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アライアンス・パートナーセールスの本質とは?(第1部)

皆さんこんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
先週は「パートナーセールスにおけるメタ認知能力の重要性・活用方法」について書かせていただきましたが、今週はその流れでアライアンス・パートナーセールスの本質について、3週に渡って3部構成で書かせていただこうと思います。


パートナーセールスとはファン作り活動

先週書いた「パートナーセールスにおけるメタ認知能力の重要性・活用方法」のnoteや、以前書いた「拡販してくれるパートナーの営業担当の見つけ方(後編)」のnoteにも書かせていただきましたが、パートナーセールスとはファン作り活動であり、1つでも多くの感謝を生み出して信頼残高を積み上げていく営業です。

ですので、アライアンス・パートナーセールスの本質とは、「Give&Take」ではなく「Give・Give・Give」の精神で取り組むこと、というのが本質であると言えると考えています。「パートナーさんへ何か返せるものはないか」「パートナーさんへ何かGiveできることはないか」と考え続けて探しまくり、提案しまくるという行動が重要なのです。

一般的なアライアンス・パートナービジネスとの違い

一般的なアライアンス・パートナービジネスは、自社とパートナー企業の持っている経営資源をうまく連携させて、売上を一緒に作っていきましょうといった取り組みです。わかりやすい例として、SaaSベンダー(メーカー)がパートナー(代理店)の持つ営業チャネルを使って、そのプロダクトを売ってきてもらうというような取り組みです(要は、ごく普通のパートナービジネス・代理店販売ですね)。

しかし、たいていのパートナー(代理店)さんは、そのプロダクト以外にも多数の他社商材を抱えていることが多いです。そのため、私が「異動後に味わった悲劇と最初の3ヶ月間に実施したこと」をまとめたnoteでも書かせていただいたように、パートナーさんへ自社プロダクトを展開したからといってすぐに売ってきてもらえることは本当にごく稀です。
※よほどの様々な条件が重ならない限り、余程ないです。

ですので、上述のSaaSベンダー(メーカー)>パートナー(代理店)というパワーバランスでパートナービジネス(アライアンス)を捉えてしまうのは大きな間違いです。SaaSベンダー(メーカー)がパートナー(代理店)さんとパートナー契約(代理店契約)を締結し、自社プロダクトを展開して売ってくれたらマージン払う、だから自社(SaaSベンダー)もパートナー(代理店)さんも儲かるでしょ、事業が共に伸びるでしょというような考えだけでは高確率でうまくいきません(高確率でパートナーさんに協力していただけません)。

上述のように、一般的なアライアンス・パートナービジネスでは、自社のプロダクトを売ろう売ろうとしすぎだと私は思っています。パートナー(代理店)さんがそのプロダクトとパートナー契約を締結したからといって、そのプロダクトを絶対になんとしても売りたいというわけではないんです。その先にいるお客様の課題解決や自社の営業課題の解決、そして自社(パートナー)の事業を成長させたいから、そのうちのただの1つの手段としてのパートナー契約なのです。
特に、パートナーがプロダクトをしっかり理解し、売り切ってくれるくらいの売りやすさ・わかりやすさがない限りは(要は、SaaSベンダー>パートナーの構図であるプロダクトではない限りは)、上述のような一般的なアライアンス・パートナービジネスはやめるべきでしょう。

パートナーセールスにおけるファン化のステップ

さて、ではパートナーさんに「ファン」になっていただくためには、どのような手順で進めていくべきなのでしょうか。

【ステップ1】パートナーの課題を解決する座組を考え抜く

まずは事前準備段階で事業のビジネスモデルやキャッシュポイント、バリューチェーン、組織体制などはもちろん、それらの情報からどのような事業戦略を描いているのか、どのような課題が出ていそうかという仮説を立てることからスタートします(これはBtoB無形商材営業の基本ですね)。
※これはパートナーカルテで事前準備します。パートナーカルテが欲しい方は個別ご連絡ください!

【ステップ2】メタ認知を活用した自分自身の持っているスキル・能力の棚卸し

自分自身の持っているスキル・能力を俯瞰的に見て自分の提供できる武器を整理します(メタ認知の活用イメージは先週のnoteに書いたので、今回のnoteでは割愛します)。

【ステップ3】パートナーと答え合わせ→課題解決の座組を提案し続ける

ステップ1・2を踏まえて、パートナーさん側と答え合わせし、事業戦略や課題についてヒアリング・ディスカッションして「パートナーさんは何が実現したら嬉しいのか」を考え、その課題を解決するような座組を提案し続けるとというのが3つ目のステップです。ステップ1・2が済めば、あとはステップ3を継続して続けるだけです!つまり、この時点でまずコンサルティング営業のスキルは必須となってきます(ソリューション営業では少し弱い)。
この3ステップ目では、「パートナーを中心」に置き、営業チャネル以外の経営資源にも目を向けて、自社と一緒に新しい価値を企画して一緒に売上を伸ばしていったり、新しいビジネスを考える事業開発の要素を含めた取り組みを行っていくことが重要です。

このようにまとめるといとも簡単に聞こえるかもしれませんが、このステップ3が特に難易度が高いです。パートナー・エンドのお客様・自社の三方Win-Win-Winとなるような座組・大きな絵を描く必要もありますし、その座組・大きな絵のパートナーさん側との合意形成、そして推進していく際には営業マネージャーや営業メンバーを中心に様々な登場人物が出てくるため、登場人物全員がWinとなる落とし所を見つける必要もあります。そのため、パートナーセールスには非常に高いビジネス開発能力(BizDev能力)が必要であるということがわかります。

ただ、パートナーセールスの方々が全員高いビジネス開発能力(BizDev能力)を持っているとは限りません。ですので、メタ認知で自分のビジネス開発能力では対応できないような課題については別の誰かの力を借りて実行するのも良いかと思いますし、自分が勝負できる土俵でとにかく課題解決の提案をしまくるでも良いかと思います。大前提、重要なこととしては、「パートナーを中心」に置いて、とにかくパートナー側が「何をしてくれたら喜ぶのか」を考え続け、とにかく「Give・Give・Give」を続けるってことがパートナーセールスにおいては最も大事なことです。

いきなりビジネス開発能力がかなり求められることを実行するというのは難しいかもしれませんが、「顧客の課題解決をすること」ということはすべてのビジネスパーソンが持つべき心構えであって、しっかりとお客様と向き合えば誰にでもできることです。まずはとにかくこの「Give・Give・Giveの精神」でパートナーセールス活動に従事してみてはいかがでしょうか。

第1部のまとめ→具体的なビジネス開発事例は第2部・第3部へ

アライアンス・パートナーセールスの本質とは、「Give・Give・Give」の精神で取り組むことであるというお話を今回のnoteでは書かせていただきました。上述の通り、パートナーセールスの方々お一人お一人が持っているスキル・能力は異なってきますので、この「Give・Give・Give」の中身は多少異なってくるとは思いますが、誰でもできる簡単なGiveや当たり前の行動の基準を上げるということはできるかと思います。

一方で、もう1段階・2段階上の、「パートナー・エンドのお客様・自社の三方Win-Win-Winとなるような座組・大きな絵」を描くようなビジネス開発スキームについては少しイメージしづらい部分があるかもしれません。

次回の第2部では、実際に私が行ってきたパートナー先をファン化させる(パートナーさんが稼働してくれる)までにやってきた活動・Giveの実例の初級編・中級編を、次々回の第3部では私がパートナーさんとの間で開発したビジネス開発事例(上級編)について、参考までに書かせていただこうと考えています。

それではまた次回の更新をお楽しみに!



【P.S.】
日本にパートナービジネスにおける教科書がない中で、パートナーセールスの皆さんは日々何が正解なのか模索してらっしゃるかと思います。私自身もまだまだ発展途上で、日々いろいろなパートナーセールスの方と情報交換させていただきながら(一次情報を得ることがめっちゃ大事だと思ってます)、試行錯誤して正攻法を探しながら進めています。
ですので、もしパートナービジネスに関する情報交換をしたいというパートナーセールスの方がいらっしゃいましたら、是非FacebookメッセンジャーやX(旧:Twitter)へのDM、またはこのnoteへのコメントをいただけると嬉しいです!


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