なんか自己嫌悪に陥ったので雅な世界に浸りたい。
こんばんは。
始めたばかりなので、できる限り毎日何かしら記事を書こうと躍起になっています。さて、このやる気は果たしていつまで続くのでしょうか……
ちょっと後ろ向きな話になってしまうのですが、私、今までの人生の中で、よしやるぞと宣言したことをことごとく途中で放り投げてきた人間なんですよね。
こういうストーリーの小説を書く!と言っておきながら三頁ほどでやめてしまったり、マジックを練習する!と決めたはずなのにいつまで経っても家のどこかにあるはずのトランプを探そうとしなかったり。
それじゃだめだぞ、なんでお前はいつもそうなんだ?という心の声が聞こえてくるんですが、そのときにはもう別のことに気がいってしまっていて、「いいんだ、そんなことを決心したのは昔のことさ」なんて、平気で思えてしまうんです。
興味の幅が広くていいねと言ってくれる友人もいますが、私は、それ以外のことが考えられなくなるくらいに1つのことに熱中できる人が羨ましいなぁと思います。
専門性が求められる時代だって言いますもんね。こんな性分でこれから生きていけるんでしょうか…
暗い気持ちになってしまったので、落ち着くために植物でも見ることにしましょう。
(↑わが家の白バラ)
(↑なんかよくわからない花々)
ふぅ、ちょっと穏やかな心持ちになれました。自然物を見ていると、複製可能な人工物を見ている時よりも強く美の本性みたいなものを感じます。
昔の風流人たちは、自分の感情を不特定多数の人に吐露したりはせずに、花や月などの自然物の美に感じ入りながら、しみじみと和歌に乗せて伝えていたんでしょうね。
そういえば、高校の頃古文の授業で使われたテキストの中で特に好きだったのが、『伊勢物語』などの歌物語、つまり和歌が出てくるものでした。
今頭に残ってる古典文法の知識って下手したら「ありおりはべりいまそかり」だけかもしれないですが(笑えない)、和歌はちらちら覚えてるなぁ。
「教育とは、学校で学んだことをすべて忘れた後に残るものである」 byアルベルト・アインシュタイン
百人一首は中学の頃に覚えさせられましたが、最近になって改めて見返してみると、100首もあるのにそれら全部がすごくいい歌なんですよね。
藤原定家が選んだだけはあります。
なので今回は、唐突ですが、百人一首の中から私が特に好きなものを厳選して紹介しようかな。
なんとなく頭に残りやすい、語感の良いものをピックアップしようと思います。
ロクな解説はなしです。心で感じてください!()
①かくとだに えやはいぶきの さしも草 さしも知らじな 燃ゆる思ひを
歌人:藤原実方朝臣
[雑な訳]
僕がこんなにもあなたを好きでいるだなんて言えない。だからあなたは知らないよね、僕の心がヨモギの草のように燃えているって。
「かくとだに」というよく分からないけど謎に語感のよい初句に、「さしも」の重なり、そして倒置法での締め。言葉の連なりが美しい歌です。
②滝の音は 絶えて久しく なりぬれど 名こそ流れて なほ聞こえけれ
歌人:藤原公任
[雑な訳]
滝の流れが絶えてからかなり時が経ったけれど、その評判は今だに流れて、人々に知られているのです。
もう水は枯れてしまったけどその評判は今でも残っている、という内容にも心打たれますが、「名こそ流れてなほ聞こえけれ」の響きが好きです。「こそ」という強調の語がいい味を出していますね。
③有馬山 ゐなの笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする
歌人:大弐三位(だいにのさんみ)
[雑な訳]
有馬山から風が吹けば、笹原がそよそよとなびくでしょう。そうよ、私があなたを忘れるわけがないわ。
「いでそよ人を忘れやはする」のリズムがいいですね。Sの音が入ってくるバランスが絶妙です。良かったら口ずさんで確かめてみてください。
あ、ちなみに大弐三位は紫式部の娘です。母親と同じく中宮彰子に仕えていました。
④人もをし 人もうらめし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は
歌人:後鳥羽院
[雑な訳]
時に人を愛しく思ったり、恨めしく思ったりする。つまらない世の中だと思うばかりに、思い悩んでしまう私は。
承久の乱を起こした人が詠んだ歌です。人に愛着を感じることもあれば恨んでしまうこともあるという、とても共感できる内容です。「人もをし人もうらめし」の連なりと、「世を思ふ」と「物思ふ」で韻を踏んでいるのが良いですね。
文法うんぬん以前に、リズムが心地いいものを紹介してみました。
英語の歌でもやたら韻を踏んでいるものがありますが、和歌には和歌にしかない耳障りの良さがあるんじゃないかなぁ。
内容をもっとしっかり知りたいという方は、西東社から出ている『百人一首大事典』という本がおすすめです。オールカラーの漫画で歌の内容が分かりやすく解説されていますよ。よろしければ。
お読みくださりありがとうございました。
ではまた次回。