3日目:「抑うつ状態ですね」

予約から3日後、ようやく診察。

前回の通り身体は自由に動かず電車は拒否反応を起こしてしまうため、母親の付き添いのもと1時間かからない移動を数時間かけて行い病院に到着。

なんかすごい路地裏のビルに入ってる。
待合室、なぜか昭和のポストが置いてある。
ていうか受付誰もいない。

私以上に不安になる母親。間違えたかもしれないとドアを閉めようとしたとき診察室のほうから「あいてますよー」と穏やかな声が聞こえ、先生が出てきた。

母には待合室で待機してもらい、私だけ診察室に入る。
文章を考え伝える力も残っていなかったため、箇条書きで症状をメモした紙を先生に渡した。

先生はいくつか質問をし「抑うつ状態ですね」と言った後、風邪の症状を説明するのと同じテンションでうつ病について説明をしてくれた。

まず、うつにはいろいろな種類があること。そのうえで、診断名を明確にできない「複合的な」うつもある、ということ。そのため同じ病名でも効く薬は人によって違い、これから「合う薬」を見つける長い期間が必要になること。

その日は薬を処方され、1週間後の診察予約を取った。

色々と構えて行った病院は思っていたより淡々としていたが、不思議と嫌な気持ちはしなかった。

終了間際、先生に質問されなかったため自分から勇気を出して「原因になるようなことが何もないんです」と伝えた。
先生はうなずいてカルテに書き私に言った。

「原因は一部の病状を除いてさほど重要ではないです。治す過程は同じですから。」

この言葉にすごく救われたのを覚えている。
自分の中で、うつ病は何か大きな原因があって発生するものだという認識があった。
先生に「原因はわからない」と伝えたら呆れられるんじゃないか。
もっとつらい、苦しい思いをしている人がいるのに失礼じゃないか。

もちろんこの言葉にショックを覚える人もいるかもしれない。
少なくともこの一言で私は救われ、この先生を信頼したいと思った。

※3年ほど前の診察時の記憶ですので、先生の言葉は大体のニュアンスで書いています。また、身バレを防ぐため診察時の状況はかなり省略して書いています。実際の診察状況とは異なるため、あしからず。

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