サウナとストロングゼロから考える、これからのブームの作り方
(※今日は野球記事のときと同じようなテンションでお送りしています。あらかじめご了承ください。)
ちょっと前からごく一部では話題になっていた「#わたしのストロングゼロ」なるハッシュタグ。
ここにきて、とうとうストロングゼロ界を牛耳るダブル長谷川の談合により、「#わたしのストロングゼロ」を軸に地下ユニットとして動き出すことになったそうです。
こうして今をときめくエース編集者たちが組んで本格的にやりだすと、ほんとに公式に届く日がくるんじゃないかって…ストロングゼロのオウンドメディア運営依頼とかきちゃうんじゃないかって…そんな、ある種の希望と絶望がないまぜになった複雑な心境になりますよね。
そして昨晩、この2人のツイートをきっかけに「ストロングゼロを飲んでみたい!」という初心者(私含む)がわらわらと集まり、近々ほんとにストロングゼロという国境を超える日がきそうな機運が高まっています。
大の大人(※全員ほぼ30代)が集まってなにやってる…!
と思うところもありつつ、でも冷静に考察してみると、これからのブームってこうやって起きていくんだろうなとも思いました。
おや?この感じ、なにかに似ている…。
みんながある日突然自分語りをはじめ、
その愛の叫びに呼応してネット上に愛好者がわらわらと集まり、
突発的にゆるいオフ会が開催され、
初心者もその世界に魅了されて次々と信者を作る…
そう、これは…
サウナや!!!!!これサウナのときと一緒や!!!!
私は気づいてしまったのです、これは完全にサウナのときと同じ流れだと。
つまりここから、ストロングゼロはポスト・サウナになるのだと。
そして「この社会現象は、効率化や成功を追い求める意識の高さに辟易したミレニアル世代によるアンチテーゼ」のような解説と共に、みんなが大真面目に議論する対象になっていくのだと。
ストロングゼロは少し前から「人をダメにする飲み物」としてネット上ではネタとして親しまれ、「#ストロングゼロ文学」なるものも誕生するほど徐々に市民権を得てきました。
しかし、このタイミングで実名アカウントの愛好者が出て来始めたことで、匿名アカウント同士のネタの応酬から発展して、リアルなイベントの発生、ひいてはコミュニティが形成されるという未来につながっていくはずです。
つまり、虚構の世界からリアルの世界に広がり、それによって本格的なムーブメントになっていく。
そのティッピングポイントは、リアルなコミュニティに紐づくSNSでのムーブメントだと思うのです。
ちなみに、サウナのときも(私が観測したかぎりでは)、もともと孤独に楽しんでいた人たちがあるときふとリアルな人間関係の中で「あれ、お前も好きなの!?俺も、俺も!」と仲間を増やし、それがオンラインでも可視化されたことで仲間が仲間を呼び、急速に「つながる」ことでコミュニティが形成され、大きなブームになりました。
何かブームが起きる上でこの「オンライン」と「オフライン」のバランスはとても重要で、どちらか一方だけではニッチな物好きの集まりで終わってしまいます。
オフラインでリアルな熱量を育て、その熱量をオンラインで可視化することで仲間を増やす。
それこそが、これからの「ブームが発生する要件」のひとつなのではないかと思います。
さらに、サウナとストロングゼロの共通点は、初心者と上級者のグラデーションがあり、語れる「こだわり」要素があること。
サウナ愛好家は自分で「サウナー」と名乗っていますし、それぞれに好きなサウナの設えや水風呂の温度など細かいこだわりを持っています。(こわい)
ストロングゼロも、好きな味はもちろん、上級者になるといろんな飲み方を試行錯誤しているようです。(あぶない)
こうしたこだわりはコミュニティ形成に必要な「秘密の共有」につながり、そのコミュニティをより強くする要素になります。
ここからさらにオリジナルの専門用語やローカルルールが生まれればコミュニティとしては完璧。
「共通言語」は、仲間意識の醸成においてとても重要な役割を担っているからです。
さらにこの共通言語やローカルルールは数が多ければ多いほど、初心者から上級者までのグラデーションが多様になるため、コミュニティの内と外を二分するのではなく、LV.1からLV.100の中で自分のポジションはどこか?という発想になり、疎外感をもつ人を減らしながら裾野を広げることができます。
ちなみに私は野球が好きなのですが、やきう民の言語は非常にハイコンテキスト。
その分「お約束」も多いのですが、簡単なものから覚えていって上級者たちとコミュニケーションをとると徐々にその独特の言語にも慣れ、流暢に話せるようになります。
この文化的な厚みとファンコミュニティの厚みはほぼ比例するので、歴史の長さと遊びの余白によって、コミュニティは徐々に拡大していきます。
そしてこのコミュニティが急激に伸びるタイミングを、人は「ブーム」と呼ぶのだと思います。
これまで、洋服を中心に大半のブームはマスメディアによってある程度コントロールすることができました。
単純接触の量が多ければ人は好感を抱く性質があるし、目にする機会が増えるほど「ブームだから自分も買わなきゃ」という気持ちになるものだからです。
しかし、徐々に人がマスメディアから離れはじめ、「一般的にみてどうか」よりも「自分のコミュニティからみてどうか」を気にするようになりました。
つまり、世間的に流行っていることよりも、自分のまわりで起きていることの方が重視されるようになってきているのです。
これによってブームはどこで火がつくかわからない「コントロール不能なもの」になりつつあります。
だからこそ、無理矢理ブームを起こそうとするのではなく、それぞれの小さなコミュニティ内で何が注目されているかをウォッチし、火がついた瞬間を逃さずにキャッチアップすることに注力すべきなのです。
ちなみに、私が思う「ブームに火がつくまで」の過程は下記の通り。
①匿名掲示板やSNSの匿名アカウントでネタにされはじめる
(→特にTogetterや2chまとめで度々取り上げられるネタは有望株なのでウォッチをはじめる)
②顔出し実名アカウントもネタにしはじめる
(→あと一歩で火がつくタイミングなので、注意深く静観)
③顔出しアカウント同士が結びついてリアルに会う機会を作る
(→ここがティッピングポイント!ここからは勝手にブームができていく)
④③が1回で終わらず、メディアやコミュニティなどつながる下地が生まれる
(→自分たちでやった感が大事なので、公式はこのへんまでアプローチを我慢するのが大事)
Instagram発のブームはまたちょっと違うと思いますが、Twitter発で生まれるブームはおおむねこの流れで起きているように思います。
そして、④でも書いた通り、企業がアプローチするのはある程度場が温まるまで我慢した方がいいんですよね。
なぜならあまりに早い段階で公式がでてきてしまうと、ユーザーの「俺が育てた感」が阻害され、冷めてしまうから。
何回か自分たちの持ち出しで勝手にイベントをやったり、発信を重ねてややマンネリになってきたタイミングで公式が登場することで、ユーザーも「アップグレードされた!」という自然な感情で受け入れることができます。
つまり、これからはブームを躍起になって「作る」のではなく、すでに出来上がったブームにうまく「乗っかる」力こそが重要なのです。
今後本当に優秀なマーケターというのは、設計を考えるよりも本当にそのSNSが好きで、苦労を感じることなく楽しみながら「今流行っていること」を見つける能力に長けている人なのかもしれません。
***
と、他愛ないストロングゼロとの戯れから思いがけずまじめな考察をしてしまいましたが、最後に一言だけ。
サントリーさん!
W長谷川にストロングゼロメディアの発注をしてあげてください!
私からは以上です。
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