オリーブ油と認知機能


『Olive Oil a Powerful Prescription Against Dementia(オリーブ油は認知症への強力な処方箋)』

✅1日に大さじ半分以上のオリーブ油を摂取する人は、認知症による死亡リスクが28%低い
✅米国栄養学会の年次総会で発表
✅食事全体の質とは関係なく、オリーブオイル単独で効果

✅1日小さじ1杯のマーガリンまたはマヨネーズをオリーブオイルに置き換えると、認知症による死亡リスクが8%〜14%低下する可能性
✅この抗認知症効果は、オリーブオイルの抗炎症作用による可能性
✅オリーブオイルに含まれる、抗炎症作用や抗酸化作用を持つポリフェノールが良い可能性

💭体に良い食事方法として近年名高い「地中海食」においても、オリーブオイルはその重要な一角を占めており、一定以上の健康効果が期待できます。1日に大さじ半分を目安に、日々の食事に取り入れられると良いと思いますね🫒

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【論文紹介】がん関連疲労(CRF)と気功


『A Randomized Controlled Pilot Trial Comparing Effects of Qigong and Exercise/Nutrition Training on Fatigue and Other Outcomes in Female Cancer Survivors』

中国の伝統的な健康法の気功が、がんサバイバーの倦怠感(Cancer-related fatigue:CRF がん関連疲労)を軽減する効果があったよという論文です。

がんサバイバーの女性患者24人のうち、実験群の11人は気功を行い、対照群の13人は筋トレや有酸素運動と植物ベースの食事指導などを受けたところ、両群で倦怠感の有意な改善が認められ、有意差はなかったとのことでした。

また、気功群では感情調節やストレスなどの尺度が改善し、対照群では睡眠と倦怠感の尺度で改善が見られました。

気功はより穏やかで低強度の運動による倦怠感の改善手段として、がんサバイバーに役立つ可能性があります。

💭激しい運動をしなくとも、ゆったりした気功でもCRF(がん関連疲労)を改善できるというのは、治療の選択肢が広がって良いですね。有酸素運動とプラントベースの食事でも同じような効果があったということなので、患者さんに合わせてどちらか選んで行えると良いのかなと思います☯🥗

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【論文紹介】シンデレラ体重のリスク


『Young Japanese Underweight Women with “Cinderella Weight” Are Prone to Malnutrition, including Vitamin Deficiencies』

「シンデレラ体重」と呼ばれる低体重女性の栄養障害に関する日本発の論文です。20〜39歳の成人2,100人(女性1,457人,男性643人)の調査で、女性は男性よりはるかに低体重の割合が多く(16.8%対4.5%)、低体重女性は栄養状態が悪いことが分かりました。

BMI18.5kg/m2未満の体重は医学的には低体重とされ、月経異常や不妊,骨粗鬆症,心肺機能や消化力の低下,免疫の低下などと関連します。
低体重女性は免疫機能が低下し、握力の値も低く、食物繊維,カルシウム,鉄の摂取量の不足も90%で確認されました。また、ビタミンB1,B2,D,葉酸の欠乏症も見られました。

💭あまりに細すぎるボディイメージによる過度の減量は健康を損ないます。普通体重の範囲であっても、適切な栄養摂取と運動によって美しいプロポーションを作ることは可能ですから、病的な美ではなく「溌剌と輝く健康美」を目指していただけたらと思いますね✨

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スダチの肝疾患予防効果


『スダチ特有のポリフェノール「スダチチン」が体内時計のリズムを調整ー肝臓の時計遺伝子を変動、脂肪の蓄積を抑えるー』

https://research-er.jp/articles/view/120526

✅スダチの皮に含まれるフラボノイド(ポリフェノールの一種)の「スダチチン」
✅概日リズムを調整し、肝臓への脂肪の蓄積を抑制し線維化と炎症も低減

✅肝臓中の中性脂肪量や線維化や炎症に関連する遺伝子の発現量がスダチチン投与群で有意に減少
✅非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)や非アルコール性肝炎(NASH)の予防効果が期待できる

💭「柑橘類は肝に良い」と中医学では昔から言われてきました。他の研究でもミカンによる脂肪肝の予防効果が報告されており、やはり柑橘系を摂取することで肝臓の健康増進になりそうです。但し、柑橘の酸は摂りすぎても胃の負担になりますから、ほどほどの量を食事などに取り入れていきたいですね🍊

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【論文紹介】アルコールと若年性大腸癌


『Sex and Tumor-Site Differences in the Association of Alcohol Intake With the Risk of Early-Onset Colorectal Cancer』

韓国の20~49歳の566万6576人を対象に、アルコール摂取と大腸がんリスクの関係を調べたところ、中程度〜多量飲酒者では50歳未満での大腸がん発生のリスクが高かったよという論文です。

飲酒頻度が高いほどがん発生リスクは高く、非飲酒者と比べて、週1〜2回では7%、3〜4回では14%、5回以上では27%、リスクが増加しました。

💭これは同じアジア圏のお隣の国である韓国の研究ですから、欧米の研究よりも日本人にとって参考になるのではと思います。飲酒のリスクは他の研究によっても裏付けられていますから、飲酒者の方はなるべく量や頻度を減らすことに取り組んでいただけると良いですね🍺

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歯ぎしりと食物繊維量


『睡眠中の歯ぎしりは食物繊維摂取量と関連している可能性を世界で初めて発見』
https://research-er.jp/articles/view/122393

✅睡眠中に歯軋りがある人はない人と比べて食物繊維の摂取量が少ない
✅大学生を対象とした比較調査
✅歯軋りは、歯が欠ける、歯周病の悪化、顎関節痛などに繋がる

✅睡眠の質が低いと歯軋りが起こりやすい
✅歯や口腔の健康にとって、食物繊維摂取量増加が役立つ可能性

💭腸内細菌叢の状態によって睡眠の質が変わるという他の研究もありますし、「食物繊維を一定以上摂取する→睡眠の質が良くなる→歯軋りをしない」ということはあるかもしれません。歯軋りのある方は、食物繊維摂取量を増やして腸内環境を整えてみてはいかがでしょうか🥬

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【論文紹介】認知症予備軍の腸内細菌叢



『Characteristics of Intestinal Microbiota in Japanese Patients with Mild Cognitive Impairment and a Risk-Estimating Method for the Disorder』

軽度認知障害(MCI)と腸内細菌叢の関わりを調べたら、MCI患者には腸内細菌叢に異常がある(dysbiosis)ことが分かり、その異常が長く続くことで認知機能の低下が進行する可能性がある、という日本発の論文です。

dysbiosisによって、腸内細菌叢の調節不全、腸の炎症、腸のバリア機能の低下、血液脳関門の透過性の増加、慢性神経炎症の増加が引き起こされ、これらが長期に続くことによって、認知機能の低下を招く可能性があることが示されました。

💭MCIは認知症予備軍であり、認知機能の低下が始まっている状態ですが、この段階で適切に介入すれば、認知機能の低下を抑えられる可能性があります。腸内環境を整えることが様々な病気の改善に役立つということは近年広く知られて来ていますが、認知症予防にもなるんですね。腸活は大事です🦠

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【論文紹介】鍼の抗炎症作用


『Wound-healing effect of acupuncture for treating phonotraumatic vocal pathologies: A cytokine study』

声帯結節のある音声障害患者17人を鍼治療(音声関連の経穴に刺鍼)群9人と偽の鍼治療(刺鍼せずに皮膚表面刺激)群8人に分けて比較調査したところ、鍼治療群では声帯への抗炎症作用が観察されたよという論文です。

鍼治療及び偽鍼治療では、患者は30分間の刺鍼及び皮膚刺激を受けました。この実験の直前・直後・24時間後の3つのタイミングで、声帯の表面から喉頭分泌物を採取し分析したところ、鍼治療群では治療後に喉頭分泌物中の抗炎症サイトカインIL-10の有意な増加が認められたとのことです。

鍼刺激は外科手術よりも低侵襲性の代替的な治療法として、音声外傷性の声帯病変治療に役立つ可能性があります。

💭他の論文で、鍼によって声帯病変のサイズが小さくなったというものもありますし、鍼は外科手術と比べて患者さんへの負担のかかり方が非常に小さいですから、声帯結節の治療手段の一つとして、手術より前に一度検討していただけると良いのかなと思います。

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【論文紹介】ナッツとうつ病


『Nut consumption is associated with a lower risk of depression in adults: A prospective analysis with data from the UK Biobank cohort』

https://www.clinicalnutritionjournal.com/article/S0261-5614(23)00246-7/fulltext

1日に30gのナッツを摂取するとうつ病のリスクが低下するという論文です。13,504人を5.3年間追跡した調査で、ナッツを摂取しなかった場合と比較して、摂取するとうつ病発症リスクが27%低かったとのことでした。

💭ナッツを摂るとメンタルに良いということは、これまでにも言われてきています。一方で、毎日50gのナッツの摂取で糖代謝に悪影響があったという論文もあるので、ナッツは適量の範囲を守って食べることが大事なのかなと思いますね🌰

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【論文紹介】緑地で炎症性腸疾患予防


『Residential Greenspace in Childhood Reduces Risk of Pediatric Inflammatory Bowel Disease: A Population-Based Cohort Study』

子供の育児環境における緑地面積が広いほど、子供のIBD(Inflammatory Bowel Disease 炎症性腸疾患)の発症リスクが下がっていたよという論文です。カナダの271万5318組の母子を対象とした調査で分かりました。

IBDのクローン病と潰瘍性大腸炎のいずれにおいても、居住地周辺の緑地がより多い子供ほど、発症リスクの低下が見られました。
緑の多い地域での育児は、子供のIBD発症を予防する手段になる可能性が示唆されました。

💭森林浴などで緑に触れることはストレス解消効果があり、また、IBDはストレスによって症状が悪化することが知られています。植物の多い環境での育児によってストレスを軽減させることは、IBDの発症予防にも繋がるのかもしれないですね🌳🌳🌳

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