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ロード トゥ 文フリ40 ① 「作家・作品紹介」 by 俺
同人誌『青音色』に参加させていただき、何度かの会合を経て、創作、そして、校正を行い、おおよそ作品は確定しました。
私、城戸和はうるさがたのオッサン枠で参加させていただいてるので、その役割期待に違わず、校正なのに内容にまで口を出す、という多大なご迷惑を執筆者陣におかけいたしました。パッパルデッレがネチネチと感想文を書くが如くに、意見したので、もう城戸とは一緒にやりたくない!と思われた執筆者もいるかもしれません。
そのくせ自分の作品については、あれやこれやと言い訳して、受けた指摘に対するアンサーも未だ返せていない始末。おい!老害!と言われそうですが、家族に内緒で文フリ40ではブース警備員を務めさせていただきます。あれ?西村賢太?生まれ変わったの?なんて言わんでくださいね。どちらかと言うと萩生田元議員に似ているはずですから。身長はタモさんと同じです。
さて、今回は罪滅ぼしとして、メンバーの作品をちょい見せさせていただければと思います。私は校正という名の論評を経て、最終的な校正もやっておりますので、みなさんの作品をいち早く、しかも三読、四読くらいは軽々としておりますので、それを元に3行から4行程度の予告を、バスっとさせていただければなんて思います。
今回、掲載されるのは7作、俺以外すべて素晴らしい作品に仕上がっています。涙あり、胸キュンあり、ホロリあり、切なさあり、エンタメありで、感情のデパートメントストアやー、などと彦摩呂ならずとも言ってみたくなるような仕上がりです。ちょっと俺以外仕上がり過ぎなんじゃないの〜、と煽るだけ煽り散らかしたいと思っておりますので、これをみたあなた、『青音色』第2号のご購入とご予約をいただければ、今ならまだ印刷かけてないですよ!
早く本題にいきたまえよ、ということではありますが、まだそれぞれの作品タイトルは伏せておき、その著者と内容について、簡単に紹介しておくことにしましょう。
*本編がこの順番で並んでいるわけではありません。
著者メンバー紹介と内容
福島太郎さん
穏やかで、城戸の空気の読めなさをうまくいなしてくれるオトナの男性。創作キャリアも長く、今回の作品のバックグラウンドをなす『会津ワイン黎明綺譚』はkindle unlimited(アンリミ)でも読めます。俺もさっそくダウンロードさせていただきました。
では、4行紹介いきます。
会津地方でワイン用ブドウを栽培している譲二のもとに、都会から若い女性・桃子が研修に訪れた。最初は明らかに迷惑な顔をして受け入れる譲二だが……?会津ワインの黎明期を舞台に、移り変わる四季ともに頑なな譲二の心も次第に溶けていく。福島太郎が繰り出す『会津ワイン黎明綺譚』からのスピンオフ!
月瀬由乃さん
城戸にビシバシとご指摘くださって、それがもうすべて的を射ておりまして、全部直し切ったら、あら不思議、魔法のように良い作品に仕上がりまして、みらっちさんのスタエフではあんまりたくさん本は読まない(好きな作家を集中的に読む)と仰ってましたが、それは謙遜過ぎるくらいの読み巧者です。お話のアクセントにヨーロッパの雰囲気のある素敵な方です。広告制作もしてくれております。ヘッダー画像は月瀬さん作です。
では、4行紹介行きます。
街の中央で人々の安寧を見守るマヴィ・バシリカ。その象徴である青いオランの取り替え作業が50年ぶりに始まった。仲の良かった幼馴染のクトは私のライバルとなる。オラン製造の栄誉は誰のものに……?幻想的で透明感のある筆致で、2人の若者の葛藤と成長を瑞々しく描き出す月瀬由乃のファンタジック・エンターテインメント!
吉穂みらい(みらっち)さん
ファンタジックSF大作でお馴染みの吉穂みらいさんで、城戸の無礼な振る舞いにも鷹揚に応じてくれる上品な方です。そのハイソサエティな身のこなしとは裏腹に、かなり熱い思いと、そして宇宙のような質量のある闇をいい意味で抱えていらっしゃるようにも思えます。その無尽蔵な情熱のありかを俺はまだ掴めておりません。
では、4行紹介行きます。
ある日、エレベータで超絶美人と乗り合わせた宮野颯斗。彼女は同僚の富永の妹だという。その噂は本当か?宮野は意を決して富永に聞いてみようと思う。明かされる意外な事実と富永の選ぶ未来とは。アルデバラン・シリーズで定評のある吉穂みらいのペーソス溢れるスラップスティック現代劇!
蒔田涼(海人)さん
noteではお馴染み海人さんです。鬼のように海外のミステリ、ハードボイルド、純文学作品を硬軟長短問わずに読まれている多読家です。そのスピード、もはや城戸なんか相手にもならないほどで、サルトルの『自由への道』は面白かった、と言ってる方、人生で初めて会いました。僕らの世代はポスト構造主義全盛で、サルトルはせいぜい『嘔吐』と『実存主義とは何か』くらいなものです。
では、4行紹介行きます。
空港で一緒に旅行をしていた桃香が雪の中に消えた。失踪の動機がわからぬまま、右往左往する力也と悠介。居合わせた藍里の語る話は真実か否か。理由なんかどこにもないと彼女は言った。人間の心の空虚を、乾いた筆致で明快に描き出す蒔田涼(海人)のハードボイルドミステリ!
朝野にわ(deko)さん
noteではdekoさんの愛称で知られている朝野さん。現在、絶賛連載中の『腐心』はロジカル・ミステリの傑作です。まだ完結していませんが、毎日楽しみしております。最初に校正という名の意見交換をしたのがdekoさんで、つい城戸も調子に乗ってアレコレと申し上げてしまって、多大なご迷惑をおかけしてしまいました。ただ、それだけに我々の思春期スイッチを高橋名人16連射してくれるキュン死に確定のすばらしい作品に仕上がっています。
では、4行紹介行きます。
瀬戸内海の島から本土の高校に通う真白と紅美。ある日海岸で、トムソンガゼルのように走る一人の少年を、真白は撮影する。その写真が校内に貼り出されたことで、真白の時間は一気に動き出す。緻密な構成と軽快な筆致で青春がきらめく、朝野にわ(deko)が描き出す躍動的な群像活劇!
渡邉有さん
その作風は日本近代文学にルーツをを持つ結構手強いものなのに、かなり熱狂的なファンがいらっしゃるらしいとお聞きします。それはわかる気がして、文章そのものから濃厚なフェロモンのようなものが立ち上がってくる気がするんですよね。そうやっていうとまたハードルを上げる、なんて言われそうですが。でも渡邉さん、ホラー味はないとか仰ってましたが、ヒトコワ風味は満載ですよ!
では、4行紹介行きます。
「もし、明日世界が終わるとしたら」と兄は言う。祖母はどうして亡くなったのか。その記憶をたぐりながら、妹の蓮は一つの光景を思い出す。斎藤茂吉の「赤光」のモチーフが物語の低音で鳴り響き、閉ざされた未来の前で兄と妹が選んだ選択は……?絢爛な描写で濃密な官能にむせかえる渡邉有の新作!
城戸和(パッパルデッレ)
最後に城戸。完成直後には、アレ…?大丈夫か…コレと自信を失いかけておりましたが、校正という名の意見交換を経て、多少の形は作れたのかなと思いました。でもまだまだです。小説はやっぱり難しい、と思わせる経験でしたがみなさんの厳しいご指導もあって、なんとか完成できました。ありがとうございます。
では4行紹介、自分のも描きました。思い切りが悪いですね。
静養に訪れた祖母の家の海水浴場で、日々繰り広げられる醜悪な日常の風景。突如思い出される恋の記憶。そこで私が見てしまったものは……?過去の記憶を自在に行き来しながら、私は現在へと戻ってくる。人生の滑稽と悲哀の表裏を粘着的に描く城戸和の一作!
ということで、こうご期待!