シーナ・アイエンガー著|選択の科学
どうも、読書家のヒデです。
Twitterで「人生を好転させる読書術」を発信をしています。
今回は文藝春秋(ぶんげいしゅんじゅう)さんから2010年11月15日に出版された、シーナ・アイエンガーさんの『選択の科学』をご紹介したいと思います。
本題に入る前に少しお知らせをさせてください。
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それでは本題です。
本書は、盲目の人気女性教授で、著者のシーナ・アイエンガーさんが20年以上にわたって、「選択」をテーマに研究してきた、調査や実験をもとに、「選択」と言うものが私たちの人生にどのような影響を及ぼすのか、さまざまな疑問を取り上げ、私たちの生き方に最も関係が深い側面を掘り下げて、解説している1冊になってます。
人生は、「選択」の連続だとよく言われますけど、起きた出来事に対して私たちは、それを「運命」だと捉えることも、「偶然」起きたことだと捉えることも、それは自分が「選択」したものなんだと捉えることもできるじゃないですか。
でも、運命とか偶然と考えるよりも、自分が選択したものなんだ、つまり自分に可能なこと、実現できることという次元で捉えたほうが、はるかに明るい未来が開けると思うんですよ。
そんな本書から私がこれは面白い研究だなと思ったものを3つご紹介したいと思います。
選択は本能である
本書が主張している「選択」と言うものは、自分自身や自分の置かれた環境を、「自分の力で変える能力」のことを指すんです。そのためにはまず、自分の力で変えられると言う「認識」を持たなきゃいけないんです。
実際に行われた実験で、数十匹のラットをガラス瓶に1匹ずつ入れて、その瓶を水で満たしたんです。
ラットはよじ登れないので「泳ぐか溺れるか」の2択に迫られるんです。さらに、命がけで泳いでないラットに対して、上から水を噴射して水の中に沈めるという実験を繰り返したんです。
そうやって、餌も休息も逃げるチャンスも与えられないままラットが溺れるまでどれぐらい泳ぎ続けるのかを計測した実験なんです。
そうすると、体力的には違いがない数十匹のラットが、泳いだ時間に大きな差が生まれたんです。
60時間以上泳いでから溺れたラットと、ほとんど時間をおかずに溺れたラットがいたんです。
要するに肉体の限界まで頑張ろうとしたラットもいれば、あっさりと諦めてしまったラットもいたんですよ。
この違いを検証するためにもう一つ実験が行われたんです。
今度は、ラットをすぐに水に入れる事はせずに、何度か捕まえて、そのたびに逃すと言うことを繰り返して、その後瓶に入れて上から水を噴射して、水面に沈めてまた取り出してゲージに戻すという作業を、数回繰り返した後に、先ほどと同じようにラットを「泳ぐが溺れるか」の2択のテストのために、瓶の中に入れたんです。
そうすると、1回目の実験とはまるで違って、諦めるラットは1匹もいなかった上に、力尽きて溺れるまでに泳いだ時間は60時間を超えていたんです。
要するに、ラットは2回目の実験では、何度も捕まえられてそのたびに逃がされて、上から水を噴射されてはゲージに戻されてと言う経験をしたから、自分はここから逃げ出すことができると言う「認識」を持ったんです。
だから2回目の実験では、その認識をもとに、すべてのラットが、力尽きるまで泳ぎ続けて、体力の限界まで生きることを自ら選んだんです。
つまりこの実験から分かるのは、実際にその状況を自分でコントロールできるかどうかよりも、コントロールできると言う「認識」の方がはるかに、選択にとって大きな影響与えているということです。
選択が左右するもの
人は何かを選択するときに、「自動システム」と呼ばれるものと、「熟慮システム」と呼ばれるものが働くんですが、自動システムと言うのは、無意識に作用するもののことを指していて、このシステムは人の感覚情報を分析して、それに対して迅速に反応して感情や行動を選択させるんです。
例えば、熱いものを触ったときに「手を離せ」と命じるシステムが無意識のうちに働いてるんです。
一方で、「熟慮システム」と言うのは、感覚情報ではなくて、論理や理性が働いて私たち選択するシステムです。
例えば「〇〇が真実なのは× ×だからだ」とか「3階に行くためには、まず1階と2階を通らなければいけない」と言うように熟慮的な思考のおかげで私たちは複雑な選択にも対処することができているんです。
ですが、この「熟慮システム」は「自動システム」に比べて反応が遅く、それなりの意欲と努力が必要とされてるんです。
私たちは、一刻を争う時とか、急いでいるときは、自動システムに従う可能性が高いんですが、急いでいない時は熟慮システムを活用することの方が多いんです。
とは言え、人間は誘惑にさらされた時、その欲望と言うのは自動システムにあおられてしまうので、熟慮システムに従った方が自分のためになることを知っていたとしても、その答えを選ぶとは限らないんです。
例えば、今から1ヵ月後に100万円もらうのと、2ヶ月後に120万円もらうのとでは、どちらを選ぶ人が多いと思いますか。
答えは、2ヶ月後に120万円もらうと答えた人の方が多いんですよ。
もう一つ同じような実験で、今度は今すぐ100万円もらうのと、1ヵ月後に120万円もらうのではどちらを選んだ人が多いと思いますか。
答えは、今すぐ100万円をもらうという方を選んだ人の方が多いんですよ。
論理的に考えれば、どちらの問いも条件は同じですよね。
どちらの場合も、1ヵ月余分に待つことで取り分が20万円増えるわけじゃないですか。
ですが、実際にはそうならなかったんです。これは、お金が今すぐ手に入ると思うと、すかさず自動システムが作動してしまうんです。
1つ目の実験では、1ヵ月待つことに熟慮システム的には意味があったんですが、2つ目の実験では、今この瞬間にお金を手に入れたら、「何ができるだろう」「何が買えるだろう」と、そういうふうに考えずにはいられなくなるんです。
つまり私たちは情報をどのように捉えるのか、情報をどのように提示するのかによって選択に対する見方や判断が大きく変わってしまうんです。
さらに私たちは、自分の選択したものが間違っていなかったとを証明するために、都合の良い情報を探してしまう「確証バイアス」が働いて、後から論理をくっつけて正当化しようとするんです。
では、どうすれば選択の能力を高めることができるのか。
それは、「熟慮システム」を通して、一つ一つ検証し分類することだと著者は言ってるんです。
自分がなぜその選択をしたのか、自問自答するんです。
例えば、「イメージや人から聞いた話に、影響されすぎてはいないだろうか」「損失が出ると言われたために、早々に切り捨ててしまってはいないだろうか」「本当は実在しない傾向やパターンが、存在すると思い込んでいたのではないだろうか」こうやって自分が選択したものを検証していくと、同じ間違いを繰り返さずに済むんです。
選択と運命と偶然
よく言われることですが、過去の選択の結果が今の自分ですよね。
冒頭でもお話ししたように、私たちが出会う出来事は、運命と捉えることも、偶然と捉えることも、自ら選択したものだと捉えることもできるわけじゃないですか。
人生は、「運命と偶然と選択」で成り立ってるんです。
この中で、運命と偶然は自分でコントロールすることができないですよね。
唯一コントロールできるのが「選択」だけなんです。
今の自分は、全て自分が「選択」してきた結果なんです。
例えば、アンチ活動している人や、人の陰口や悪口、否定や批判や誹謗中傷を言っている人は、それを自ら選択したんです。
決して外的な要因ではなくて、自分がそうすることを選んだんです。
そうしないようにすることもできたわけじゃないですか。
「選択」をすると言うのは未来と向き合うことなんです。
確かに、選択と言うプロセスは私たちを混乱させたり消耗させたりすることがあると思います。
けど、その選択によって未来が180度変わることだってあるわけじゃないですか。選択を利用して人生を変えることもできるわけじゃないですか。もし、未来が既に決まっているんだったら、選択には価値がなくなるじゃないですか。
本書を読んで私は、選択は人生を切り開く力になると思いました。
自分の未来を、より良いものにするためにもしっかりと選択と向き合っていきたいと思います。
皆さんもぜひ、本書を手に取って、科学的に証明された「選択」と言うもと向き合っていただければと思います。
今回は以上です
最後まで読んでいただき、ありがとうございました
それでは素敵な1日を
読書家のヒデした
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