#199 「採用」の価値とプレゼンスを変える挑戦は続く 24/6/12
みなさん、こんにちは。
今日は、社内でその仕事・機能のポジションを上げる、を考えます。
(実例を基に編集しています)
考えるきっかけは、わたしが所属している採用の仕事です。わたしは採用に携わって10年に満たないくらいです。それ以前の採用部門は、社内的に弱い立場にあるのでは?、と感じていました。
いざ、わたし自身がその火中に飛び込むことになり、どのように社内的に適切なポジションを確立してきたか、経験学習サイクルを回して振り返ってみることにしました。もちろんポジションづくりはまだ道半ばです。
まずはじめに、採用部門がどのように位置付けられていたか、です。
「採用」は、いまの人手不足、人材不足時代ではなおのこと、事業戦略の重要なパーツを占める仕事・機能である、と企業運営の通説になったと考えます。
当社は10年ほど前も今も「採用」は優先課題であり、重要機能の1つと考えています。10年ほど前の時点でも、口ではそう言っていました。しかしながら、実際のあり方は弱い立場にわたしには見えていました。
なお、新卒採用部門と中途採用部門があり、前者はとてもリスペクトされた扱いを受けている所感で、後者が今回のエントリーに該当します。
では、立ち位置が低い、あまりリスペクトされていないと感じていたのはなぜか、です。
それは、「採用ってオーダーすればできるのでしょ」くらいに軽んじられた言動を耳目にすることが多かったからです。
たとえば、人材要件のスキル・経験スペックは、すべてが備わったスーパーマンを悪気なく要望されていました。そして、その人材を「1ヵ月もあれば採用できる」と思っている発言が続きます。
「もう決まった?」、
なかなか採用が決まらないと
「なんでまだ決まらないの?」と、
詰めているのか、無邪気に質問しているか、どっちとも取れる疑問が軽々に投げかけられるのです。
つまり、採用の仕事は、求人を出し、紹介エージェントに手数料を払えば、希望の人材を紹介してもらえる「楽な」仕事だよね、と思われていたと想像します。
一方、採用目標を達成できた場合も(10年ほど前はほとんど達成をみたことはなかったのですが)、とくに感謝の言葉を聞いたことはありませんでした。
当時の採用部門の人たちが「感謝の言葉がほしかった」わけではありません。が、機能部門として当たり前だよね、の姿勢を感じたことは1度ではありませんでした。
これが、ライン部門の言動から見た、採用部門の仕事がリスペクトされていない、とわたしが感じた理由です。
もう一方、採用部門の問題もあります。こちらが根本的な要因と考えています。自分たちのしている行動が、相手の行動を助長する構造です。ピグマリオン効果が自分たち起点、かつマイナスに作用するイメージです。
具体的にはどんなことか、です。
たとえば、採用活動が芳しくない状況の時に、できない理由、エクスキューズばかりに終始していたことです。その理由も、具体的でなく、一般論レベルの解像度の粗さです。
「求人倍率が上がっているため」
「求人市場が活発化しているから」
「自社にブランドがないため」
「競合企業の年収が当社より高いため」
などです。
また、たとえば、求人要件がスーパーマンかつ短納期(無茶な納期)の場合にも、適切な期待値調整・交渉を行なわなかったことです。
採用部門は「無理」と思っているのにも関わらず、「承知しました」と要望を承ってしまい、バッドスパイラルにハマってしまうケースもよく見ました。
2つの例を挙げましたが、要するに説明責任と提案責任を果たしていないことです。ですからリスペクトされない理由を自分たちで作ってしまっていた構造です。
3つ目に、求人部門と採用部門は、いわばサービスを利用する顧客とサービスを提供する事業者です。この権力格差の構造が潜在的にはあると考えます。
では、こうした構造とその要因を、わたしが携わることになって、どのように変えていったか、を最後に少し共有させてください。
それは、つきつめると「提案する」ことです。
まず、提案行動を通じて、現状の事実を具体的な各論で説明することです。
たとえば、年収条件差で競合企業に負けていることが多ければ、その事実とどのくらいの年収差があると、どのくらい勝敗が変わるのか、まで捉えるなど各論にします。
次に、問題解決のためにどうやって改善できるかを具体的に提示することです。
面接で、応募者に気づきのある体験をしてもらう、を掲げた時期があります。それは、なぜか、それが上手くいくと採用効果にどう影響するのか、それは面接の中でどんな姿勢で接し、どんな質問をするのか、まで具体的な改善策を提示します。
さらに、構造的要因である権力格差を極小にするために、「おかしいことはおかしいと言う」行動をしています。
たとえば、スーパーマンなんていませんよ、と率直に伝えます。内定条件を究極にまで絞ってもらいます。年収条件は最低○○万円に引き上げると合意します。
さらには、面接で何を評価しているのか不明ですよ、など求人部門が飲み込んでおく条件や適宜のフィードバックを提示していくことです。この行動によって、顧客と受託事業者の関係ではなく、対等フェアなパートナー関係を確立することです。
このような採用部門として、リーダーフルな行動を通して、自分たちのポジションを確立しています。もちろん成果が出たときは、適度にアピールもするなど。広報的な戦略をとることも忘れません。
最後に、こうした行動をとっていったとしても、結果が出ないとそれはオオカミ少年になってしまいます。
ですから、成果を出さないと、あるべきを言っているだけになってしまいます。すると、またポジションは下がり、リスペクトしあう関係にはなりません。
ですから、突きつめると、不断の提案と改善によって成果を出し続けること、と当たり前の話に収れんします。
みなさんは、自分のポジション、自分が所属しているチームのプレゼンスをどのように感じていらっしゃいますか。どのように適切な位置にもっていっていますか。
それでは、また。