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人の成長に必要なのは「安心」と「信頼」

新卒で百貨店に入った時、「あれ、私ってこんなに何もできない人だったの…!?」とショックを受けるくらい怒られてばかりの毎日でした。

大学時代のアルバイト先では手際よく捌いて、店長や社員さんたちからの信頼も厚かっただけに余計にショックが大きく、社会に出て早々に鼻をへし折られたことを覚えています。

今になって当時を思い返してみると、言われたことを言われた通りにできないわ、在庫整理の仕方も雑だわ、細かい作業が苦手だわで使い物にならない若手だったなあと反省することばかりです。

でも、当時何度も怒られながら在庫整理の考え方や「誰が見てもすぐわかるようにする」というマニュアルや仕組みの基礎をたたきこまれたことが今に生きているので、はじめに大企業に入ったことはやはり正解でした。

ただ、当時は何かすると怒られ、発言すれば呆れられていたので、なかなか自分に自信を持てなかったし、私は社会的に落ちこぼれで市場価値はないのだとも思っていました。

その自己認識が変わったのは、百貨店を辞めた後に入った会社で出会った上司がきっかけです。

私の社会人生活の中でも、実はこの時期が一番成長曲線が大きかったのではないかと思います。

百貨店時代は100点を求められているのに90点しかとれなくて、1点2点のミスをとことん詰められていました。

しかし、環境が変わった瞬間「90点とれるなんてすごい!」という評価に変わり、それによって少しずつ「助けてもらっている」という後ろめたさは「私が支えている」という自信へと変わっていきました。

私自身の基礎的な能力は大きく変わったわけではないにも関わらず、周囲からの評価が「なにもできないから助けてあげないといけない子」から「何でもできるから安心して任せられる人」に変わったことで、私の能力が開花したのです。

当時の上司は自分でも認めるくらい才能に偏りがあり、普通の人に比べて構想力と課題解決力は高いものの、逆に普通の人にできることがほとんどできない人でした。

毎日毎日小言を言い続け、「頼りないから私ががんばらないと!」と自発的にあれこれ提案し、またそのほとんどを「ええんちゃう」と認めてもらっていました。

そこで自分の提案を形にしてやりきる楽しさを覚えたことが、今のやり遂げる力につながっているように思います。

人は、信じて任せれば勝手に自分で成長するものなのです。

ただ、「任せる」ことと「放置する」ことはまったく違います

よくスタートアップの求人で「自由度が高い」「若手にも権限委譲している」という言葉を見かけますが、この二つを混同している企業も多い気がしています。

当時の上司のもとで働いていた頃、何度か大きなミスをして私の手には追えないレベルまでいってしまったことがあります。

今になって振り返れば、毎回よく私に文句の一つも言わず淡々と解決してくれたなあと思わずにはいられません。

絶対に私のせいにはしなかったし、いつも私には思いつかなかったような解決の糸口を見つけて、自分が矢面に立って一緒に謝りに行ってくれるという安心感があればこそ、私も安心してチャレンジすることができたのだと思います。

一度「守ってもらった」という体験があれば、失敗に臆することなく挑戦することができるからです。

「任せる」とは何かあったら最終責任者として自分が矢面に立つ覚悟とセットなのです。

また、信頼して任せるには万が一失敗した時にフォローできるだけの力を、自分自身がつけておく必要もあります。

自分のことも相手のことも信頼して委ねること。

そうした信頼が生む安心感こそが、人の成長に一番重要なことなのではないでしょうか。

***

普段は軽口をたたいたり冗談で貶したりしていたけれど、いつか自分がチームをもつ時がきたら同じようにみんなに安心感を与えられる人になろうと考えるようになったのは、この時期の体験が大きく影響しています。

私はまだまだ自分がリカバーしきれる自信がなく、つい先回りして細かく指示をだしてしまいがちなので、任せきるだけの自信をつけるべく、日々精進していきたいと思います。

(Photo by tomoko morishige

(「人のフィルターを通して見る世界」に続き、本人には絶対言わない褒めシリーズ第二弾…それぞれ本人の目にはいりませんように…)(フリじゃないよ)

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