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母性が発揮されるとき

20歳を過ぎた息子に構われたくて必死な私の
ちょっとイタイけど切ない話を聞いてください。

兄達をよく観察して育った末っ子は、
小さい頃から口が達者で賢い子でした。
すぐ上の兄を論破するのが得意で
いつしか生意気になってしまいましたが・・・

そんな彼も大人になり、彼女もできて
仕事にプライベートにと充実した日々を
送っていたある日、珍しく体調を崩し
熱を出して寝込んでしまいました。

すぐに大丈夫?と世話を焼きたいところですが、
普段、そんな私を煙たがると言いますか
多分照れ隠しだと思うのですが
いやいいから、自分でやるからと、
そっけない態度をとる彼なので、
彼がSOSを出すまでは様子を見ようと
ぐっと我慢していました。

とはいえ、なかなかSOSが来ないので、
用事で出かけた先からLINEで
「なんか食べたいのある?買ってこようか?」
と送ると
「いいの?ゼリーとカロリー〇イト食べたい!」
と返事が来ました。

よっしゃー!!と頼りにされたことが嬉しくて
飲むゼリー4種類、カロリー〇イトも4種類
あとタンパク源となるオイコスヨーグルトに
R1ヨーグルト、バナナ、そして水2L
と張り切って買い込んで部屋に届けました。

次の日、熱が下がったから出勤すると言います。
お母さんの看病のお陰だね うんうん
と内心ほくそ笑んでいるけど
決して口には出しません。
よかったねと声をかけるに留めました。

彼が仕事に出かけても気になって仕方ない私。
熱があった翌日の仕事はきついだろうな、
大丈夫かなと心配です。

夕方、案の定ぐったりして帰って来ました。
また、熱上がったみたいと言って体温計を
おでこに当てています。
熱はそれほど高くはなかったのですが、
だるさがあるようで、また部屋へ直行しました。

それからは私の出番!
リクエストを聞いてそれ以外の物まで
またどっさり買って部屋に届けました。

その後も飲み物や食べ物の世話を
アレコレ焼きました。
それだけでもう大満足。
いくらお金がかかろうが気になりません。

母として息子に尽くせるこの喜びは
いつ以来だったかと
遠い記憶をたぐり寄せながら
満たされた時間を味わっていました。

次の日、熱はないものの、だるさが
まだ残っているから出勤どうしよう
と息子がスマホを片手に悩んでいました。

「お母さんとしては、今日まではしっかり
休んだ方がいいと思うよ。無理して出勤しても
仕事の効率上がらないでしょ。」
と親としてのアドバイスをしました。

しばらくうーんと考えた彼が
「うん。そうする。よしじゃあ職場に休むって
連絡しよう。彼女がそう言ってたからって
ことにする!」
と言い放ちました。

これには、ズコーンとなりました><

その後、すっかり元気になった息子は
母に見向きもせず、今日も仕事にデートにと
人生を楽しんでいるのでした!

息子が弱ったときだけ
母性を思う存分発揮できた
束の間の幸せな時間でした。



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