【展レポ#2】1日に3つ美術展行ってきたから感想語らせてくれ
こんにちは、ならんはです。
今日のテーマは、タイトル通りです笑
先日、3つの美術展に行ってきたのでその感想をまとめてみます。行ってきた美術展は目次の通りです。
その1「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」
場所は東京都美術館。かつてロートレック展やゴッホ展で行ったことがあるので今回が3回目の訪問でした笑
ずっとフランス絵画周辺を勉強してきたので、オランダ絵画に触れたことがあんまりなくて、今回初めてオランダ絵画展に足を運びました。今回の学びを書かせていただきます。
①オランダ絵画の隆盛といえば17世紀であること
オランダ絵画の常識なのかもしれませんが、17世紀はオランダ絵画の黄金時代とも言われているようです。1648年ウェストファリア条約によってネーデルラント連邦共和国がスペイン王国から独立すると、世界的にも影響力を持ちはじめ、賞賛されることとなりました。特に有名な絵画作品としては、フェルメール『真珠の耳飾りの少女』や『牛乳を注ぐ女』でしょう。
美術展には展示されていませんでしたが、真珠の絵画や牛乳のミッフィコラボのぬいぐるみなどがグッズとして売られていましたね笑
フェルメールが描いた風俗画(日常生活を切り取ったような絵画)の中でも、モチーフとして「手紙」を使った作品は全部で6つあり、今回1番の目玉であるフェルメール『窓辺で手紙を読む女』がその好例と言えるでしょう。
このように、フェルメールは同じモチーフを使った作品をいくつも製作しているようです。ゴッホの連作みたいなイメージですかね。
②目や透明な球体の輝きが精密
17世紀オランダ絵画を代表する肖像画家といえばレンブラントでしょう。フェルメールとととにバロック絵画の代表的な画家と位置づけられることも多く、「明暗法」や「陰影法」と呼ばれる技法を用いることで、劇的な作品に仕上げることを可能にしました。
中でも、個人的なイメージにはなるのですが、オランダ絵画というかバロック絵画は、瞳の輝きが綺麗すぎるなと思うことがあります。
レンブラントは数多くの自画像や肖像画を描いており、光の明暗を巧みに表現していることでも知られています。
また、絵画のジャンルとしては肖像画をはじめ、風俗画や静物画が多く描かれることになります。
③目玉の『窓辺で手紙を読む女』は修復されたものだった
フェルメールか中でも好んで描いたとされるテーマは画中画。読んで字の如く、作品の中に描かれた絵画のこと。手紙を読む女はポスターにもある通り、背景にキューピッドの絵が飾られています。実は1979年X線調査の結果、壁の絵と他の部分の成分が違うことから、キューピッドの絵が塗りつぶされていたことが判明。研究の結果、画家自身が塗りつぶしたのではなく、別の人間によって塗りつぶされたことが判明。そこで、修復プロジェクトが始動。
ピンセットで少しずつニスを削り取り、徐々にその姿があらわになっていきます。復元された絵画がいくつか展示されていました。
芸術と自然科学が交わることがあるのかと驚嘆した瞬間でした。世界遺産などの建造物もそうですが、復元や修復には欠かせないジャンルであることがわかります。
その2「ミロ展ー日本を夢みて」
渋谷Bunkamuraの美術館ではスペインの20世紀を代表するジョアン・ミロ展にもやってきました。シュルレアリスムに分類されるのかと思いきや、運動に参加していたものの独自の画風を展開しており、必ずしもシュルレアリストとして扱われるわけではないようですね。
ミロは1888年バルセロナで初めて開催された万国博覧会を契機とするジャポニスム・ブームの最中に誕生します。そして、日本文化への憧れを隠さず、画中画に浮世絵を描いたり、花瓶に植えられた花や周囲に舞う蝶を、まるで日本画のように描いていきます。ミロ展もそれらの作品から入っていくので、馴染みやすい構成かと思います。日本絵画や日本それ自体に興味を抱いたミロは、墨やそのしぶきの様子を使った作品や、巻き物のような作品もいくつか作成させています。日本画を思わせるような黒い線や面を描きながらもそこに生命を宿らせているかのような作品も描いています。
ちなみにですが、こちらはチケット購入段階で日時指定ができませんが、購入後にHPで指定するものになっているので、注意が必要です。
★ミロ『絵画』(1933年4月23日)
ミロはコラージュと絵画を対とした作品を複数仕上げており、コラージュを制作してから、それをもとに絵画を制作しています。中でも、1933年4月23日の作品が心惹かれました。
絵画という題の作品がいくつもあるので、どう呼んだらいいのか悩みます笑(ゆえに検索もしづらい…)
もともとのコラージュには、実は広告の切り抜きなどの日常生活における身近なものを使用しており、その形を単純化することで原生生物のようなモチーフに仕上がっているのも特徴です。そんな有機的な作品を数多く作っているのも、ミロの特徴でもあります。
全体として暗い印象のあるこの絵ですが、その中にもどことなく明るさや、たしかに生命がそこに存在しているかのような感覚を抱かせてくれます。ミロの描く他の作品と比べて、少し異彩を放っているような気もします。
その3「メトロポリタン美術館展 西洋絵画の500年」
国立新美術館は東京メトロ千代田線の乃木坂駅から直通で行ける美術館でした。アクセスの良さにはびっくり。
ルネサンス(北方ルネサンスも含む)の時代からスタート。まあ西洋絵画を体系的に捉えようとすると、ルネサンスから始まり、印象派(もしくはキュビズム)あたりで終えるというのが美しくて良いですからね。
入口の大きな壁紙(?)が印象的でした。全体の構成としては、ルネサンスからはじまり、絶対王政と啓蒙主義、市民革命を経て近代フランスを横断していくという時系列順に展開していくものでした。
多分実際のメトロポリタン美術館に行った方が、より広い時代で、より多くの作品を観れるなと感じました。良くも悪くもつまみ食いって感じ。人気がある理由もなんとなくわかります。
アンジェリコの『キリストの磔刑』から始まる感じも、「あ、どうりで人気なわけだ…」と納得しそうになりました。宗教画やルネサンス期に見られた神話を取り入れた歴史画から始まり、風景画に至るまでの潮流を見ることができました。
国立新美術館ということもあり、全体的に広い造りとなっているので割とゆっくり観れると思います。とはいえ人は多かったですけどね。空いているところから見ていくことをオススメします。
というわけで、個人的に好きだった絵画3つを発表します。
①ジャン・シメオン・ジャルダン『シャボン玉吹き』
18世紀フランス、ロココ主義の画家です。恥ずかしながらこの画家は存じ上げておりませんでした。ロココといえばフラゴナール「ぶらんこ」くらいしか知らなかったのですが、なんとなく引き込まれそうになるこの絵は、生で見るに限ります。ロココって建築や装飾とかにも使われる用語なのですが、女性的で曲線が多く使われていて、絵画だと色使いが豊かでカラフルな色彩と明るい作品が多い印象です。
特にこの作品は、光が左側から当てられており、陰影もきちんと表現されていたり、シャボン玉が光に反射して少し表面が青みがかっていたりと、絵全体が綺麗なんですよね。あとは、当時のシャボン玉を吹くストローがとても細い。また、シャボン玉を吹くのに夢中になっている青年の《没頭》の表現も良いですね。
右下に別の人がいるのは、館内で見たときは、気づきませんでした笑
②アルフレッド・シスレー『ヴィルヌーブ=ラ=ガレンヌの橋』
やっぱりシスレーですね。この印象派らしい作品。空の青と家の壁のクリーム色っぽい色が対照的でよいですね。あとはセザンヌの風景画も隣合わせで見れたので個人的には満足。19世紀後半のこういった郊外をテーマにした風景画が好きです。
その向かいだったか後方には、ゴッホの点描画もあったので、満足度としてはかなり高いものでした。
前景に川や湖沼を、青空と雲を後景に取り入れるのは、シスレーの作品でも多く見られるところで、のどかな田園風景を描くという19世紀の都市化に伴って《郊外》という概念が登場したことを示しています。19世紀フランスの印象派といえば、屋外で光あふれる空間を色づかい多めに描くという手法です。そういう意味では、オランダの17世紀絵画と対比的な要素になるかと思います。
③クロード・モネ『睡蓮』
『睡蓮』の連作はいくつか見たことがあるのですが、紫を使った睡蓮は初めて見たような気がします。メトロポリタン美術館にもモネの睡蓮が展示されているという話は聞いていたのですが、そんな作品を生で見れて、貴重な経験になりました。
初めてモネの睡蓮を見たのは、パリ留学中のオルセー美術館でしたね。当時見た作品は、全体的に緑や黄色、そしてブルーが使われていて、橋もセットで描かれる作品でした。『睡蓮の池、ハーモニー』を調べていただけると分かるかと思います。池に浮かぶ睡蓮を前景に、その上にかけられた橋という構図の作品はどうやらいくつか見られるようです。連作なので当たり前かもしれませんが。
そういう意味では、ブルーから紫にかけての色が使われる睡蓮の作品もそこまで珍しくはないようです笑
おまけ〜美術展を楽しむために
私の知人が書いたnoteの記事を紹介して終えることにしましょう。
こちらにも書かれている内容ですが、まず服装は軽装備でいくことをお勧めします。どうしてもの場合はロッカー等に入れておくと良いでしょう。私が確認したところでは、渋谷のBunkamuraには入口入って右手にロッカースペースがあり、無料で使うことができるのでおすすめです。
特に冬場はコートやマフラーを身につける方も多いと思うのですが、中は意外と暖房が効いているせいか暖かいので、コート着たままだと正直暑いと思います。
また、美術館内では鉛筆以外使用禁止のようです。ボールペンなどはペン先が鋭くなっているので、作品を傷つけてしまうんだとか。なので、メモをする際には鉛筆を持参するか、館内受付等で借りるのがよいでしょう。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
これよりも前にゴッホ展に行ったのですが、結局noteは完成せず…。黄色がメインの作品が多いのかと思いきやそんなことはなかった話とか、彼の人生とかの話とかを書いてみようと思ったんですが、ボツになりました笑
今年も定期的に美術展巡りをして、展レポしていこうと思いますので、よろしくお願いします。