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アンソロジー発売!『もし、自分の居場所がない気がしたら』
私も作品を書かせていただいた日本児童文学者協会のアンソロジー『もし、自分の居場所がない気がしたら』が発売されました。人間関係の悩みをテーマにしたアンソロジーシリーズ「人とのつながり こんなときは」のなかの1冊です。
収録作品はすべて「もし、二次元の彼に恋をしてしまったら」「もし、インターネットでいやな思いをしたら」のように、「もし~たら」という形の題名で、読者の皆さんが悩みを解消するためのヒントとなるような作品が集められています。もちろん悩みとは関係なく、純粋に物語としてたのしんでいただくこともできます。
『もし、自分の居場所がない気がしたら』の執筆陣はいとうみくさん、吉野万理子さん、当原珠樹さん、土野寧々さん、それに私。土野さんはこのアンソロジーの公募企画で入選されたかたですね。作品を拝読しましたが、主人公の軽快な語りが魅力的でした。
私がこのアンソロジーのために書いた作品の題名は、「もし、大切な人との別れが怖くなったら」です。
物語の主人公は繊細で心配性な小学5年生の慎。慎は両親が共働きで、小さいころからおじいちゃんに面倒を見てもらっていたこともあって、おじいちゃんのことが大好き。学校が終わるといつもおじいちゃんの家を訪れ、いっしょに将棋を指したりしてすごしています。
そんな大好きなおじいちゃんに病気が見つかり、手術を受けることになりました。手術は無事に終わりましたが、心配するようなものじゃないときいていたおじいちゃんの病気が、実は命にかかわるような大病であったことを、慎はたまたま知ってしまいます。
それを境に、慎はいつかやってくるおじいちゃんとの別れを不安に感じるようになります。そのときのことを怖れるあまり、慎はおじいちゃんを避けるようになってしまいますが、やがてある事件が起きて…。
慎とおなじように、私も祖父母のことが大好きで、放課後はいつも学校から祖父母の家に直行していました。子どものころは祖父母がいつまでも元気でいてくれることを願い、いつかふたりがいなくなってしまうことに怯えたりもしていました。
そのころのことを振りかえって、いずれ別れを経験することになる子どもたちに伝えたい思いを形にしたのが、この「もし、大切な人との別れが怖くなったら」になります。
「人とのつながり こんなときは」のシリーズは、『もし、自分の居場所がない気がしたら』『もし、自分が平凡だと感じたら』『もし、自分がブサイクだと思ったら』が同時発売。来月にはさらに『もし、親友をねたんでしまったら』『もし、自分に負けそうになったら』が発売予定です。
1話30ページ程度で高学年からの読書におすすめです。人間関係に悩んでいてもいなくても、ぜひ手に取ってみてください。