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寝る前オーディブルに最適?万城目学「八月の御所グラウンド」感想|朗読のメリット・デメリットと作品の魅力【でも二編構成って聞いてないし!】
「寝る前オーディブル」作品選びの難しさ
オーディブル体験二作目。
寝る前に聴く、というスタンスで言えば前回の「サラバ!」の純文学系は適してないように感じたので、直木賞系で作品を探していたら「ホルモー」の作者でしかも直木賞を取った作品があるではないか。
万城目学「八月の御所グラウンド」
早速試してみようということで今回の寝る前オーディブルに決定。
今回も適した作品選びとは言えず…
結論から先に言おう。
今回も寝る前オーディブルに適した作品選びに成功したとは言えない結果となってしまった。
理由その1:短編と中編の2編構成になっている事をしらなかった。いつ話がつながるのか期待して聴いていた。w
2つの別々の話をどこかで繋げる構成だと思い込んで聴いていた。w
本来紙の本であれば、手にして読み直し確認しながら読み進めることができるのだが、オーディブルは一旦進みだすと後はお任せだ。読み直す機能はあるが、面倒でできない。しない。
これはストーリー展開だけでなく、登場人物や、全てにおいて言える。
理由その2:登場人物が多く、会話が多いため、朗読者の声色の使い手が気になり、ストーリーに集中できなくなる時がある。
ただこれはボクの特性が大いに関係するところであるし、登場人物が多いだの、会話が多いだの、は小説であれば仕方がないことなので、朗読なら何を読んでも仕方がないのだ。ゴメン。
理由その3:「御所グランド」とあるが、ボクは奈良の御所(ごせ)を思い浮かべていた。w
これはボクが悪いのか!
作品自体は面白い!オーディブルとの相性問題?
最初に「今回も寝る前オーディブルに適した作品選びに成功したとは言えない結果となってしまった。」と書いたが、作品が面白くなかったわけではない。ここは強調したい。
小説はそれなりに楽しめた。
むしろ、しっかりと「短編小説と中編小説二編が入っています」なりの告知をしてくれ、途中にも分かりやすいように一遍が終わったという合図を「しっかり」といれてくれれば、いい長さの二編が入っているオーディブル作品となったであろう。
もう完全に人のせいだが、この点については是非オーディブル関係者の方々に声が届いてほしいものだ。
ってことで、ボクの因縁以外は今作は実はオーディブルにおいてかなり適した作品だったと、むしろ推薦作品だったと、言えるのではないだろうか。
オーディブルは「読書」か?
オーディブルは少なくとも「読書」したとはボクの感覚では言えない。あくまで朗読を聞いた、だ。
だから、読書数のカウントには入れることはできない。関心のない人にとってはどうでもいいことかもしれないが、文字を辿って表現を味わい人にとっては読書と朗読を聞く体験は大いに異なる行為だろう。
朗読はどうしても読む人、コーディネイトする人の干渉が入る。いい悪いは別として。
今回も朗読者の方の巧みな読み分けによってキャラの人柄が浮き立つように聞いていて出てきたし、中国人女性のキャラも際立っていた。研究室での中国人女性キャラは典型的だったが、悪意無く鋭く論理的にツッコむ言葉使いを片言で話す外国人キャラにして和らげるところは作者の工夫で素晴らしい点だと思う。ただ、典型的すぎるのは如何なモノか。中編小説だから仕方がないか…。
次は何を聴こう?幸せ気分で眠りたい!
さて、次は何を聞こうか。
寝る前オーディブルなので、推理サスペンスだと眠れなくなるのは困る。w
幸せ気分で睡眠につきたい。それこそ「ホルモー」のような作品だ。
まだ未知の出会えていない幸せ作品にこそオーディブルで出会いたい。
書籍関係者の方々に言いたいのだが、推理、サスペンス、或いは何とか賞受賞というジャンルもいいが、「幸せ」な気分になるというジャンル分けをしていただけないだろうか。