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アライアンス・パートナーセールスの本質とは?(第3部)

皆さんこんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
先々週は「アライアンス・パートナーセールスの本質(第1部)」を、先週は「アライアンス・パートナーセールスの本質(第2部)」を書かせていただきました。

今週は3部作の最後として、私がパートナーさんとの間で開発したビジネススキームの事例やパートナー様の内部により深く入り込んだ上級の提案内容について、参考までに書かせていただこうと思います。


【上級編】パートナーさんへのGive・ビジネス開発事例

1. Salesforceの有効活用の提案

皆様が担当されているパートナー様の中にも営業部門にてSalesforceを導入されている先は多いのではないでしょうか?私が担当しているパートナー様でも、比較的従業員規模の多い(営業人員の多い)パートナー様でSalesforceを導入されていることが多いです。
その一方で、Salesforceをうまく有効活用できていないパートナー様が圧倒的に多いというのが実情です。私自身が現職でSalesforceを使っており、過去にSalesforceのフェーズ管理策定(各フェーズの定義化・言語化)に携わったり、副業でSalesforceの初期設定に携わったりした経験を活かし、Salesforceを有効活用するための提案を行なっています。

▼Salesforceの運用提案の一例

  • 各フェーズ管理の設計提案

  • 失注後の後追いをするための管理項目の設計提案

  • Salesforceでのヨミ管理の提案

2. 事業戦略(営業戦略)・戦術の策定支援

これは事業部長や役員、社長との接点が取れるパートナー様には必ず行なっていることで、これは私が直販営業時代に行なっていたコンサルティング営業のスキルを活用しています。

まず、パートナー様のビジネスモデルやバリューチェーン、組織体制の理解はもちろん、その事業部長や役員、社長のインタビュー記事、上場企業の場合は決算説明資料や有価証券報告書、採用に関する記事なども確認し、今後の大方針を理解します(これは最低限やるべきこと。相手を誰よりも理解せずして相手の本音や考えていること、課題などが抽出できません)。
その上で、どのような戦略・戦術を取るとそのパートナーさんの事業が大きく伸びそうなのか、自分なりの戦略・戦術を考え、その考えた戦略・戦術を事業部長や役員、社長に当てにいきます(あくまで自社のプロダクトの拡販に関わらずです)。

その戦略・戦術の提案がパートナー様側に刺されば、その分パートナー様からの自分への信頼残高が貯まります。このような信頼残高が貯まれば貯まるほど、事業戦略や戦術の相談などがさらに増加し、信頼残高もさらに貯まりますので、パートナー様の中での「葛西」という存在が大きくなります。ここまで至ると、パートナー様が自発的に自社プロダクトも積極的に提案してきていただけるようになります。

▼事業戦略、戦術の提案一例

  • 新規開拓でのターゲティングすべき顧客の設定

  • 既存深耕、新規開拓それぞれでの顧客ナーチャリング戦略とナーチャリング顧客の管理方法の構築

  • 営業の生産性向上に向けたChatGPTの活用提案(プロンプト付き)

3. 初期設定代行プランの作成と初期設定代行ニーズ顧客の紹介

自社プロダクトが受注されると、当然システムの初期設定の作業が必要となります。そこで出てくる初期設定の代行ニーズに応えるために、パートナー様に初期設定の代行プランを策定いただいています。パートナー様にとっては新たなキャッシュポイントとなりますし、導入企業様にとっては初期設定の工数削減につながる、自社にとっては初期のオンボーディングコストが下がるという形でWin-Win-Winとなります。

また、自社の直販が受注した企業様においても同様に、初期設定代行のニーズは結構出てきます。直販経由での受注企業でも同様のニーズが出てきた場合には、すぐに初期設定代行プランを策定しているパートナー様に紹介するというスキームも設計しました。直販経由での同様のニーズについてもパートナー様に案件をパスすることで、パートナー様へGive(恩売り)できるため、最終的には自社プロダクトを拡販するメリットにもつながってきます。

4. 自社プロダクトを通じてパートナーさんの事業が伸びる座組みの構築

以前に書いた「重点支援すべきパートナー企業の選び方」のnoteでも書きましたが、パートナー企業・エンド顧客・自社がWin-Win-Winとなる大きな絵を描き、自社のプロダクトを拡販することでパートナーさんの本業へのシナジー効果も発揮して事業が大きく伸びますよーという座組みを作ることが非常に重要です。この座組みが作れないと(絵が描けないと)、「マージンの高い・低い」や「プロダクトが売りやすい・売りにくい」という土俵でしか戦えず、パートナー様へなかなか自社プロダクトを拡販いただけません。

パートナーさんへのシナジー効果の見せ方(座組み)の一例ですが、私は現職で下記のような見せ方(座組み)を作りました。
※なお、現職で私が主に担当している商材は採用管理システム(ATS)というHR Tech領域のSaaSです。

▼パートナーさんへのシナジー効果の見せ方(座組み)の一例

5. パートナー(代理店)開拓業務の発注(外注)

皆様の中でも、パートナー(代理店)の新規開拓をされているSaaS企業さんも多いのではないでしょうか?私の現職では、新規パートナーの開拓業務をパートナーさんへ発注(外注)させていただいています。
既に自社のプロダクトに関する一定の知識を持っているパートナー様に発注することで商材インストールの手間が省けますし、パートナー様側の事業・収益に貢献できます(恩を売れる)ので、最終的には自社プロダクトの拡販にもつながっていくかと考えています。

また、その発注したパートナー様側で用意いただいている新規パートナーのリストの特徴として、SalesMarkerを活用したインテントデータを元にリストを作っていただけていることから、代理店契約ニーズのみならず、自社プロダクトや競合プロダクトを検討している企業などのインテントデータも一緒に上がってきています。そのため、代理店契約ではなく自社でのプロダクトの利用検討というケースであった場合については、そのパートナーさんからのご紹介案件としてカウントし、受注時にはマージンの支払い対象とするというスキームを構築しました。

そうすることで、そのパートナーさんは新規パートナー開拓の代行業務での収益も上がりますし、稀にヒットする自社でのプロダクトの利用検討ニーズからの受注によるマージン収益も期待できます。ですので、より自社のプロダクトの拡販や新規パートナーさんの開拓に向けて頑張っていただけるような座組みとなっています。

パートナーセールスの本質まとめ

3週に渡って、アライアンス・パートナーセールスの本質とその活動・施策事例をまとめさせていただきました。この3部作で共通してお伝えしてきましたが、「主語(中心)をパートナー様に置くこと」「パートナー様の事業がどうしたら伸びるのか(儲かるのか)考えること」「Give・Give・Giveを続けること」の大きく3つがパートナービジネスの成長においてはなによりも大事なことかと私は考えています。

逆に言ってしまえば、「自社が主語」で、「パートナーさんには受注したらマージンが入るんだから儲かるでしょ」というような単一的な考え方しかできず、「うちの商材、もっと売ってきてください」というような自分本位なパートナーセールス活動しかできないと、必然的にパートナーさんは離れていき、いつまでたってもパートナービジネスはうまくいきません。

3作とも全部読んでいただいた方は改めて感じられているかと思いますが、パートナーセールスには「セールス」「マーケティング」「マネジメント」をはじめ、圧倒的な「Bizdev能力」が必要となる、まさに「総合格闘技」です。ビジネスサイドにおける様々なスキルタグが必要となるため、自分の持っているスキルを棚卸し、自分のスキルだけでは対応できないことはそのスキルを持っている誰かに相談してその人の力を借りるっていう素直さも重要かと思います。
※私自身も、スーパーマンではないので、いろいろな人に力を貸していただきながらパートナーセールスをやってます。

パートナーセールスの正攻法がないため、私自身も日々勉強しながら、いろいろなSaaS企業のパートナーセールスの方々から聞いたノウハウや成功した施策などを盗みつつ、何度も試行錯誤しながらパートナーセールスをやっています。
一方で、成果を残している皆さんに共通していることは、「主語(中心)をパートナー様に置くこと」「パートナー様の事業がどうしたら伸びるのか(儲かるのか)考えること」「Give・Give・Giveを続けること」の、この3つの本質は皆さん絶対に抑えられているとお話伺う中で考えています。

一見遠回りのように見えるかもしれませんが、まずはこの3つの本質を徹底的に突き詰めていってはいかがでしょうか。


それでは長くなりましたが、パートナーセールスの本質の3部作は以上で終了です!また次回の更新をお楽しみに!


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