HUNTER×HUNTER考察 キルアが龍星群を知っていたことについての考察

はじめに

天空闘技場編まで念を知らなかったキルアだが、キメラアント編にて敵の待ち構える宮殿へと潜入した際に、沢山の龍の形をしたオーラが降り注いできたのを見て、「ジイちゃんの龍星群(ドラゴンダイブ)だ」と即座に悟ったシーンがある。
いつキルアはゼノの龍星群(ドラゴンダイブ)のことを知ったのだろうか。
もしかすると、ハンターライセンスを取得した帰りに実家でゼノに直接話を聞いたのかもしれないが、個人的にはイルミに念について忘れるよう針で操作されていたのだと考えている。
その理由をこれから順を追って話していこうかと思う。

矯正のための針

キルアがアルカへどうしてすぐにお願いをしないのかと、シルバが疑問を口にした際に、ミルキがキルアの思考を代弁するシーンがある。
この際、ミルキがシルバに対して「オレたちとは思考がかなりズレてるからね。だからイル兄に針で矯正させてたんでしょ」と続けたが、これはおそらくキルアが抜いた頭の中の針のことを指しているのだろう。
矯正とは、キルアの暗殺者らしからぬ優しい性格のことを指すと思われる。
優しいといっても、ここでいう優しさは身内(自分が好む存在)に対してのものだ。

敵を殺すことであったり、対象を暗殺することについては、おそらく昔からキルアは容赦をしなかったであろう。
それは、針を抜いたあとラモットを一瞬で殺害していることや、他のキメラアントたちを容赦なく殺害していることからもわかる。
一方で、自分が気に入ったイカルゴを見逃したり、改造されたパームの前で涙を流すなど、これまで冷酷無比な印象であったキルアに比べて、甘い点が多くみられるようになったことは、いうまでもない。
これがミルキ曰く、「精神的に弱虫」だということなのだろう。
では、この身内に対する甘さはどこからきているのだろうか。
それは妹(弟)であるアルカに他ならない。

アルカに対する想い

アルカが危険だと家族に認識され、幽閉されると決まった際に、おそらくというかほぼ確実にキルアはアルカの幽閉について反対しただろう。
それを憂いたゾルディック家は、イルミの針でキルアのアルカへの想いを忘れさせたに違いない。
そうして、身内に対しての甘さを捨てるように矯正しようとしたのだろう。
母であるキキョウが、自分に対してキルアが冷たい目をしたことや、ナニカに母親を殺せと命令したことに対して「素晴らしいわ、成長したわね」と喜んでいた背景には、こうしたことがあったのだろう。そうでなければただの頭のおかしなやつである(その可能性も否めないが)。

そして、アルカのことを忘れさせると同時に、アルカに関わる事柄も忘れさせたに違いない。その際たるものが「お願い」であり、念能力である。
これは、「お願い」が念能力によるものだと考えたからだけではなく、念を覚えていた場合、当然イルミの針についても覚えているからだろう。
そこから自身に針が刺されている可能性を考え、矯正が終わる前に針が抜かれることを危惧したのだと思われる。

イルミによる呪縛

ラモットと対峙し、ゴンの、仲間のために逃げないと決めた結果、キルアはイルミが頭に刺していた針を抜くことになる。
これによって、それまでは自分より強いと思った敵と対峙したとき、逃げ切ることを前提に戦うという呪縛からキルアは抜け出したものとみられる。
ではなぜキルアに対してそのような操作をイルミはしたのだろうか。
キルアを偏愛していたから。もちろんそれもあるだろう。
だが、それ以上に念について忘れてしまったからこそ、危険(念能力者)には近づかないよう逃げることを徹底したのだと思われる。
そんなイルミの針による操作は、キルアが改めて念を習得したことにより、徐々に解けてきていたのではないだろうか。
だからこそ、あの場面で針を抜くことができ、忘れていたことを徐々に思い出していったのだと思われる。
ゼノによる龍星群(ドラゴンダイブ)もそのひとつではないだろうか。

シルバとの誓い

あいつは戻ってくると言ったシルバの背景には、仲間を裏切らなければいつか自分で針を抜いて大切なもの(アルカ)を思い出し、守るために自らゾルディック家へと戻ってくるという確信があったのだと思われる。
だからこそ、仲間を裏切るなという誓いをたてさせたのだろう。
シルバも若い頃は家を出ようとして、結局家族のために戻ってきたという過去があったのかもしれない。
アルカを外に連れ出すということは想定外だったのだろうが、警戒令を解いたことから、自分には叶わなかった本物の自由をキルアに与えたのだろうと推測される。
シルバもゼノも、キルアが針をとったことに対する反応からして、本心ではキルアの味方をしたかったのかもしれない。
それでも、アルカの危険性には変えられなかったのだろう。

おわりに

まとめると、

①アルカが脅威であるため、アルカを幽閉することに反対するキルアに針でアルカのことを忘れさせると同時に、身内に対する甘さを矯正させようとした。
②その際に念能力についても忘れさせる。
③結果、念の脅威からキルアを守るために強い敵から逃げる呪縛を植え付けた。

そんな感じじゃないかな。
針を抜いたあとは、色んなことに関連づけて徐々に思い出していってる感じがする。

ハンターハンターの場合、パームの能力とかもそうだけど、後々謎がわかる仕様になってることが多いから凄いよね。
どこまで設定練っているのかわからんから後付けとかよく言われるけど、大枠ではしっかり考えていると思う。念の設定とか。
キルアが念を知らなかった理由も大枠では考えていて、でもアルカのキャラに関してはあまり考えていなかったから、小さい頃の写真でアルカが大きかったりする。
まあそれもいつ連載が打ち切られるかわからないから当然なわけで。
以上、色々やってて久しぶりの考察でした。


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