日本で70業種が利用する「伸びてるホリゾンタルSaaS」 IVRyのプロダクトマネジメント考
この記事は
斜め読み用のサマリ:今回はこんな話です。
1.「伸びてるSaaS」IVRy
導入業界が50以上→70業界、日本の70%以上の業種をカバー
ホリゾンタルにマーケティング活動するために「狙い」を持ったプロダクト設計を行っている
2. 「ホリゾンタルSaaS」IVRyのプロダクトマネジメントで意識していること
業務ユースケースの理解・抽象化
何をつくって/つくらないかのバランス
ユーザーの利用体験のシンプル化
3. PdMにとっての「伸びてるホリゾンタルSaaS」IVRyのおもしろさ
ホリゾンタルSaaSサービスとしてのプロダクトマネジメント
AI・LLMsを活用した非連続なマルチプロダクト展開
バーティカル・EPへのローカライズ
各業界のキークライアントとのアライアンス
0. はじめに
こんにちは。電話DX SaaS「IVRy」(アイブリー)のプロダクトマネージャーをやっています高柳(@neveryanagi)です。
前職のリクルートでは新規事業領域(保険、CtoCマッチング)で主にBtoCのバーティカルサービスにマーケター・開発ディレクターとして携わっていました。
2022年7月にIVRyへ入社した後はメインの電話DX SaaS IVRyや新規プロダクトのプロダクトマネジメント全般に携わっています。
IVRyは「最高の技術を、すべての企業に届ける 」というミッションを掲げ、日本の99.7%を占めるスモールビジネスや中小企業を主な対象として、様々なシーンでの電話業務を自動化し、フロントオフィス業務の効率化及び生産性向上を実現する電話DX SaaS「IVRy」を提供しています。
そんなIVRy、実はいまめちゃめちゃ「伸びている」んですが、まだまだ皆さんにお伝えしきれてない。
ということで本日のアドカレではまだ知られていないIVRyの伸びてる&面白いポイントをご紹介しつつ、IVRyが向き合うホリゾンタルSaaSプロダクトの考え方についても触れていければと思います。
1. 日本の70業種が利用している「伸びてるSaaS」IVRy
電話DX SaaS「IVRy」は電話の自動応対サービスです。
お客様からの問い合わせ内容に応じて、自由にルールを設定し、お電話の振り分け・自動対応をすることができます。
①「SMS」で予約サイトのURLや地図を送付
②本部や別の店舗で対応したい内容は「電話転送」
③ちょっと遅れますみたいな内容は「音声録音」で後から確認
④荷物預かれますか?みたいな定形の質問には「自動音声」で回答
「電話ってレガシーなチャネルだからニーズ少ないのでは」と言われることもあるのですが、2023年9月末時点で、累計8,000以上のアカウント利用、累計1,000万件以上の着電の自動応答を実現しており、力強く成長を続けています。
そしてIVRyは利用クライアント数だけでなく導入業界が70業界まで拡大。実に日本の全業種・業界の70%以上をカバーしていることになります。
1.1 各業種でIVRyはどのように使われているか
IVRyをお使いいただいている顧客のみなさんの活用方法の実例をご紹介すると、業種・業界によって本当に多種多様な使い方をしていただいています。
宿泊業
・HPを見れば分かる問い合わせに対して、音声ガイダンスとSMS送信機能で案内を自動化
飲食業
・ピークタイムにかかってくる予約電話を公式LINEやグルメサイトへ誘導
・当日の予約や急ぎの電話は転送で担当者が対応
医療
・問診システムのURLをSMS送信機能で送り、事前に必要事項を入力してもらう
・急ぎの電話に直接出れないときは録音対応し、後からAIによる文字起こしや要約内容を確認
最近導入いただいた業界では、
水道業
・故障修理などの急ぎの対応とそれ以外の対応を自動振り分け
食品製造メーカー
・製品質問、電話営業、お客様からの問い合わせなど、多種多様な問い合わせを適切な担当者に振り分け転送
運送業
・バスやタクシーなど複数の乗り物の手配を適切な担当者に振り分け・対応の自動化
・電話転送をIVRyで受けることでコールセンターのような使い方も
1.2 なぜ日本の70業種で使われているのか
これらの多種に渡る業界をIVRyはプロダクト・マーケともにかなり「意識的に」獲得しています。一例でいくと、プロダクトを
月額3,000円〜、HPから必要事項を登録すればすぐに使える
特定の業種に偏りすぎない機能提供
にすることで顧客の利用ハードルを下げ、更に特定の業種にしかマーケティング訴求できないような制約を生まずに業種横断的にマーケティング活動することを可能にしています。
リード獲得後はSales・CSの顧客接点の中で業界ごとの利用ユースケースに対してプロダクト活用方法が型化され、導入事例のような各業種へのマーケ訴求コンテンツになったり、足りないポイントはプロダクトへとフィードバックされていきます。
そういった狙いもありつつ、
急にお客様から「私の超超お世話になっている方にもIVRyの説明をしてあげてほしい!!」と同業の方を紹介していただいたり
X(Twitter)でIVRyをひたすら褒めていただいたり
と「自然発生的に」サービスを広げていただいている点も非常に大きいです。
IVRyをご利用頂いている飲食店様(ワインと鍋さま)の声。いつもありがとうございます!!
2. 「ホリゾンタルSaaS」IVRyのプロダクトマネジメントの力点
改めて、IVRyは電話をはじめとした「法人のフロントオフィス業務を効率化する」ためのサービスを「特定の業種に絞らないホリゾンタルSaaS」として提供しています。
フロントオフィス業務:顧客と直接接触を持つ業務(受付、接客、問い合わせ対応など)
バックオフィス業務:顧客との直接接触が少ない業務(人事、経理、総務、生産管理など)
国内ではSaaS第2世代を中心に「フロントオフィス業務まで課題解決するバーティカルSaaSサービス」は複数存在する一方で、「フロントオフィス業務のホリゾンタルSaaSサービス」の数はまだまだ少なく、SaaSサービスの中でも少しユニークな立ち位置かもしれません。
余談:SaaSの世代構造と特徴については弊社CEO奥西がPodcastでお話させていただいています。
前職で取り組んでいたバーティカルプロダクトと比べてホリゾンタルプロダクトならではの特徴・力点が存在しているため、比較を織り交ぜながら「日本の全業種・業界の70%以上」へ展開しているのIVRyのプロダクトマネジメントのポイントを3つ取り上げていきたいと思います。
2.1 ホリゾンタルなプロダクトマネジメントの3つのポイント
業務ユースケースの理解・抽象化
何をつくって/つくらないかのバランス
ユーザーの利用体験のシンプル化
2.1.1 業務ユースケースの理解・抽象化
バーティカルなプロダクトの場合、特定の業界におけるペインを深掘り→業務ユースケースを拡張していきますが、ホリゾンタルなプロダクトの場合、複数業界で起きている事象を抽象化してサービスに落とし込む必要があります。
例えば、先程の顧客の使い方を抽象化すると「電話の取りこぼし防止」「営業電話シャットアウト」「電話対応の省力化」「代表電話の1次受け」などのユースケースが存在しており、各ユースケースがどの程度業界共通で汎用性があるのかを見極めてプロダクトを作っていきます。
そのため、ホリゾンタルなプロダクトマネジメントにおいては「顧客・業務ユースケースの理解と抽象化」がかなり重要なファクターになっていると実感しています。
先程の導入事例の取得も顧客・業務理解のために社内で仕組み化されており、プロダクトメンバー全員が顧客の解像度を高く持つことを強く意識しています。
2.1.2 何をつくって/つくらないかのバランス
一方で「すべてのCLに対しての業務ユースケースの抽象化・汎用化する」だけでなく「大規模CL群を獲得するためには特定ユースケースの深掘りが必要か」「このユースケースは業界ごとにかなり独自性があるため変に汎用化せずに個別化すべきか」をバランスよく意思決定をしなければいけないシーンが多いのも特徴です。
個人的には「ホリゾンタルに抽象化・汎用化」することが求められるホリゾンタルSaaSにとって、このバランス感覚を持ち続けることはかなり難しいポイントだと思っており、単純な売上インパクトだけでなく、文字通り「いつ」「どの順番に」「何を作って」「どんなユースケースを取るか」の多変量な意思決定がプロダクトマネージャーに求められます。
せっかくなのでいくつかのケースで考えてみたいと思います。
SMB / EP のカットで見ると、同じ業務ユースケースでも求めるカスタマイズ性やセキュリティ要件は異なるため「いまそこまで作り込むべきか」「まだ後回しにできるのか」をSales/CSの状況や外部環境情報を常にアップデートしてプロダクトに反映しています。
業務ユースケースベースで例に挙げると、「予約」における在庫連携のニーズは大きく・汎用的なのですが、業界ごとに既にリーディングカンパニーが存在しているケースが多いです。
自前で予約の機構を準備するのではなく、飲食領域であればリクルート社(ホットペッパー /レストランボード)と連携するなど自分たちで「やらないこと」のフォーカスを明確に切っています。
また、プロダクトフェーズの観点では各イシューに対して「PoC」「PMF」「Scale」というフェーズで区分けをし、組織もフェーズに沿ってデザインすることで
プロダクトを作ることで何を証明したいフェーズなのか
現時点でどれぐらいコミットすべきか /作り込むべきか
を全員で共通理解を持ちコミットできるような仕組みにトライし始めています。
2.1.3 ユーザーの利用体験のシンプル化
当たり前ですが、ホリゾンタルなサービスは様々なリテラシーのユーザーが利用します。
「鹿児島で数百年続くお茶屋さん」「街のお医者さん」「ITに強いスタートアップ」も等しく使うサービスだからこそ、誰が使ってもわかりやすい/使いやすいユーザー体験でないとホリゾンタルに顧客の課題解決をすることができません。
実はIVRy、セールスサポートなしに利用開始をしていただくセルフオンボーディング率が非常に高く、その後のNPSも非常に高いのですが、誰でも使えるサービスであることをお客様からも評価いただけている証かなと実感しています。
3. プロダクトマネージャーにとっての「伸びてるホリゾンタルSaaS」IVRyのおもしろさ
IVRyはいま国内でもユニークなホリゾンタルSaaSサービスとして圧倒的な速度で成長しています。
IVRy(アイブリー) Founder&CEOの奥西のアドカレにあった通り、IVRyは電話というインターフェースを再定義し、日本の地方や中小企業に音声対話AIを当たり前のものとして普及させることで、日本の人手不足問題の本質的な解決を目指しています。
一方で、ここぞというタイミングではバーティカル・EPへのローカライズや各業界のキークライアントとのプロダクトアライアンスにも取り組んでおり、(詳細は全然書けませんが)痺れる案件が同時並行で進んでいます。
ホリゾンタルSaaSサービスとしてのプロダクトマネジメント
AI・LLMsを活用した非連続なマルチプロダクト展開
バーティカル・EPへのローカライズ
各業界のキークライアントとのアライアンス
(手前味噌感満載ですが)PdMから見ると、死ぬほど挑戦的で世の中を変えられるチャレンジに溢れています。
つまり「入るなら今よりベストなタイミングはないし」「世の中を変えるワクワクするようなプロダクトマネジメントがしたいそこのあなたを待っている」ということです。
だいぶ書き散らかしてしまいましたが、ここに全然書ききれなかったマルチプロダクトの展開について気になる、いや私はプロダクトマネジメントについてこう思ってる!という意見などなどある方ぜひカジュアル面談なんかもお待ちしております!
明日のアドカレもお楽しみにー!
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