ラブ&サンダーを観た
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)最新作であるソー:ラブ&サンダーを観に行ってきた。
ちょうど3年前———まだコロナのクソはおとなしかったころの———コミ・コンでナタリー・ポートマンがムジョルニアを持ち上げ、世界に激震が走った日のことを覚えているだろうか。
コミックスではその数年前からジェーンがソーになるという展開はなされていたが、実際にMCUでやるとは…MCU…ビッグマネー…これは相当に気合の入った一発になるなと確信していた。
ソー・オーディンソンという男
ソーという男にどういうイメージを持つだろうか。ムキムキの神様でクソ強いがちょっとヌケててチャーミング…そんなイメージを持つ人が大半だろう。
今日のそんなキャラクター性を作ったのは、今作及び前作ラグナロク(バトルロイヤルという邦題はめちゃくちゃすべってたので使わない)でも監督を務めたタイカ・ワイティティという男によるものだ。
一作目とか二作目のソーの映画はなんか暗くてよくわからないし、あんまり興行収入もよくなかった。アベンジャーズに出てきた時も活躍していたとはいえキャラクターとしては結構ぼんやりとしていた————そこにクリス・ヘムズワースが本来持つチャーミングさとかめちゃくちゃ長生きだから現代の常識とかあんまりよくわかんない感じを足していき、親しみのある雷様へとなっていったのだ。
だがその人生には常に喪失がつきまとう————母、父、弟であるロキ(3回くらい死んだ)浅野忠信とか地元の仲間、生まれ故郷の惑星、ハンマー、恋人、目玉、髪の毛、エトセトラ…
ソーは疲れていた。俺の人生は、安寧とはどこに…?絆を築けるかと思ったガーディアンズともあんまり馴染めず、ソーは自分探しの旅に出た。そこである男が神を殺しまわっており、次は地球にやってくると聞くのが今回のラブ&サンダーだ。
命を懸けてでも
今回のヴィラン。ゴアは信じていた神に裏切られた結果家族を失い、すべての神を殺すことを目的としている。だが力の根源たるネクロソードは持ち主の生命力を奪う呪いの武器なので、正直長生きとかはできない。だが神殺しこそが己のデスティニーだと殺しまくっている。
そしてその完璧な対比になるのがナタリーポートマンだ。ナタリーはソーとなんやかんや普通にすれ違いで破局した後ステージ4のガンになり、化学療法も効かないので神パワーを求めていたところをムジョルニアに救われたのだが、結局変身するにも体力を使うので、体自体はボロボロだからそのうち死ぬ……でもハンマーに選ばれ、目の前の人が助けを求めているなら助けなければ———それこそデスティニーと考えているのだ。
互いに神でもなければ余命もない、この二人の精神的対比が全編を通して感じられるので非常に強固なプロットだといっていいだろう。
本物の筋肉がぶつかり合う
「最近の映画はCGとかグリーンバックでやってるから演技力が稚拙でよくないね」とか言っている懐古主義のクソ馬鹿どもはクリスヘムズワースをはじめとする主要人物たちの筋肉の前では台風を前にしたちり紙程度のあほだということが今回証明されている。
確かにCGやらすごい撮影技術によって今では故人をも生き返らせることのできる時代ではあるが、その中にあって本物でしか太刀打ちできないこと———それは筋肉だ。今作の日本での広報担当にはきんに君がついていることもわかる通り、MCUは筋肉に対してどいつもこいつもチョー本気だ。きんに君は世界規模の筋肉男なのでそれが完全に証明されているといっても過言ではないだろう。
つまるところどんなに豪華なCGを使おうが、やはり役者やスタントが本物を追求し続ける姿勢が映画の出来に直結するということだ。今作はどいつもこいつも過酷なトレーニングに裏付けされたアクションを炸裂させており、ものすごい解像度のLEDディスプレイの前で演技していても、まったく違和感がないのはそういうことだ。シュワルツネッガーやスタローンも筋肉に対して全く油断がなかったからそれぞれアクション映画の金字塔をうち立てている。
ジャッキーやトム・クルーズも自分の限界に常に挑戦し続けていることで世界中を沸かせているので、今後のMCUでも鍛え上げれた肉体のぶつかり合いには期待したい。
これからのアベンジャーズ
BIG3(アイアンマン、キャプテンアメリカ、ソー)のうち、ソーだけが戦い続ける道を選んだことが明白になった今作だが、フェーズ1~3までのようなユニバース全体の敵や要素はまだ出てきていない。ケビン・ファイギはIQが2億くらいある宇宙人なので全く心配していないが、ドラマに映画とさまざまなヒーローが乱立する中でそろそろ大規模なクロスオーバーを期待したいところではある。
きっとそこでもチャーミングな雷神が、我々を楽しませてくれるだろう。