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番外編⑫:「戦略ごっこ」を読んで、自身にとって大切そうなことをまとめてみた

戦略ごっこ マーケティング以前の問題(芹澤 連 著)を読んだので、自分にとって大切そうなことをメモしてみました。

マーケティングの世界で「当たり前」として、何となく多くの人たちに認識されている事柄(通説)に対して、「事実と根拠」の観点から切り込んでくれている本です。「何となく、通説を分かったような気持ちになっている人」が読むと、ハッと気付かされることもあり、面白いかなという印象です。

以下、自分にとって印象に残ったポイントをメモします。
※ このnoteのメモには、自分の解釈が多分に含まれております。
 そのため、ご興味を持った方はご自身で読んでみてもらえると嬉しいです。


価格プロモーションにできること・できないこと

実務において、新商品のトライアルや既存ラインアップのテコ入れなどを目的として「ディスカウントなどの価格プロモーション」を実施することがあるかと思うが、「それによって実際に何を得て、何を失っているのか」ということを、今一度確認する。

まず、価格プロモーションに関して、下記のようなことを言う人がいる。

  • 新規顧客が検討しやすい価格にすることでトライアルを増やそう

  • いつもは買ってくれない人に届きやすくして、製品の良さを知ってもらおう

しかしながら、実は、価格プロモーションに反応するのは主に既存顧客であるため、新規獲得の効果はあまりないことが知られている。

価格プロモーションで買う人の大半は既存顧客

確かに、価格プロモーションによってトップラインが上がることはあるが、それは単に「価格プロモーションをしなくても定価で買っていた既存顧客に、安く売っただけ」という可能性がある。そして、価格プロモーションで買う人の約8割が既存顧客という報告がある。

また、価格プロモーションには長期的なブランド構築効果はなく、むしろ価格感度を高めるだけということが知られている。安売りで買っただけの人が、次の購入機会でいきなり定価で買ってくれるほど、ブランディングは簡単なものではない。

価格プロモーションの使いどころ

価格プロモーションにはあまりポジティブな効果が期待できないという中で、使いどころがあるとすれば「極めて小さなブランドの売上のベースラインを高めるとき」である。

シェアが3%以下の小さなブランドでは、価格プロモーション含む短期型プロモーションが、その後も継続的に売上に貢献する場合があることが報告されている。

常にではないにせよ、ブランドが小さな時はブランド価値向上に努めるとともに、新商品を出してプロモーションするのも一つの手なのかもしれない。

ファンの声に応えているのか・無茶を叶えているだけなのか

価格設定をしているとき、ファンユーザーの顔が思い浮かぶ人は多いと思う。
「時には厳しい意見もあるけれど、製品を大好きと言ってくれている」「だから新商品にも興味を持ってもらえるのではないか」といった形で、売る側も、ファンユーザーには期待を寄せる。

一方、「お気持ちだけのファンユーザー」も一定する存在するのは、事実としてある。

声を聞くべき、本物のファンユーザーとは

市場には、「製品・ブランドが好きだと言う割には、高い金を出したくない」「高品質の製品・サービスを要求する割には、それに対して追加の支払いはしたくない」という人が一定する存在する。こうした「お気持ちだけのファンユーザー」の要望を叶えていても、企業としは損しかない。

すなわち「声を聞くべき本物のファンユーザー」と「お気持ちだけのファンユーザー」の境界は、「追加の対価を支払う意思があるか、ないか」で判断する必要がある。

また、「お気持ちだけのファンユーザー」は「価格の安さ」に反応する傾向があるため、ここを見誤ると間違えた価格設定をしてしまう可能性もある。

人を見る基準は「何を言っているか」ではなく「何をしているか」

「製品・ブランドが好きだと言っているからお金もたくさん払ってくれるはず」ではない。ファンユーザー見極めは「実際の製品の使い方」や「これまでの購買」をみて、実施する必要がある。


以上です。


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