1日目:フリーター、鬱になる
2021年夏。
当時の自分は客観的に見て「悠々自適」に暮らしていたように思う。
新卒で入ったブラック企業を1年半で辞めて実家に戻っていた私は、好きな仕事をしたいと2020年1月レコードショップにアルバイトとして入社。
実家暮らしだったためフリーターの給料でも暮らしていけたし、皆音楽好きな変わり者の同僚と上司で、人間関係に悩むこともなかった。
何よりフリーターという「無責任」な仕事生活は気楽だった。
職場で彼氏もできて、友達も少ないながらに長い付き合いの人が何人かいて、趣味のバンドの追っかけもコロナに入ってもそれなりにできていた。
足りないものは何もなかった。と、思っていた。
自分の異変に気付いたのは、2021年の5月ごろだった。
なんか、仕事、行きたくない。
上で書いているように大好きな職場なのに、体がひどく重い。しかし5月という時期もあったので「ただの五月病だろう」と特に気にも留めず、無理やり仕事に向かっていた。
6月、7月と月日が流れる中で、一向に良くならないどころか悪化。これはおかしいと思い始めた頃にある症状が出る。
電車に乗れなくなってしまった。
電車の発射音だけで動悸が激しくなり、閉まるドアを見ると気絶しそうになった。満員電車は吐き気がして1駅ごとに降りて20分以上休憩をしないと身体がもたない。
こんなことが起こったのは初めてだった。
初めて自分が病気なのかもしれないと自覚し、病院に行くことを決意する。
それでもこの時の私はどこか、そんな大したことないだろうと思っていた。
まさか私に限って、と、他人事のようにとらえていた。
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