『新しい自己紹介 コロナ時代の人脈構築術』第1章まで無料全文公開!
2020年10月30日に発売された書籍『新しい自己紹介 コロナ時代の人脈構築術』(著:高嶋 大介)の第1章までを無料公開いたします!
内容紹介
自己紹介メソッドというと、意識の高いごく一部のためのものであると思う方も多いことでしょう。
しかし、本書で紹介するのは等身大の自己紹介です。従来言われてきたように、相手が興味を持ってくれるよう必要以上に自分を盛る必要はありません。
では、どのようにして相手に興味を持ってもらうのか? 本書では「課題」「人柄」「希望」の3つをキーワードに、普段あまり意識していない自己紹介を再定義していきます。
本書には独自の自己紹介ワークを収録。どなたでも今すぐ「新しい自己紹介」へのアップデートが可能です。
ぜひあなたも、繋がりを呼ぶ「新しい自己紹介」を体感してみてください。
【目次】
はじめに
100人カイギ流メソッドを使うとどうなるのか?
第1章 今こそ自己紹介をアップデートすべし
名刺交換と自己紹介は全くの別物である
自己紹介は対不特定多数の時代へ
自己紹介で自分を大きく見せる必要はない
第2章 ウィズコロナ時代に必要な「新しい自己紹介」とは?
個人の課題を開示する
人柄は物語にして伝える
未来の希望を語る
第3章 名刺や肩書きに頼らない「100人カイギ流メソッド」
何を伝えるか?(=What)
なぜその行動をしているのか?(=Why)
これからどうなりたいか?(=Will)
物語として組み立てる(=Story)
第4章 メソッドを使った自己紹介例
ビジネス編【CASE 1〜5】
プライベート編【CASE 6〜9】
おわりに
謝辞
※本書は各電子書籍ストアにて好評発売中です。
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はじめに
はじめまして、高嶋大介といいます。最初に断っておきますが、僕はもともと自己紹介が得意なわけではありません。
では、なぜそんな僕が「自己紹介」について本を書いたのか? まずはそのわけをお伝えします。
僕が発起人を務める「100人カイギ」というコミュニティ活動では、毎回その街に在住、在学、在勤している5名のゲストの話を聞くイベントを開催しています。
そのゲストは、大勢の前で講演をするような特別な成果を収めている必要はありません。むしろ、参加者にとって身近な一般の方に登壇いただいています。
しかも、なんと5名の話すテーマはバラバラ。ですから、参加者も本当に多種多様なバックグラウンドを持った人が集まります。
ゲストの持ち時間は1人10分。その時間内で、自分の紹介と活動の紹介(どんなことをしているのか。その仕事やプロジェクトに対する思いや考え方など)をしていただきます。
僕はこの100人カイギで、延べ500人以上の自己紹介を見てきました。もちろんそのほとんどが、僕にとっては全くの初対面です。そしてその中で、僕はあることに気づきました。
「肩書きや実績ばかり話す人に限って、あまり話が面白くない……」
この気づきから、僕は「もっと話をしてみたいと思ってもらえる自己紹介とはどんなものだろう?」と考えるようになりました。自分なりにゲストの自己紹介を分析し、知人にも協力いただいて作りだしたのが、本書でご紹介する「100人カイギ流メソッド」です。
今回本を書くにあたり、自己紹介について書かれた本やノウハウもたくさん調べました。その中で共通していたのは「自分をよりよく見せること」です。
これまでの「自己紹介」とは相手のほしい答えを話すこと。テクニックでもって相手に興味を持ってもらうこと。こういう要素が強いです。
しかし、従来の「私と付き合ったら得ですよ」というスタンスの「自己紹介」はビジネスの世界でもプライベートでも、これから先だんだんと通用しなくなります。たとえば、これまで株主を一番に見てきた企業が、これからは利益を社会や社員に還元するなどに転換してきています。また、実際の経済をみても誰の得よりも、何のために成し遂げていきたいのかという想い(パーパスやビジョン)に投資をする動きが出ています。
それに伴い、ビジネス上の評価軸も「うちの会社に利益をもたらすか」から、「この人は信頼できるか?」「この人と一緒に仕事をしたいか?」にシフトしていきます。だからこそ、金銭的な損得だけではなく、1人の人間として「この人と付き合いたい」と思ってもらえることが大事になっていくのです。
なにより僕は正直、従来の自分を盛ってより良く見せる「自己紹介」は「すごく疲れるだろうなあ」と思ってしまいます(笑)。これが、僕が本書を書こうと思った一番のきっかけです。
つまり、僕が100人カイギを通じて培った経験がどうして自己紹介につながったかというと、たくさんの人の自己紹介を聞いていて「一緒に何かやりたい」と思う人とそうじゃない人がいることに気づいたからです。
詳しくは後ほど説明しますが、その違いは自分の「物語」を話していたかどうかでした。「一緒に何かやりたい」と思える人に必ずあるのが物語です。
ちなみに、ここでいう物語とは、その人がどんな想いで活動をしているのかその理由や課題、これからやりたいことなどです。そしてその物語が、「この人のために何かを手伝いたい」という気持ちを起こさせます。
事実、100人カイギでは僕には予想もできないさまざまなコラボレーションが生まれています。
コラボレーションの例
・地域従事者との連携プロジェクトが生まれた
・ビジネスでのプロジェクトを手伝う仲間が見つかった
・TSUTAYAに本のセレクトでコラボすることが決まった
・農家さんと飲食店でコラボメニューの販売
・ライターとして記事の発注
・登壇者の事業立ち上げに参画したメンバーがいた
・お店同士のご近所付き合いが増えた
僕が提唱する自己紹介メソッドは、誰でも簡単に実践できるものです。世の中には自己紹介のノウハウが無数にあって、レベルの高いものも数え切れないほどあります。
しかし、これから僕がお教えする方法は、うまく自己紹介ができずに困っているけどどうしたらいいかわからない人にこそ届けたいのです。
物語が大切というとハードルが高いように感じるかもしれませんが、簡単にいうと自分のことを話すだけです。自分がこれまでやってきたことや、なぜそれをしてきたかを話すのであれば、そんなに難しくなさそうですよね?
実は100人カイギでも、「私なんて全然話すことないですよ」という登壇者が多いのです。ですが、それは自分が当たり前にやってきていることだから気づいていないだけで、自分と違う人の人生はどれも非常に刺激的なんです。
我々日本人は、あまり人前で自分のことを話したがらない人が多いといわれています。
前述のとおり、僕自身も自己紹介をうまくできなかった1人です。人と会う機会があるけど、自分自身のことがうまく語れない。その原因は、本当の意味での自己紹介ができていないためです。
僕は日本中のあらゆる場所で100人カイギの開催を見守ってきましたが、今ではゲストに「6割は自分のこと、4割は自分がやってきたプロジェクトのことをお話しください」と伝えています。なぜかというと、そうでも言わないと多くの登壇者が自分自身のことを全然話してくれないからです。
当初はそんなことはわかっていなかったので、特にこの割合の話はせずに「10分間のうち、冒頭で自己紹介をお願いします」と依頼をして登壇していただいていました。その結果、多くの方は10分の持ち時間のうちなんと30秒程度しか自分のことを話してくれなかったのです。
30秒ということは、要するに全体の5%の時間しか使わないことになります。僕たちが普段からいかに自分のことを語らないか、ということを痛切に感じた体験でした。
┗100人カイギ流メソッドを使うとどうなるのか?
突然ですが、僕は今から自己紹介をします。これは本書のメソッドを使わずに、さっと作ったよくある自己紹介文です。よく読んで、どんな印象を持ったか考えてみてください。
古い自己紹介
高嶋大介といいます。僕はイベントやワークショップ、企業研修などを行うINTO THE FABRICという法人の代表をしています。これまで20年大企業でインハウスのデザイナーとして働いてきました。建築出身なのでオフィスやショールームなどの空間デザインからキャリアを始めて、5年前に共創スペースの立ち上げ、運営をしていました。インタビューや観察、コンセプトを作る対話の手法を使って、クライアント向けにビジョンや戦略づくり、新規事業創出をこれまで100社以上にしてきました。ワークショップやイベントなどの場づくりが得意なので、一緒にできることがあれば声をかけてください。
いかがでしょうか? 自分の肩書きや実績などを紹介している特に可もなく不可もなく、という感じだと思います。
さて、この自己紹介を聞いたあなたにお聞きしたいことがあります。この人(つまり私)と「何か一緒にやってみたい」とか「もっとよく知りたい」と思いましたか?
恐らく多くの方は「NO」だと思います。なんだか色々なことをしていて、すごそうな経歴ですが、ちょっと堅苦しいですよね。
では、「100人カイギ流メソッド」を当てはめて作った次の例文はどうでしょうか?
新しい自己紹介
企業研修などを行うINTO THE FABRICという法人の代表をしている高嶋大介といいます。僕は大企業で20年働いてきて、与えられたことをきちんとすることが仕事だと思いこんでいました。今考えると、自分で考えることを放棄していたんじゃないかと思います。異動がきっかけで毎日のように社外の方と話す機会が増えました。社外の人の話を聞くうちに、自分が当たり前と思っていたことが実は違ったことに気づきました。今ではすっかり会社の異端児です(笑)。今では、自分でも変われたんだから誰でも変われると思って、人と人が出会う対面の場、イベントやワークショップ、研修をしています。人が集うワクワクする場を作ることだったら何でも巻き込んでください。
いかがでしょうか? 肩書きや実績だけではなく、人柄や想いが伝わりやすくなったかと思います。そしてこれからの時代は、人柄や想いを相手に伝えることがより重要になっていきます。
本書はこの自己紹介メソッドをよりわかりやすく、全ての人に当てはめて実践していただくために、第3章に書き込み式のワークを収録しています。つまり、ワークに取り組んでいくと、ご自身の自己紹介ができあがるようになっています。
ただし、本書は電子書籍という形式上直接書き込みができないので、ぜひ紙とペンを用意のうえで読み進めてみてください。もちろんスマホのメモアプリでも問題ありません。
それでは、つながりを呼ぶ「新しい自己紹介」を僕と一緒に作っていきましょう!
第1章 今こそ自己紹介をアップデートすべし
第1章では、やや俯瞰した目線で改めて「自己紹介」を再定義していきます。なぜここから始めるかといえば、実は多くの方が自己紹介のことを勘違いしているためです。
加えて、本書の執筆時点でも「新型コロナウイルス」が猛威をふるっています。これにより、人と人のコミュニケーションについても大きな変化を迫られています。
自己紹介とは、人と人との新たなコミュニケーションの記念すべき第一歩。だからこそ、自己紹介の意味や目的を一刻も早くアップデートする必要があるのです。
名刺交換と自己紹介は全くの別物である
┗名刺交換と自己紹介を混同してしまう理由
「(互いに名刺を渡しながら)株式会社○○で××をしています、△△と申します。よろしくお願いいたします」
商談の冒頭やセミナー後の懇親会などでよくあるシーンですね。参加者同士が交流しようとしています。
皆さん、これこそが自己紹介だと勘違いしていませんか? これは「自己紹介」ではなく「名刺交換」です。一見当たり前ですが、ビジネスにおいてはそれを無意識に混同してしまっている方が多くいます。
重要なことなのでもう一度いいます。自己紹介と名刺交換は全く別のものです。両者の違いを改めて言語化してみましょう。
・名刺交換=会社の紹介や会社での自分の役割を説明している
・自己紹介=自分がどんな人物であるかを説明している
名刺には会社名や肩書き、役割が書いてあります。そして時間に余裕があれば、今まで自分が携わってきたプロジェクト内容などをお話しますよね。名刺交換の場合は、個人よりも会社に興味を持ってもらうことが目的になっています。
名刺を渡されたほうは、その場では相手の言うことを一所懸命に聞こうとします。たとえばこんな点を注意深く聞いていることが多いでしょう。
・自分の会社とは過去に取引があったのか
・これから一緒にビジネスを始められそうか
・信用できる相手だろうか
しかし、セミナーや交流会で名刺交換をした相手への興味というのは、ほとんどの場合その場限りなのです。家に帰って「今日名刺交換をしたあの人は誰だったかな?」と振り返ってみると、思い出せないことが多くありませんか?
名刺交換の場では、なるべくたくさんの名刺を交換することを目標にしてしまうことが多く、名刺交換をした事実や交換をした名刺の枚数に目がいきがちです。ですから、目の前にいるその人自身に全く目を向けられておらず、新たなコミュニケーションの記念すべき第一歩として本末転倒なケースが少なくありません。
デキる営業の方などは相手の趣味や特技、家族構成なども聞き出してより親密になろうとするかもしれませんが、ほとんどの場合は挨拶程度のいわば肩書き交換で、すぐに目的の話を始めるかと思います。
そして、名刺は後からでも見返せるので、極論をいうと相手の人となりは記憶しなくても問題がありません。会社名や部署、役職など、ビジネスで今後関係を持つときに最低限連絡をとる手段のみ覚えておけば良いのです。
では、我々はなぜ名刺交換と自己紹介を無意識に混同してしまうのか。それは、ビジネスの現場において長らく名刺交換が自己紹介の代わりになってきたからです。なぜなら、取引先から声をかけられる段階で、相手がこちらに期待をしていることが決まっているからです。
そこでの興味は「この人が営業部門での意思決定者なのか?」「この人がエンジニアのリーダーなのか?」と、誰が決裁権を持った担当者なのかを知りたい、もしくは伝えているからなのです。
突然ですが質問です。あなたはどこかできちんと自己紹介のやり方を教わったことがあるでしょうか?
自発的に自己紹介に関する本やセミナーに触れている場合を除けば、多くの方は「NO」だろうと思います。学んでいないのですから、自己紹介がうまくいかないのも当然といえば当然なのです。
一方、社会人になってからすぐ新人研修等で教わるのは「名刺交換」のやり方です。ビジネスマナーとして取引先に失礼のないようにすることは当然必要です。
しかし、僕はこの名刺交換という文化こそが、自己紹介に対する意識低下を呼んでいると思っているのです。
ここでもう一つ質問です。あなたはビジネスシーンで初対面の相手に自己紹介をしていますか?
既におわかりだと思いますが、そもそも私たちはビジネスシーンで自己紹介をしていないのです。
先ほどの定義に照らせば、名刺は会社での役割を説明しているにすぎません。しかし、会社員としての自分はあくまで1つの側面でしかないのです。
┗名刺交換にもメリットはある
新型コロナウイルスの影響で、商談のオンライン化も進んでいます。商談がオンラインに移行したことで起きるのが、「名刺が渡せない」という問題。問題になるということは、名刺交換に一定のメリットがあったことはいうまでもありません。しかし、この名刺交換ができない状況が出てきたことで、より自己紹介の重要性が増してきているのです。
ここで改めて名刺交換が持つメリットについて整理してみましょう。大きく分けて以下の3つに分類できるかと思います。
名刺交換のメリット
1.名前や連絡先のアーカイブ
2.信用の担保
3.自己紹介の効率化
1.名前や連絡先のアーカイブ
名刺には打ち合わせ後のアーカイブ効果があります。たとえば、以前打ち合わせをしたときにはすぐに連絡をとる必要はなくても、しばらく経ってから担当者に連絡をとりたいということもあるでしょう。
そんなとき、その担当者の名刺さえすぐに手元で用意できれば、即座に電話やメールでコンタクトをとることができます。
他にも、最近では会社全体として顧客の名刺データを管理して、新規顧客開拓に活かすシステムも登場しています。要するに、名刺には見込み顧客リストとしての価値があるのです。
2.信用の担保
他にも名刺の絶対的機能といえるのが、会社名や肩書きによって相手を安心させるという意味での「信用の担保」です。
わかりやすい例でいうと、今まで全く取引のない企業の担当者と相対する場合に、相手の名刺に見覚えのあるマークや企業ロゴがあったりすると、一気に安心すると思います。
たとえば、大企業グループのマークを配することで子会社であることを明示したり、東京証券取引所に上場している証となる東証ロゴマークを記載したりといった具合です。
これらの情報は口で説明すると少々いやらしいですし、かといって事前に会社ホームページを見てもらうのも難しいでしょう。だからこそ、自然に自分が取引先として信用に足る存在であることをアピールできる効果があります。
なお、これは会社員に限らずフリーランスの方にも当てはめられます。たとえば、これまでのお仕事実績や取引先企業の一覧を掲載しておく、などの方法があります。
3.自己紹介の効率化
これは「2.信用の担保」とも一部重複しますが、名刺にはその場の自己紹介では伝えきれない情報を補完するという役割があります。
前述のとおり口頭で説明するといやらしく感じることに加えて、口から発する音声情報と同時に文字や絵といった視覚情報を伝えることができます。
たとえば、大事なプレゼンのときには、ただ口頭だけでしゃべるのではなくプレゼン資料を用意するのが大半かと思います。自己紹介のときもこれと同じで、視覚的な情報を付加することで自己紹介をより効率化しているのです。
このように名刺交換にもさまざまなメリットがあります。とはいえ、これからのウィズコロナ時代では、名刺交換の力に頼らず本当の意味での自己紹介をする必要があるのです。
自己紹介は対不特定多数の時代へ
┗自己紹介の相手が特定できない?
IT化が進んだことによって、自己紹介をする際の自分と相手(聞き手)との関係性も変わってきています。
インターネットが普及する以前の社会で考えてみましょう。インターネットがない時代の自己紹介は1対1が基本でした。もちろん多くの人の前で講演をしたり、マスメディアに出演される著名な方は不特定多数(n)に対しても自己紹介をしていましたが、一般の方にとってそのような機会は多くありません。
たとえ複数の人の前に立って何か発表する場合でも、多くは既に顔見知りの相手であり、既にコミュニティが形成されてからの話だったのです。もし同じコミュニティ内で初めて会う人であったとしても、同じコミュニティであるという時点で何らかの文脈を共有することができます。ですから、自己紹介についてもそう苦労するものではなかったのです。
では、ITが普及した後である現在の社会に話を移します。一般の方が不特定多数に対して自己紹介をしている例としてわかりやすいのがSNSです。
SNSのプロフィール欄は、制限をかけなければ全世界のありとあらゆる人が閲覧できます。また、基本的には自分のことを知らない人が読むことになるので、しっかりとした自己紹介が必要なのです。
しかし、SNSのような場において、前述した自己紹介のノウハウ本のように不特定多数の相手にメリットを提示する自己紹介を作ることは事実上不可能です。かといって、強引に相手の興味を引こうとすると、実績や肩書きのアピールになってしまいがち。
要するに、1対nの自己紹介を成功させるには、それに合った自己紹介の方法論が必要です。具体的にどのような自己紹介が必要か? という点については第2章で解説します。
┗新型コロナで加速するオンラインでのつながり
IT化による自己紹介の環境変化を急激に加速させたのが、新型コロナウイルスによる外出自粛です。
オンライン商談については先ほど触れましたが、コロナ以前ではセミナーや異業種交流会など、初対面のビジネスマン同士が直接会って交流をする機会が数多くありました。
僕が発起人を務める100人カイギでも、ゲスト5名が登壇した後には登壇者と参加者をごちゃ混ぜにしたネットワーキングタイムを設けています。
しかし、当然ながらコロナ禍ではそんなことはできません。結果として増えているのが、Web会議ツールを使ったオンライン交流会です。
オンラインでの交流会は3~4名で「ブレイクアウトルーム」と呼ばれる部屋に分かれて行うのが一般的です。なぜなら、オンラインにおいては一度にそれ以上の人が集まって同時に会話すると、会話に参加できない方が多数出てきてしまうためです。
かといって、1対1にしてしまうと交流が目的にも関わらず話せる相手が極端に減ってしまいます。ですから、3~4名が適切な人数になります。
さて、このようなオンラインでの交流会の場では、基本的に一人一人と名刺交換することができません。とはいえ、参加者はお互いに全くの初対面なので、最初は簡単に自己紹介をするかと思います。
この場合も前述のSNSと同じく、1対nの自己紹介を意識する必要があります。セミナーの後の懇親会であれば興味のあるテーマは同じである可能性が高いですが、100人カイギのようにテーマが1つではない集まりの場合は、相手のことが全くわからない状態で自己紹介をする必要があるのです。
自己紹介で自分を大きく見せる必要はない
┗自分を盛って話しても良いことはない
既に出版されている自己紹介本の多くは、「自己紹介は自分のためではなく相手のためにするものだ」と書かれています。相手のメリットを把握したうえで、自分の中から相手のメリットになることを語れ、という具合です。
これにはもちろん一理あるのですが、僕はなんともハードルが高い話だと思ってしまいます。それだけの経験や実績がある方であればこれで良いのですが、多くの方がこれを実践するのは非常に難しいでしょう。
これを鵜呑みにしてやってしまう失敗が、「相手に興味を持ってもらうために、自分を大きく見せたり実績を盛ったりしてしまう自己紹介」です。
こんなことをいえば相手はきっと驚いたり感激したりして、自分と良い関係を築きたいと思ってくれるに違いない。そんな気持ちでした自己紹介は、下心がちらりと顔を覗かせてしまいます。
本当は相手の立場を慮って「きっとこんなことが知りたい・聞きたいに違いない」と考えた自己紹介だったはずなのに、できあがりを見るといつの間にか自分本位になってしまっているのです。
そんな自己紹介は、聞き手が内心うんざりしているどころか聞き流されていることもあります。相手のことを思いやりたいという気持ちから始まったのに、こんなに悲劇的なことはありません。
┗自己紹介にギャップは必要ない
とはいえ、自分のことを話すだけで相手に興味を持ってもらえる自信のある方は、そもそも本書を手に取っていないでしょう。よく質問としていただくのが、「ギャップを作ったほうが良いか?」です。
確かに自己紹介の中でギャップを作れると、相手の興味を引くことができると思います。ですが、結論からいえば自己紹介にギャップは必要ないと思っています。もちろんあったほうがベターですが、なくても全く問題ありません。
これからの時代に大事なのは、相手が自然と手を差し伸べたくなるような自己紹介です。興味だけから始まる関係だと、興味が満たされた時点で終わってしまう恐れがあります。ですから、ギャップを意識する前にまずは根幹となる自己紹介ができるかどうかが大事です。
また、そもそも自己紹介において相手が何を求めているのか、という点にも注意が必要です。多くの自己紹介本には「相手にとって何がメリットなのかを考えて、それを自分が提供できることを伝える」ことで引きを作ろうとします。
ですが、皆さんは初めて誰に会うとき、そこまで具体的なメリットを提示してほしいと思いますか? もちろん営業マンや経営者の方は事前に会う人を決めているかもしれませんが、恐らくほどんどの方はそこまで明確なメリットを求めてはいないと思います。
それでは、自己紹介の受け手が求めているのは何か? それは「ゆるいつながり」です。そして、人が初対面の相手と「つながりたい」と思うために必要な要素を次の第2章で解説します。
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無料版はここまで。以降の本編では具体的な「新しい自己紹介」の解説はもちろん、「100人カイギ流メソッド」についても詳しくお伝えしています。
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著者プロフィール
高嶋 大介(たかしま・だいすけ)
一般社団法人 INTO THE FABRIC 代表理事
100人カイギ founder/見届け人
働く人の意識を変えたいと思い、一般社団法人INTO THE FABRICを設立する。「人と人がつながる」「気づき」の場づくりを得意とし、組織/戦略デザイン、コミュニティデザイン、イベント/マーケティングを行う。ゆるいつながりがこれからの社会を変えると信じ「100人カイギ」をはじめとした働く人に変化を促す活動を行う。サウナと散歩好き。
100人カイギ
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