![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/149184603/rectangle_large_type_2_82bf0116ed1dbcf25257f687f5e63872.jpeg?width=1200)
人間らしさ
そういえば私はエッセイの中でよく
「私はロッククライマーだ」
と言っているが、
ロッククライミングについて
書いたことがなかった。
今回は私の
ロッククライミングライフ in アメリカ
について書かせていただきたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1722443513753-8ALcDtM6s1.png?width=1200)
まずはクライミングと私の
運命の出会いから説明したい。
私が初めてクライミングというのを知ったのは、
その当時デートしていた男性に
ボルダリングジムに誘われたことが
キッカケだった。
当時の私は、正直そんなに乗り気ではなかった。
クライミング?
壁に登って何が楽しいのさ?
と、最初はクライミングに対して
ネガティブに考えていた。
性格悪いのが丸出しである。
![](https://assets.st-note.com/img/1722438791948-FaFtym60hi.png?width=1200)
ボルダリング当日。
赤や黄色、緑など様々な色や形の
クライミングホールドが人工壁に散りばめてある。
人工壁も垂直なのもあれば、
傾斜が強かったり、
円形状だったりもする。
見ているだけでも何だか楽しい。
地面は怪我防止のためか
分厚いマットが敷かれている。
ジムのレンタル用のクライミングシューズに
足を入れ込む。
窮屈な位がいいよ。と教えられたので、
通常よりワンサイズ小さいサイズを借りていた。
なんとも履き心地の悪い靴だ。
心の中でそんな悪態をついた。
チョークを両手につけて、
早速ビギナーのルートを登ってみた。
色は紫。
ホールドは持ちやすい。
どんどん上まで登っていく。
最後のホールドを掴み、
さて下に戻るかと下を見下ろした時、
自分が意外と高い場所にいることに気づく。
急に足がすくむ。
だがいつまでも
壁にへばりついている訳にはいかない。
恐る恐る降り、
着地できそうな高さからジャンプをした。
![](https://assets.st-note.com/img/1722439386691-khqrcGyXvT.png?width=1200)
指先がジンジンしている。
心臓がドキドキしている。
息がハァハァしている。
え、クライミングって楽しいじゃん!
![](https://assets.st-note.com/img/1722440088048-MrgEYRVkoH.png?width=1200)
それから私はデートの相手はそっちのけで、
いくつかのルートを夢中で登った。
腕はパンパンになり、
最終的に手のひらの皮が剥け、
そこでその日をクライミングは終了した。
身体能力には多少の自信があったはずなのに、
全然上手く登れない。
なんなら子供の方がずっと上手く登れている。
競争精神のあった私に火をつけたわけだ。
外見から入る私は、
続くかも分からないのに
クライミングシューズとチョークバッグを購入。
数回ボルダリングジムに行き、
少しづつ上達していくかに思われた。
![](https://assets.st-note.com/img/1722440719195-l27p7ekwme.png?width=1200)
が、そのデートしていた男性とは長く続かず、
それと同時に
ボルダリングに対する気持ちも冷めていった。
せっかく購入したギアたちは、
クローゼットの奥に数年間眠ることになった。
しかも引っ越しの際に
もう使わないだろう。と、
それらを断捨離してしまったのだ。
数年後、私はハイキングやバックパッキングに
夢中になっていた。
そうなると自然に岩や大きな壁に興味がいく。
ここを登れたら楽しそうだな。と。
目標をアウトドアクライミングとし、
私はまたクライミングジムに通うようになった。
![](https://assets.st-note.com/img/1722441344684-5z12VnII4O.png?width=1200)
しばらくは一人で手軽に登れる
ボルダリングを楽しんでいたのだが、
腰や足首の負担が大きかったようで
よく怪我をするようになった。
更に壁から落ちた時の着地が上手くいかず、
左足膝のじん帯を痛めてしまったことがあった。
治療とリハビリには時間がかかった。
だがどうしても登りたかった私は、
オートビレイ(自動ビレイ機)を使って、
完治していない膝で登り始めた。
その頃の私は、
クライミング無しの生活は考えられなかった。
それらの怪我の経験と
長期目線でクライミングを続けたい
という思いから、
ロープを使ったクライミングに
シフトすることに決めた。
そこから私のスポーツクライミング人生が
始まった。
アウトドアで登れるように
基本スキルや知識を身につけ、
必要なギアを集めだし、
登れる岩場を探した。
そして一緒に登れるパートナーたちと
ニューヨークの岩場を楽しんだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1722442682912-wCZQaQ1Qtz.png?width=1200)
ジムでのクライミングは続け、
難しいルートを登っている人たちに
胸をときめかせたりもした。
私にとって、
どんなにかっこいい俳優やモデルよりも、
強いクライマーが誰よりも魅力的なのだ。
そして共通の趣味で狸と出会い、
彼と一緒に住むために
私がサンディエゴに引っ越す形となった。
彼と一緒になってからは、
暇さえあれば岩場へ出向いている。
クライミングをメインとした旅に出て、
その土地の壁を楽しむようになった。
山の形状が違うように、
壁の触り心地や色もそれぞれ異なるのだ。
もっと色々な場所で登ってみたい。
![](https://assets.st-note.com/img/1722442715939-BdfNMgsWa8.jpg)
ロッククライミングを始めてから、
更に自然の中で遊ぶようになった。
自然を感じるだけで幸せを感じる。
岩場で出会ったクライマーたちとの会話も楽しい。
壁から見渡す景色は最高で、
涙が出そうになる時もある。
クライミングは私に人間らしさを取り戻させた。
子供のころに感じた
あのワクワクしたりドキドキする感じを、
大人になるにつれて忘れていったように思う。
今、私は次のクライミングの旅を楽しみに、
日々のトレーニングに励んでいる。
80歳になってもクライミングを続けていたい。