#150 決断は敵を生むが、先に進む最善の方法である 24/4/24
みなさん、こんにちは。
今日は、決断することについて考えます。
日常的なタスクの判断や、比較的影響範囲の広い企画・問題解決の取り組み、およそ仕事のあらゆる場面において、この決断することのできないシーンをよく見ます。そしてそれは、役職ポストの上位者であっても、最前線の従業員であっても、およそ変わらないと感じています。
先日、似たような論点についてエントリーした記事もお読みくだされば幸いです。
まず、抽象的な全体感で捉えるとこうです。
何かの課題や現状に対して、
「変えることができる。改善する必要がある」と、変えられる条件や可能性を提示することは、およそほとんどの人ができます。自分の担当タスクに限れば、ほぼほぼ全員が、「変えられる」条件・可能性を提示できると感じます。
しかし一方、
「あなたは、どう変えたいと思っていますか」
「あなたは、明日から、どうしますか」
と質問すると、答える人は激減します。「答え」として成立した回答をする人は、よくて20%、概ねそれを切る10~15%程度に留まります。あるいは、同じ人でも、事案によって明快な回答ができる場合とそうでない場合が混在します。
この後者「自分はどう変えたいと考えているのか」について、明快に答えられる人は、市場価値も、社内価値ともに高い人材になると考えます。
「こう変えたいと考えている」
「明日から自分はこう行動します」、
と言えることは、自分自身の「意思」とそれを「メッセージ」にして、不特定多数の相手に届けることができます。この点こそが根源的な価値だと考えます。
では、なぜ「こう変えたい」「(明日から)こうしましょう」とメッセージをできる人が精々20%程度なのか、です。
それは、右か左か、赤か白か、と自分のポジションを明確にとると、必ず反対者=敵、が生まれるからです。
敵が生まれると、コンフリクトが生じます。コンフリクトが生じると、それを緩和・解消する折衝・交渉の合意形成プロセスのフェーズに移ります。
合意形成プロセスには、ものによっては膨大な時間と労力を投資することになります。論拠となる事実を集め、改善した(効果)後のよりよい未来の絵をかき、それを相手に伝わるように易しく可視化(五感に現す)し、それが伝わるようなロジックやナラティブを作り、共感をつくり、そして対話による交渉を行います。
といった具合に、自分がポジションをとる=決断すると、面倒くさい後工程作業が発生するのです。これが1つ目の理由です。
実はそれ以上に、単に、反対者に反対意見を言われたり、自分に質問を向けられると、意見ではなく「自分が人格的に否定された」、と感じる人が結構な割合、感覚値80%~90%くらいです。ですから、この段階が多くの人にとって障壁となり、赤か白か、決断することを避けてしまうのだと考えます。
ですが、物事を前に進める方法論として、最も最適かつ生産的なのは、やはり「決断する」、「自分の意見とポジションを明確にする」ことだと考えます。
なぜなら、1つは、空気を読みあって、予定調和に、同調圧力で、何となく合意した決定は総論賛成、各論反対になることが多いからです。
ものごとが進んでいく途中で、「それは聞いていない」「それではこちらの部門は困る」「そのような理解ではなかった」など、サイロ化組織の縄張り争い、既得権益の確保、他責、進めたくないもっともらしい理由が並び、途中で雲散霧消するからです。
もう1つの理由は、立ち位置を明確にするから反対の意見・ポジションが生まれ、それによって、つぶし込む論点の解像度が上がったり、気づかなかった論点が明らかになり、全体の課題解像度がスパイラルアップに向上するからです。そして、対話を繰り返すことで、合意できないことや合意できない点について合意したと「agree to disagree」をお互いに確認できることにつながります。
ですから、これは言い換えると、意思決定の質を上げる、リーダーシップの問題でもあります。
みなさんは、敵が生まれる決断をできていますか。
それでは、また。