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アダム・グラント著|THINK AGAIN

どうも、読書家のヒデです。
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今回は三笠書房さんから2022年4月30日に出版された、アダム・グラントさんの『THINK AGAIN』をご紹介したいと思います。

本題に入る前に少しお知らせをさせてください。

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それでは本題です。

本書は、ベストセラーになっている「GIVE&TAKE」や「ORIGINALS」の著者、アダム・グラントさんが、「再考すること」、つまり「考え直すこと」の重要性について書かれていて、「考えること」よりも「考え直す」ことの方が、いかに重要で、いかに難しいかを、説いている1冊になっています。

一般的には、賢ければ賢いほど、より複雑な問題を、より早く解くことができるし、知性とは、考えることや学ぶ能力であると、認識されてるじゃないですか。

ですが、変化の激しい時代を生きていくためには、「考えること」や「学ぶこと」以上に重要なスキルがあるんです。

それが「考え直すこと」「学び直すこと」なんです。

私たちは、自分の出した答えに対して、考え直すことをするだけではなく、考え直した方が良いかもしれないと考えること自体に二の足を踏んでしまうんです。

手を動かしたりするような物理的な作業ですらめんどくさいと感じてしまうし、ましてや思考するのは、もっとめんどくさいと感じてしまうんですよ。

こういった思考の怠惰が人を「認知的倹約家」にしてしまうんです。たしかに、既存の考え方に執着する方が、考え直すよりもずっと楽ですからね…

会社などで、明確でブレないビジョンを掲げて、みんなを引っ張って、困難に直面しても自分の信念に忠実に乗り越えていく、そういったリーダーの「強さ」とていうのは賞賛されやすいじゃないですか。

逆に、自分の考えを変えたり信念を引っ込めたりするのは、「弱さ」として捉えられてしまうじゃないですか。

ですが、本当にそうでしょうか。

Amazonの創業者、ジェフ・ベゾスは「多くの正しい判断ができる人は、よく耳を傾け、よく自分の考えを変える人だ。自分の考えを頻繁に改めなければ、間違うことも多くある」と言っています。

要するに、考えることよりも考え直すこと、強さよりも柔軟性にこそ、思考能力の本質があると言うことなんです。

初志貫徹よりも朝令暮改の方が重要であると言うことです。

そんな本書から私が重要だと思った箇所を3つご紹介したいと思います。

自分の考えを再考する方法

私たちは、意見を言うときに、他人に説教してしまう「牧師モード」、自分の考え以外を、全て非難してしまう「検察官モード」、その場しのぎの言い訳をし、他人の支持を得ようとする「政治家モード」という、3つの思考モードを、無意識のうちに使い分けて、行ったり来たりしているんです。

ですが、この3つの思考モードを行き来している限り、考え直すと言う行為は生まれないんです。

自分の信念を貫いて、他者の過ちを指摘して、多くの言い訳をして支持を獲得することに没頭していると、自分の見解が間違っているかもしれないと、思わなくなってしまうんです。

そこで重要なのが、この3つの思考モードに代わり、より多くの見解を得て、いろんな観点から評価することのできる「科学者の思考モード」が必要なんです。

人は、脳の処理速度が速いからといって、柔軟な思考の持ち主であるとは限らないんです。

どれだけ高い能力を持っていたとしても、考え方や見方を変えようとする意思がなければ、多くの考え直すと言う機会を見過ごしてしまうんです。

考えることよりも考え直すことの方が難しい理由を心理学では、2つの認知的バイアスで説明しているんです。

1つ目は自分にとって都合のいいものを見ようとする「確証バイアス」、もう一つが自分が見たいものだけを見る「望ましさバイアス」です。

誰もが楽をしたいじゃないですか。考え直すなんてめんどくさいことをしたくないじゃないですか。自分がもともと持っていた考えを保持する事は、考え直すことよりもずっと楽じゃないですか。自分の考えを疑うのは気分が良くないし、自分の考えを確信していれば安心や安定をもたらしてくれるじゃないですか。

大半の人は「認知的倹約家」なんです。考え直すべきかもしれないと思うこと自体を節約しようとしてしまうんです。

なので、思考能力があるからといって、思考の柔軟性があるとは限らないんですよ。

ある研究によると、知能指数が高い人ほど、より早くパターンを認識できるため、既成概念にとらわれやすいと言う研究結果もあるんです。頭の回転が速い人ほど信念を改めるのが難しいんです。

要するに、思考力と柔軟性はある種のトレードオフの関係にあるとも言えるんです。

なので、より多くの見解を得て、いろんな観点から評価することのできる「科学者の思考モード」が必要なんです。

どうすれば思考の盲点に気づけるのか

自分のことを過大評価したり過小評価してしまう人っていますよね。

理屈の上では、自信に能力が加われば最強のように思えるじゃないですか。

ですが、現実にはそうならないことが多いんです。

人が自ら自分の能力を評価するとき、その評価は同僚や上司や部下が下したものと異なることの方が多いんです。

95の研究を収集したメタ分析では、十万人の対象者のうち、女性は自らの指導能力を過小評価し、一方で、男性は過大評価すると言う傾向が明らかになってるんです。

私の父親も昔そうだったんですが、野球を好きな人なら1度は目にしたことがあるかもしれませんが、ファンの人の中にはあたかも球場にいる監督よりも知識があるかのように、あれこれ口を挟んだり、試合の流れを非難したりする人がいませんか。いますよね。

そういった人のことを「アームチェア・クオーターバック症候群」と言って、口先だけのゲーム観戦者と言う傾向があるんです。要するに、能力をはるかに上回る自信を持つと言う心理状態のことです。

一方でアームチェア・クオーターバック症候群と対極にあるのが、優秀ではあるが自信がないと言う「インポスター症候群」と言うものです。

これは、その人の有能さを示す証拠や実績があるにもかかわらず、自分は成功には値しない人間だと思っている人のことです。

この2つは、自分に対しての自信の度合いは両極端にあるんですが、自分の思考パターンを変えられないと言う点は共通しているんです。

特に前者の「アームチェア・クオーターバック症候群」で厄介なのは、この思考回路に陥っている人は、自分の知識に確信を持っているので再考しようとしないことです。

2人の心理学者が発表した、自信の度合いと能力との関係についての研究で「ダニング・クルーガー効果」と言うものがあるんですが、ひと言で言うと、「能力の低い人ほど、自分の能力を過大評価する」と言う心理現象なんです。

この傾向が強い人ほど、アームチェア・クオーターバック症候群になる可能性が高いんです。

よく聞くかもしれませんが、知らないと言うのは無敵状態なんですよ。知識や能力が低い人は、本質を見極めることができなくて、無知であるが故に自分のことを過大評価してしまう傾向にあるんです。

なので、私たちは自信と謙虚さのバランスを保つことが大事なんです。

謙虚さとは、「しっかりとした知識や能力、自分の過ちや不確実さを認識する力」のことです。

要するに、自分の能力を信じながらも、自分の解決方法が正しくないと言う可能性や、問題自体を正しく理解していない可能性があることを認めることなんです。

そうすれば、そこに疑問が生じても、自分の中にある既存の知識を再評価するようになって、新しい知識を追い求めることができるんです。

建設的な対立

対立と聞くと、良いイメージを持たない人も多いかもしれませんが、この対立や衝突のことを「コンフリクト」と言って2種類の対立に区別できるんです。

それが、「リレーションシップ・コンフリクト」と、「タスク・コンフリクト」です。

前者の「リレーションシップ・コンフリクト」は、敵意や嫌悪に基づく感情的な対立であるのに対して、後者は、異なる意見がぶつかり合う、理性的な対立を意味するんです。

この2つの「コンフリクト」は、生産性に対して異なる大きな影響与えるんです。

「リレーションシップ・コンフリクト」は、生産性を損ねてしまうんですが、「タスク・コンフリクト」は、むしろ生産性を促進するんです。

要するに、意見の不一致が必ずしも不快であるとは限らないと言うことです。

むしろ、「タスク・コンフリクト」は、再考を促してくれるんです。意見の不一致を争い事として捉えるのではなくて、議論として捉えることで、反対意見を個人的な攻撃だとしてみる事はなく、前向きで実りある話し合いができるんです。

ある実験の結果によると、対立の定義を「口げんか」ではなく、議論に変えるだけで、反対意見を検討してみようかとか、再考してみようかと言う、前向きな姿勢が生まれて、それによってお互いにより多くの情報を共有できるようになったと言う結果があるんです。

「口げんか」は、感情的で敵意に発展する可能性がありますが、議論は私情を挟まないアイディアの交換場所として機能するからです。

大事なのは、議論をするときに、「なぜ自分が正しいのか」、「なぜ相手が間違っているのか」を、解くのではなく「どのように」について話し合うのと、建設的な議論になり、考え直すキッカケになっていきます。

今回は以上です

最後まで読んでいただき、ありがとうございます

それでは素敵な1日を

読書家のヒデでした

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