鍋のマナー
寒くなってきたので鍋。
仕事が詰まっている私に代わり、彼が作ってくれた。市販のつゆに白菜やねぎ、鶏肉などの具材を入れただけだが、美味しかった。とくに油揚げが意外に美味しいね、しめじの石づきは次からちゃんと取ってほしいけど。
ところで鍋を囲むとき、どのように食べていますか。
私はこの後の〆の雑炊(やうどんやラーメン)にスープを残すため、菜箸で具材だけをつまみ、スープをこそぐようにして取る。ところが、彼はお玉でまずスープを取り「はぁ~」とか言いながら飲み、そこにお玉で具材を入れていく。その後も時々スープを飲む。
信じられない光景だった。
私は3兄弟、5人家族で育った。鍋のルールは厳格に「スープ取るべからず」。〆のためだ。お玉で具材を取るのはもちろん、スープを飲むなんてもってのほか。雑炊前に個々のお椀にスープが溜まっていようものなら冷たい目が向けられる(気がする)。
一方、彼は一人っ子で片親で育ったため食事は最大2名。鍋のスープなんて飲みたいから飲む以外、考えたこともないそう。
私がいかにスープを残すことが大切かを説くと、「2人なんだから絶対足りるって。ほら、飲んで、楽になるから!」とお玉になみなみとスープを掬い、私のお椀へ入れようとする。
やめろ!もったいない!と本能が拒否する。
家庭環境が与える影響は、大人になっても大きい。生まれてくる子にはケチタイプにもわがままタイプにも受け入れてもらえるよう「この後雑炊するよね?少しスープ飲んでいい?」と聞ける子になってほしい。