「でいい」消費が広まる時代に
先日、「無印良品は無印良品"でいい"を目指している」という話を聞き、たしかに今は『でいい』消費の時代なのかもしれない、と思いました。
無印良品もユニクロも、そしてインテリアでいえばニトリも、今成功していると言われるブランドはどれも『これがいい』ではなく『これでいい』というポジションを積極的に取りにいっているように見えるものばかり。
私たちはブランドを確立する上で、ついどうすれば『これがいい』と選んでもらえるかを考えてしまいがちですが、実は生活の大半を支えているのは考えずに選べる、『でいい』商品なのかもしれません。
もちろん昔から私たちはこだわるものと『これでいいや』で選ぶものを分けてきたはずですが、ここ数年の変化は『これでいい』商品のクオリティが上がったということ。
以前はこだわりなく選ぶと安かろう悪かろうで見た目もダサいものに当たってしまう確率が高く、おしゃれ偏差値に明確な差がありました。
しかしユニクロ・ニトリ・無印良品の3つのアイテムは、おしゃれな人でも取り入れるベーシックなアイテムが豊富に揃っています。
つまり、これを選んでおけばダサくはならないという安心感を与えたことが、この3ブランドが私たちに与えた大きな変化なのです。
そして今後は価格・品質・ファッション性すべてをバランスよく80点とるような『でいい』消費のブランドと、熱狂的なコミュニティをうむ『がいい』消費のブランドにはっきり別れていくのだろうと思います。
これはどちらがいい・悪いではなく、多くの人のベーシックになりたければ前者だし、自分の思想を表現したり信念を伝えることに重きをおくのであれば後者になっていくのかなと。
大切なのは、選んで欲しい理由とブランドのあり方が乖離していないことに尽きるのではないでしょうか。
自分は今、人の下限値を引き上げるものを作っているのか、熱狂的に愛される嗜好品を作っているのか。
ブランドに限らず、サービスも企業も、『人に選ばれる理由』を定めていかなければならない時代にきているのだと思います。
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今日のおまけは、Tommy Hilfigerのスマートアパレルから考えるこれからの「洋服」のイノベーションについて。
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