映画感想│PERFECT DAYS
3月に2回、同じ映画を観て。
『PERFECT DAYS』ヴィム・ヴェンダースさんの監督作品。
役所広司さん演じる主人公、公衆トイレの清掃員、平山さんの日常を追っていく、どこかVlogのような雰囲気も感じる作品だった。
観終わってというより、観ている間から、平山さんの日常が羨ましくて。
「いいなあ…」という感情でも、憧れより羨望が合う気持ち。
朝、外の掃き掃除の音で目が覚め、いつものとおり身支度をして、一室で育てている植物に水をやり、家を出た近くの自販機でカフェオレを買って、車に乗り込む。カセットを選んで、音楽を流しながら、仕事へ向かう。
昼食はコンビニで買ったであろうサンドイッチと牛乳を、近くの神社のベンチで食べる。木漏れ日に目を細め、いつも胸ポケットに入れ持ち歩いているフィルムカメラで写真を撮る。
仕事を終えると家に戻り、銭湯へ。その帰り道、いつもの居酒屋で軽めの夕食をとり、夜は家で読書をしながら眠るまで過ごす。
あれもこれも、ではなく、抱えられる、必要なもの。
そのひとつひとつを大切にしている。
きっとそこが羨ましかったのだと思う。
私はどう考えても時間と気力と釣り合わないほど、やりたいことがたくさんあって。そして、それをやることに、重きを置くようになってしまっていたから。
もっとひとつひとつと向き合えるようにしたい、そう思ったら、羨望が憧れに変わった気がした。
「足るを知る者は富む」を描いた作品だと思った。
平山さんはスカイツリーのお膝元、2階建ての風呂無しアパートに住んでいる。部屋には鉢植えの植物とたくさんのカセットテープ、文庫本。
休日にはコインランドリーで洗濯をして、フィルムを現像に出す。古書店で文庫本を1冊買って、行きつけのお店でお酒と食事を楽しむ。
自分のたのしみ方を持っている大人、格好良いなあ。