すべては、フェスになる。
つい先日開催されていたほぼ日の「生活のたのしみ展」の話をしていたときに、『これから出店先はフェスになっていくよね』という結論になったのですが、今日はそのことについて考えてみたいと思います。
ここ数年でハンドメイドマーケットをはじめとするフェス型の販売イベントが増えてきました。
個人的に、こうした動きがすごいと思うのは、普段であれば出店しても価値がないところに祭りをつくることで人を集め、経済を動かしているということです。
象徴的なのが毎年松本で開催されているクラフトフェアではないでしょうか。
普段、長野まではるばる買い物に行こうと思う人はなかなかいません。
しかし、毎年開催されるクラフトフェアでは、一般参加者だけではなく、バイヤーやエディターなどプロまでもが全国から集まります。
それは長野という土地、ハードの価値というよりは、そこで開催されているイベントや集まるモノ、ヒトといったソフトの価値によって、人が人を呼んでいるという状態です。
音楽フェスが本来音楽を聞く場所ではないところに祭りを作り、数日間だけ音楽が凝縮された空間だからこそ得られる楽しさを作ってきたように、小売でも起きていると見てとれるのではないかと思います。
これまでは出店場所を探すとなると、どの街に出すか、そこにどんな人がいるかから始めていたけれど、いまはもはや自分たちが楽しい祭りを作ってしまって、お客様を『待つ』のではなく『呼ぶ』時代。
もちろんアクセスのよさは大事ですが、なんでも事前に調べることができるようになった今、銀座や表参道の一等地に出したところで単にモノが並んでいるだけでは足を止める理由にはなりません。
だからこそ、『どこに出すか』という出店場所選びの基準が土地や建物ではなく、イベントや企画といったソフトに移っていっているのが今の流れなのだと思います。
さらに、音楽フェスのように複数のブランドが集結することの意味はライトなファンへのアプローチにあります。
音楽で考えると、ワンマンライブにいくファンは、そのアーティストやバンドに5,6000円払っても聞きたいと思っている、そもそも音楽への熱量が高い人たちです。
一方で、世の中の大半の人たちはそこまで何かのバンドに思い入れがあったり、日頃から音楽を聞きたいと思っているわけではありません。
しかし複数のバンドが集まって『祭り』を起こすことで、それぞれのファンの交換だけではなく、それまで興味が薄かった人たちも『せっかくだから行ってみるか』と足を向ける確率が高まります。
そのあと自分たちのファンに引き込めるかどうかはまた別の話ですが、知ってもらうアプローチとして『一緒に祭りを起こす』というのはこれから有効なやり方になっていくのかもしれません。
以前「フェスという『メディア』の使い方」を書いてから音楽業界の動きはこれからの小売の動きにも参考になる気がしているここ最近です。
そしてちょっと前に絵音さんがフェスについていて語っていたことも、これからの流れを考える上でとても示唆的だなと思いました。
「フェスって、こんなにいらないんじゃないかな」ってまず思ったんですよ。それは僕が行くのが面倒くさいからとかってことじゃなくて、ですよ(笑)。もうこれだけ年中フェスがあると「フェスって何なんだろう......」ってなってくるし、大体出演者も同じような感じになりがちで。今や夏だけじゃなく、"春フェス"とかあるし年中地続き。常にある。
きっと小売関連の『フェス』も、これからさらに増えていって、どこかの時点で飽和して淘汰されていく。
いつかそのフェーズを迎えるときのためにも、単に儲かるからという理由ではなく、自分たちの信念と理想のために場を作っていくことが重要なのではないかと、先をいく音楽フェスを見つめながら思うここ最近なのでした。
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