採用担当としての半年間を経て、非言語化の価値に気づいた話
どうも、世界中のヒトや組織の可能性を拡げたい、川上(@_YukiKawakami)です。PeopleTech事業を展開するアトラエという会社でHRをやっています。
ついに社会人として3年を終えようとしていますが、採用担当として過ごした半年間を振り返ってみたいと思い、noteを書き始めました。
このnoteでは、言語化することで情報を届けようと努力した結果、逆に非言語化することの重要性に気づいた話をまとめたいと思います。
半年前、採用担当になりたての頃に書いたnoteはこちらです。もしよければこちらもご一読ください。
そうだ、ソアリンに乗ろう
突然ですが、みなさんは東京ディズニーシーにあるアトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」に乗ったことはありますか?
まだの方は是非乗ってみてください。この作品は、非言語化のオンパレードです。
実は先日、非言語化の価値について自分の中で腹落ちしていたタイミングで、ディズニーのことを全く知らない方と一緒にディズニーシーに行く機会がありました。(僕は、エリアミュージックを中心にディズニーのことが結構好きです)
ソアリンは、「イマジネーションや夢見る力があれば、時空を超え、どこにでも行くことができる」という信念を持った探検家の研究成果である、空飛ぶ乗り物「ドリームフライヤー」に乗って、時空を超えた旅をするアトラクションです。
また、ソアリンが体験できる建物には、そんな彼女の父親が初代館長を務めた展示会となっており、現在は彼女の生誕100周年を記念した特別展が開催されているという設定があります。
こだわった背景がある一方、実は背景や設定に「言語的説明」がされるのは、さらに奥に進んだ場でしか行われません。待ち時間を120分とした場合、110分ほどは言語的説明を一切受けないのです。
今回はあえて、「ディズニーらしさ」が一般的に認知が取れているであろうプリンセス系やピクサー作品をテーマとしていないアトラクションに焦点を置いてみました。
しかしながら、ディズニーにとっては、ソアリンに限らずいずれのアトラクションも、世界中に感動や勇気、インスピレーションを提供するための手段であり、コンテキストも含めて体験してくれたゲストに伝えたいはずです。
実際に伝わるのかどうかは体験してみてからのお楽しみですが、僕としては「身体を通して感じられた情報があったからこそ楽しめた」という感想を持ちました。
Q/ 非常に短い言語的説明にも関わらず、世界観が伝わってくるのはなぜか
Q/ 各アトラクションの細かい背景設定をどのように伝えているのか
そんな問いと向き合う中で、頭に入ってきた言語以上に伝わっている情報が多かったと自身の体験を振り返り、僕は「人は言語に頼りすぎていて、思考に支配されているのではないか」と考えるようになりました。
伝えたい情報を正しく伝える上で、言語のみで伝えられると思うなんて、もはやおこがましい。そんな感覚を持つようになったのです。
なぜ言語化をするのか
さてここからは夢の世界から離れて、非言語化のテーマですが言語化していきます。
まずは、人はなぜ言語化するのか?についてです。僕がこの問いに今答えると、「ヒトは伝わることを優先するため」と回答します。
前提として、人は情報伝達において、さまざまな方法で"伝える"努力をし、"伝わる"という状態を目指しています。
その上で、成果(≒売上)と紐付けをしやすくした方が報われやすい資本主義による力学や、他者からの承認を得られやすくしたいという承認欲求によって、本来伝えたい情報の全てを正しく伝えることよりも、伝わる情報を伝え切ることが優先されてきてしまったのではないかと考えています。
また、言語化という行為は、伝えたい情報を「言語」という一つの表現方法で圧縮し、データ量を減らしているとも言えます。
データ量を減らすことによって、相手にとって最も伝わるであろうストーリーや導入に合わせて、どの情報を渡すのが最適なのか?を考えてから伝達することを可能としているのではとも思うのです。
もちろん、言語化をすることによって伝わりやすい表現に変換すること自体はとても重要です。ただ、ここで伝えたいのは「伝えたい情報を言語のみで伝えることは不可能」ということです。
例えばこれは、"カルチャー" や "らしさ" のような、各社様が言語化に取り組んでいる概念に対しても同じことが言えると考えています。
あくまでも、言語化しているものが全てではなく、共に育み、感じ取り、描いていく。
言語化ならではの強みがあるものの、それに頼りすぎてしまうと伝えたいコトの全てを表現出来ません。情報を圧縮した際に失ったコンテキストも含めなければ"正しい情報"としては伝わらないのです。
だからこそ、非言語によって伝えることが優位である、一般的には「伝わりづらい」情報の価値も正しく認識し、向き合う必要があると考えました。
採用活動で考える「非言語化」
次に、実際にこの半年間経験してきた採用活動を例に、非言語の価値について具体的に整理してみます。
ここでは、採用活動においてのアトラクトを ① 短期 ⇔ 中長期 ②論理 ⇔ 直感 の2軸で構成される4象限で分類してみました。アトラクトにも、定量的であればあるほど思考優位で判断をし、定性的であればあるほど直感優位で判断をする特徴がありそうです。
SO・年収・キャリアステップ…。事業成長を描くために必要な人員を調達するために、採用マーケットの動き候補者のニーズに合わせた結果、「わかりやすいもの」が評価されやすくなるのは至極真っ当です。つまり、採用する側のプレイヤーは、短期 × 論理に寄せて「説明する」という行為を優先したくなります。
仮に自分たちが信じ抜いている価値であったとしても、分かりやすい説明を経て「誰もが信じられる価値」に変えなければ、伝わらなくなってしまう。もしくは、他の分かりやすい求人に採用したい人を採られてしまう。
はたして、そのゲームルールに流されて、私たちは本来の目的である組織拡大ができるのか。今回はそんな問いをもとに、非言語化の価値を考えます。
まさに、燃えよドラゴンの"Don't think.Feel."ではないですが、なぜか合理が優位に立ってしまい、言語化が優先される社会でも、身体的理解を通して伝わりやすい「言語に頼ったことによって失われていた情報」は多く存在し、これらの情報伝達を諦めずに、正しく伝えてこそデキる採用担当だと考えるようになりました。
上記の考えによって採用担当である自分の仕事を見直すとしたら、以下の通り。
短期的に証明できる魅力を、論理と直感の双方で説明できるだけでなく、それらを紐づけること。これによって、わかりやすい魅力が入り口であったとしても、自社のアイデンティティを失いづらくなる。(短期 × 論理 ⇔ 短期 × 直感)
あえて言語化に頼らずに非言語的説明ができる体験設計を準備する。これによって、伝えたい情報の正しさが増し、より共鳴してくれる仲間が増える可能性が高まる。(直感側)
組織を強くするための採用において、より多くの人を正しい情報で魅了するためには、非言語による情報伝達が必要なのです。
アトラエを体験する
半年間採用担当をやってきて断言できることは、アトラエは、説明しづらく、分かりにくい会社・チームである、ということです。
これは、決して分かりにくいことをやっているだとか、志向性として社会性が低いとかではありません。アトラエという生態系を説明するために「翻訳」にある種向き合ってきました。
そこで気づいたのが、今回のnoteの内容である「非言語の価値」です。
僕自身、アトラエという会社に出会ったのは、とある会社の最終選考前に実施をした内定者人事との面談です。僕自身の生き方や考え方を伝えると、彼はアトラエに触れてみてほしいと紹介してくれました。
彼からすればKPIに対して反する行為ですし、さらに彼は、過去にアトラエの選考でお見送りになった経験をお持ちの方でした。その行動に理解ができなかった当時の僕ですが、今なら理解ができます。
アトラエの面白さは、全ての意思決定が「大切な人に誇れる会社であり続ける(フィロソフィー)」と「世界中の人々を魅了する会社を創る(ビジョン)」にアラインしているという一貫性だと思っています。
加えて、決してアトラエの考えをトップダウンで浸透させているわけではなく、各メンバーの生き方やストーリーと共鳴していることで成り立っており、少なくとも自分の人生の経営者として自分の人生を自分で生き続けている仲間たちで構成されていることも面白さを倍増している要因です。
これを言語で説明しようとすると普遍性が高くなってしまい、「誇り」や「魅了」はあくまで一般名詞のまま取り扱われ、アトラエならではの固有名詞として伝わることは難しいと思っています。だからこそ、感じて欲しいのです。
アトラエでは、まるでコミュニティのように社員や外部の方が集まり、お酒を片手に事業や組織について熱く語り合うことができる「アトラエバー」という場があります。ここは、アトラエのOS(Operating System)を体験していただける場として、形は変われど、創業以来ずっと存在してきた空間になります。
そこには、アトラエのメンバーであるかどうかは一切関係なく、ビジネスやチームに想いを持った同志が集まります。今までもずっとファンがファンを呼んできたこの場に、少しでも興味を持ってくださる方がいましたら、是非共に語り合いましょう。
この組織には血が通っています。エネルギーを感じたい方は是非体験しにきてください。
もちろん、今も昔も変わらないアトラエの考え方について、社長との対談の中で言語化したものも存在します。まずは言語化されたもので理解したい、という方は是非ご一読ください。