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#50 小さい恩をたくさん売る
【私の仕事術:❺仕事に役立つ交渉術】
頼まれた仕事は、すぐに全力で取り組んで恩を売っておく。
今回は「いかに、したたかにいるか」という話なので、本当はこういう場で話すのは、手の内を見せているようなので恥ずかしいのですが、そんなお話です。
交渉は「持ちつ、持たれつ」のところが大いにあります。
どちらか一方の要望だけが通るというのは大きな力関係でもない限り稀で、基本的には双方にとってメリットがあるレベル、妥協できるレベルに内容を修正して締結する。もしくは双方に同じだけの痛みが伴うという形で決着する事が大半ではないでしょうか?
そんな時、少しでも自分に優位な方に話を進めたいですし、会社からも当然それを求められます。
すんなりと済む交渉なら何も問題ないですが、一度、交渉が難航し、どこで妥協するかが論点になると、お互いのプライドがぶつかる譲れない戦いになっていきます。
そうなると、どんなにこちら側がロジカルに説明をしても、先方は先方のロジックで返してくるので、議論は平行線をたどる事に。。
理屈じゃないところで決着をつけるには、どうするか?
ずばり、それは
『どちらかが折れて、恩を売る』
これしかないでしょうね。
個人的には不本意ですが、いわゆる「大人の対応」で話をまとめるという方法は、ビジネスシーンでよくあります。
ただ、話がまとまらない、どちらかが妥協しないといけない、だからこちら側が折れるというのは良くありません。交渉に負けたとか、「あの会社は強く言えば最後は折れる」みたいにその後の力関係にも影響するのであまりしたくないものです。
ですから、そんな状況を事前に回避する為にも、日頃から
『頼まれた仕事は、すぐに全力で取り組む』
というのを心がけ、あらかじめ色々と恩を売っておく事は結構大切です。
ここで言う「頼まれた仕事」というのは、例えば、メールで商談の議事録を送る、会議で話題になった事を資料にまとめて先方の社内説明に使ってもらうとか、上席を交えた会議の日程調整みたいな、ちょっとめんどくさい事や、些細な事も含まれます。
交渉とはいえ、相手も人間ですから、日頃から役に立っている人や、何か助けてくれた恩人には冷たい対応はしませんし、難航した時も「今回は本当にすみません」と懇願すると、口にはしませんが「いつもお世話になっているからな」と態度を軟化してくれたりもします。
また、頼んだ仕事を迅速に、かつ期待値を超える対応をすると、「この人は、助けてくれる、やってくれる!」と相手からの信頼も得やすくなります。
「あの人には、いつもお世話になっているからな」「長年の付き合いもあるしな」と思わせる事は、特に交渉が揉めれば揉めるほど効いてきます。
このように恩を売っていると、今まで教えてくれなかった事を教えてくれるようになったり、それこそ交渉の前情報として先方の考えや事情を聞かせてくれて、互いに無難に事を済ませるような話もしてくれます。
「なんだかめんどくさいな」って感じた方も多いと思いますが、争いを事前に防げたり、悪化しない為にも小さな所で恩を売っていきましょう。
交渉ごとは、意外と交渉する前に実は結果が決まっているかもしれませんね。