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短歌№1-30

30
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あなたとは
ふたりでいきたい
とこじゃなく
ふたりしかいない
とこへいきたい

目が合った
レンズ越しに見た
その先の
静かにゆれる
あなたのまつげ

衝動が
溢れて溺れて
しまうから
いまは水面を
揺らしたままで

息ひそめ
目が合うたびに
ノックして
窓をあけるよに
眼鏡をはずす

あてもなく
千切れた雲の
むこうへと
くるり回った
一羽の鳥よ

そういえば
今日は十五夜
なんですね
空を指差す
あなたが綺麗

はじめから
そういうつもりは
なかったと
大好きなんて
言われて浮かれ

感情に
名前をつけて
呼ぶ度に
取りこぼされた
なにかが呻く

君の言う
拭えないほどの
鈍色は
油絵でいうと
ほんの下塗り

秋風が
吹けばさらさら
鳴り響く
見渡す限りの
金色の稲

風を切り
エンジンの音に
溶けていく
奥田民生の
『イージューライダー』

少しづつ
記された音が
いつの日か
溢れんばかりに
耳に届いて

誰にもね
言えない恋だと
言う君の
一番近くに
僕はいるのに

夜が明け
声や姿を
永遠に
閉じ込めていたい
香水の瓶