#264 「良い」の基準を問い直す学習 24/11/4
こんにちは。
今日は、経験学習や組織学習の「学習」を考えます。
学習する・学ぶとは、成長することとほぼ同義だと考えています。
ビジネスパーソン個人の、そして、その集合体としての企業組織、あるいはその中のチーム単位の成長があります。それから、スキル習得・マスターリングの意味合いの成長と、持っている規範や価値観の前提が変容する学習・ラーニングによる成長の位相があると考えます。
個人からチーム、組織への広がりと、
習得・マスタリングから学習・ラーニングへの階層の深さ、があります。
今日、主にスポットライトを当てたいのは、「学習・ラーニング」です。
まず個々人としての学習は、経験学習サイクルを基本とするのが最適なのではないか、と考えています。PDCAサイクルとは異なるものですが、概念的イメージとして捉えるには良いかもしれません。
経験学習は、具体的経験→内省的観察→抽象的概念化→能動的実験、のサイクルを回します。その4つのサイクルに、「適応」「発散」「同化」「収束」の適応的課題が配置されています。PDCAは計画→実行→検証→再現的実行と一直線な動きを取るのに対して、経験学習サイクルは、行ったり来たりしながら進んでいく動きを取っています。
話を戻しますと、その経験学習を、スキル階層の習得で回す、すなわち行動して結果を得る、そしてまた行動を書き換えていくスタイルです。ですから、ある種ひたすらに、行動と結果を繰り返して改善していく習得(学習)です。
一方、その行動→結果から、それが生まれたプロセス、感情やマインドセット、規範的な仕事の仕方、過去の成功体験などにまで掘り下げて結果を振り返りして、次のアクションに反映していくスタイルがあります。
それが学習・ラーニングです。より深層部のTier1にまで省察、考察を掘り下げて行なうものです。このTier1に新たな前提を捉えなおしができ、それが書き換わることが変容的学習となり、一段上の成長を遂げると考えます。注意しておくのは、Tier1ばかりをぐるぐる回すと、行動が起きませんから、そもそもの振り返りのためのインプットがなくなります。ですから、Tier2のサイクルを回し、振り返りを積み重ねておくことも必要です。
この個々人のTier1の学習したこと、言い換えるとノウハウ、ナレッジたる暗黙知を、次にチームで共有します。それぞれが学習した暗黙知をチームで共有・共同にして、それを言語にしてみる。「アレだよね」の感覚がそのサークル内では感覚的共有に至ります。それがチームとしての暗黙知の言語化です。次に、その暗黙知をつなげた形で、より広いチーム=組織に共有しようとすると「阿吽の呼吸」的言語化のみでは行き届かなくなります。ですから形式知に昇華させていきます。わかりやすいのは業務マニュアルや手順書、研修の資料、独自のフレームワーク、社内イントラネットの情報共有、ベストプラクティス、成功事例などによる共有です。その組織で形式知となったものをまた異なる職場、環境で使い実践知をため込んでいきます。形式知の活用、応用です。このサイクルを繰り返し、また個々人に新たな暗黙知をためていきます。これが、野中郁次郎先生が提唱されたSECIモデルです。
個人の学習・ラーニングから、組織の学習・ラーニングへの展開・発展、あるいはその両者のつながりは、やがて組織学習に昇華されます。まず、Tier2のスキル習得・マスタリングとしての組織ケイパビリティの向上です。その行動と結果の振り返りと改善を回すことです。次に、そのTier2を経て、Tier1の組織ルーティンや、前提的な価値基準の問い直しや書き換えが起こります。たとえば、そのチーム良い品質とは何か、お客様にとって良い成果とは何か、組織としての良さの基準をリフレームすることです。それが入れ替わると、組織的な学習・ラーニング、すなわち組織学習が起こった、と意味づけることができます。
さて、みなさんはスキル習得・マスタリングと、前提の捉えなおしによる価値基準の学習・ラーニングの2つの性質をもつ学習をどのように捉えますか。
それでは、また。
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