パートナーセールスの外部採用と社内抜擢の最適化(第3部)
皆さん、こんばんは。
パートナーセールスの葛西です。
前々回のnoteではパートナーセールスの外部採用を、前回のnoteではパートナーセールスの社内抜擢ついて解説しました。本記事ではその続きとして、外部採用と社内抜擢のどちらを優先すべきかについてnoteを書かせていただきます。
パートナービジネス成功の鍵!外部採用と社内抜擢、どちらを優先すべきか?
パートナービジネスはSaaS企業にとってキャズム超えをするための鍵となる戦略です。その成功には、優秀な人材の確保が不可欠です。しかし、その人材をどのように選定するかという問題は、しばしば議論の対象となります。外部から新たな才能を採用するのか、既存の従業員を抜擢するのか。この記事では、パートナーセールスにおける人材選定の二大戦略である「外部採用」と「社内抜擢」のそれぞれの概要を解説し、最適なアプローチを探ります。
最適なアプローチの選択
パートナーセールスにおいて最適なアプローチを選ぶためには、前提として企業の状況や目的を考慮することが重要です。
が、基本的にはまずは社内異動で賄えないかの検討を優先すべきであると私は考えています。その理由は、主にその下記の理由です。
社内抜擢を優先すべき理由
プロダクトのインストールが不要、もしくはインストールが容易
→同事業部内であればプロダクトインストールが不要、別事業部であっても同じ会社であればプロダクトの概要は掴んでいることが多いためインストールしてが容易であるため、プロダクトインストールのタイムコストが削減でき、早期の自走が期待できる。(古株であるほど)社内のさまざまな部門に人脈がある
→パートナービジネスにはイレギュラーが付きもの。特に、直販主体の企業文化の企業でパートナービジネス立ち上げ初期〜やや立ち上がったくらいまでの状態(イメージ、パートナー:直販=3:7くらい)である場合、まだ直販が主体であることもありパートナー経由でいただいた相談などは既存の社内ルールから鑑みてイレギュラーの取り扱いになることが大半です。その際に、社内にさまざまな人脈があった方が可及的速やかに物事を進めやすいです。
また、パートナービジネスは直販営業部門はもちろん、ISやマーケ、CSなどさまざまな部署との連携は必要不可欠です。そのため、パートナー事業部を跨いで何かを動かす際に、別部門に人脈があった方が当然物事を効果的かつ効率的に進めやすいです。企業文化、企業カラーがわかっている
→上述のさまざまな部門内の人脈に通ずる部分ではありますが、企業文化や企業カラーがわかっているため、大きなギャップが発生することもあまりないため、任せられた業務に迅速に適用しやすいかと思います。SaaS(IT企業)のパートナーセールス経験者の採用難易度が極めて高い
→前々回のパートナーセールスの外部採用のnoteにも記載の通り、SaaSのパートナーセールス経験者となるとかなり採用難易度が上がる、さらにはその経験で実績を残した方となるとさらに難易度が爆上がりします。
その他、社内抜擢を優先すべき状況
その他の社内抜擢を優先すべき状況としては、下記のような状況である場合も社内抜擢を優先すべきと言えるでしょう。
従業員のモチベーション向上
→社内でのキャリアパスを明確にすることで、全体の士気やエンゲージメントを高めたい場合。低コストでの人材確保
→外部採用のコストを避け、内部リソースを最大限に活用したい場合。従業員の育成
→長期的な視点で従業員を育成し、組織内での成長を促進したい場合。
外部採用を優先すべき状況
続いて、外部採用を優先すべき状況について説明します。
社内抜擢できる人材が社内にいない場合
→パートナービジネスのフェーズにもよりますが、初期の立ち上げフェーズかつ社内にパートナービジネスのノウハウがない場合、責任者クラスの社内抜擢をする際は、外部採用する際の必須条件と同様に
・無形商材の営業経験3年以上
・顧客を長期に渡って深耕・ナーチャリングし、受注した経験のある方
は必須。加えて、
・エンタープライズセールスの経験
・様々なステークホルダーが関わるプロジェクトでのプロジェクトマネジメント経験
・セールスイネーブルメントの経験
・5名以上のマネジメントの経験
のいずれかの経験を少なからず満たすような人材が責任者クラスでは必須でしょう。上記に該当して社内異動可能な人材がいない場合は、外部から採用するのが得策でしょう。エンド顧客の開拓において新たな市場に進出する場合や新たな属性のパートナーとの取り組みを開始する場合
→エンド顧客の開拓において自社がこれまで知見のなかったような業界の顧客を開拓する場合はその界隈の知見を持っている方を外部採用された方が良いです。また、これまでメインで稼働されていたパートナー様とは全く別属性のパートナーを稼働させる場合にも、その属性のパートナーをよく知っている人材を外部から採用するのもありかと思います(例:地銀とのアライアンス進めるために元地方銀行マンを採用する、等)。組織の多様性向上
→異なる背景や視点を持つ人材を増やすことで組織の創造性や柔軟性を高めたい場合。特にパートナービジネスが多少でも立ち上がってきた後に、多様性を向上させるのが良いでしょう。企業文化の刷新
→上述の多様性にも付随しますが、既存の企業文化を変革し、新しい価値観や働き方を導入したりしたい場合なども外部採用の方が良いでしょう。
具体的なアクションプラン
人材選定プロセスの最適化を図るためには、外部採用と社内抜擢の連携が欠かせません。まず、外部採用にせよ、社内抜擢にせよ、
・パートナーセールスの明確なキャリアパスを設定すること
・パートナーセールスの受け入れ体制および育成体制を整備すること
の2つは最優先で対応すべき事項です。上記が設定・整備されていないと退職リスクが高まってしまうためです(当たり前かもしれませんが)。
続いて、外部採用よりもまずは社内で、前回のnoteで書いた「社内抜擢要件」に当てはまる人材が社内にいないかを探ります。特に大企業だと、自分との関係性もそれなりにある別事業部の同僚などで辞めそうな人とかを引っ張ってくるという社内リファラル活動が非常に有効的です。企業側にとっても退職されるよりは異動して活躍してもらった方がメリットが大きいため。
社内リファラル活動なども含め、社内抜擢が難しいとなってから、基本的には外部採用に踏み切りましょう(ただし、「組織の多様性向上」や「企業文化の刷新」をしたい場合は別です)。
外部採用をする際は、リファラル採用は当然のことながら、外部のサービスを活用するのであれば、ビズリーチのようなダイレクトリクルーティング(以下、DR)サービスがベスト、採用予算の余力があるようでしたらエージェント・ヘッドハンターも使いながらDRサービスを使うのがベストです。
DRサービスがベストである理由としては、SaaSパートナーセールス経験者の人材がそもそも少ないこと、そしてパートナーセールス経験を必須としなくともエンプラ営業やプロジェクトマネジメントができるような人材は市場価値が競争倍率が高いため、人材DBから自分で探して欲しい人材にダイレクトにアプローチし、口説いていかなくては採用できないためです。
また、求人広告媒体や求人検索エンジンでの採用活動は控えた方が良いでしょう。パートナーセールス経験者や外部採用のnoteに書いたような必須条件の人材を採用する場合はユーザー属性が合わないため高確率で採れないためです。
社内抜擢にせよ、外部採用にせよ、パートナー事業に加入後は、(前回のnoteと重複しますが)パートナーセールスに対応するために必要なトレーニングやリソースを提供し、スムーズに新しい役割に適応できるよう支援することが必要です。加えて、定期的なフィードバックを通じてパフォーマンスを評価すること、引き継ぎやノウハウの提供においては「感覚的なお話・ノウハウ」ではなく「言語化されたノウハウ」を伝える、「数字というファクト」をもとに伝えるようにしましょう。
まとめ
パートナーセールスの成功には、優秀な人材の確保が欠かせません。外部採用と社内抜擢のそれぞれにメリットとデメリットがあり、企業の状況に応じて適切な戦略を選ぶことが重要です。
大前提、パートナービジネス自体が、花が開くまで非常に長い時間を要する戦略です。ただ、その前提はあるにせよ、短期的な成果が少しでも上げられる事や業務適応を迅速に進めることを優先したい場合は社内抜擢の方が有効的であるため、基本的には社内抜擢→外部採用の順で考えるのがベターであると考えています。
ただ、外部採用は新しい視点やスキルを組織に導入することができ、多様性を高める効果もあるため、外からの血を受け入れることで一気に事業が伸びる可能性もあるというのは外部採用の大きなメリットです(外から人を入れないと、自社でしか知らないやり方に固執したりってことも起こりがちですからね)。一方、社内抜擢は既存の従業員が企業文化や業務プロセスを理解しているため、社内でのおさほうや文化を知らない外部人材よりは多少なりとも短期間での成果が期待できます(とはいえ、前提はパートナービジネス=結果が出るまで時間がかかる、です)。
これらの戦略をバランスよく取り入れ、パートナーセールスにおける最適な人材戦略が実現できれば、パートナービジネスの成功に少しずつ繋げていくことができるでしょう。
パートナービジネスに関わらず、やはり事業を伸ばすのは「人」の力です。事業を伸ばしていく上で、特に部長職の社内抜擢・外部採用の差配、受け入れる人材属性のバランスの差配が事業成長の大きな鍵を握ります。これ以上お話すると組織論のお話に入ってしまうため、本noteでは一旦ここまでとさせていただければと思います。
それでは次回の更新もお楽しみに!
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