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スカイ・ダスト ~日本沈没から10年後の世界~ 第十話

 帰投した鳩原を待っていたのは、第9班の面々。

 班長:シャーロック=クウェイル
 副班長:レイヴン
 パロット隊:烏秋オウチュウ
 パロット隊:ケツァル
 トキ隊:トキ
 トキ隊:オストリッチ
 予報士:ラスタチカ
 整備士:ウィーバー
 
 全員が鳩原の帰ってきた格納庫に集合している。

「えーっと」

 鳩原は帰り際、ラスタチカより今回の件についてのネタバラシは受けている。

(さっきの無人機との戦闘は試験だったって、ラスタチカは言ってたけど……結果は合格……なのか?)

 烏秋が前に出てくる。

「ニーハオ」
「あなたは?」
「俺、烏秋。君、良い勘してるよね♪」

 烏秋は鳩原と肩を組み、顔を近づける。

「……本気でり合いたくなっちった♪」
(この声……さっき無人機から聞こえた声と一緒だ。な、なんか、殺気のようなものを感じるのは気のせいだろうか)
「その辺にしておけ」

 黒髪の韓国人――レイヴンが烏秋の肩を掴んで剥がす。レイヴンに掴まれると、烏秋は借りられた猫のようにおとなしくなった。

「シェイシェイ。つい、逸材を見つけるとついばみたくなっちゃうんだ」

 烏秋と入れ替わりでレイヴンが自己紹介を始める。

「俺はレイヴン。副班長だ」
「は、はい。自分は鳩原修二で――」

 レイヴンは口の前で人差し指を立てる。

「本名は名乗るな。これからはコードネーム、ポッポと名乗れ」
「はい。わかりました……てか、俺のコードネーム、ポッポで確定なの……?」
「お近づきの印に、これをやる」

 レイヴンは一冊の文庫本を渡す。

「これは?」
「俺の書いた官能かんのう小説だ」
「へぇ、自作で小説なんて凄いですね。しかもちゃんと出版社から出していて……官能!?」
「趣味なんだ。後で感想ヨロ」

 レイヴンはポンと鳩原の肩を叩き、下がる。

「次は私ね」

 赤毛の美女、ケツァルが鳩原に握手を求める。鳩原はケツァルの手を取る。

「私はケツァル。気軽に姐さんと呼びなさい。チェリーボーイ」
「……なぜ俺がチェリーだと?」
「トキが言ってたけど?」
 
 鳩原がトキに目を向けると、トキは口笛を吹きながらそっぽ向いた。

「よろしくね」

 投げキッスをして、ケツァルは下がる。
 最後に出てきたのは――

「やぁ。会いたかったよ。ポッポ君」
「この声……まさか、班長さんですか?」
「そう。僕がシャーロック=クウェイルだ。結構、月並みなセリフになっちゃうけどさ……言わせてもらうよ」

 シャーロックは両腕を広げる。
 ポッポの視界に、第9班の面々が収まる。

「ようこそ。『空警第9班スカイダスト』へ」
「すかい、だすと?」
「僕達の班の仇名だよ。意味は『空に浮かぶゴミ屑』さ」
「蔑称じゃないですか……」
「僕は気に入っているよ。実際、みんなゴミのような人間だし」

「「「「おい!!!(#°Д°)」」」

 部下たちのツッコミは無視し、

「だけどさ、ゴミと呼ばれた奴らが一番高くまで飛んだら、一番カッコいいと思わない?」

 シャーロックの言葉で、9班の面々が笑みを浮かべる。

「ここの班の人達はみんな変だけど、あなたが一番変ですね……『班長』」
「そう。だから僕が『リーダー』なのさ」

 鳩原とシャーロックは固く握手をする。
 こうして、鳩原修二はWSPへと入隊したのだった。

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