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こんな発言をしたらバカにされるのでは・・・?のメンタルを克服する



誰しも発言をためらってしまうことはある

プロダクトマネージャー(以下PM)はその立場上様々な人から意見を求められるし、逆に自分も口を挟まなければいけない時がある。しかし、まだPM経験が浅いと、「こんな発言して大丈夫だろうか・・?」とか「自分が聞こうとしてる質問、陳腐すぎないか・・?」などなど、発言することをためらってしまう事が多い。何を隠そう、自分がPM駆け出しのころがそうだった。

100%ネイティブの環境で周りはPM経験者ばかり。そんな中、自分は駆け出しPMとして常に周りのPMの比較されることを非常に恐れていた。PMになる前エンジニアとしては社内でそれなりに評価していただいたが、PMなった後自分がものすごく非力に見えたからだ。周りのPM達は弁舌さわやかな英語でバシっと議論をまとめていき、質問すればその鋭さに議論が動き、上層部に向かってプレゼンさせれば、TEDのプレゼンのように聞き手を引き込んでいく。その次元の違いに「焦り」と「生き残れるか・・?」という思いが常に交錯していた。

「コンフォートゾーンから抜けろ」と言うけどさ・・・

焦れば焦るほど、「こんな質問したら・・」が自分の頭にこだまする。そんな時、当時のメンターに相談したら「それは焦りではなく、なんやかんや理由つけてコンフォートゾーン (Comfort zone)に留まろうしているだけ」と言われてしまった。冷静に考えれば確かにそうなのである。

ただ、人間誰しもいきなり「コンフォートゾーンから抜けろ」と言われて抜けられるほど単純ではない。この現象を深堀りしていくと、あることに気がついた。もともとコンフォートゾーンという言葉を聞いた時、自分は下のようにイメージしていた。

コンフォートゾーンの外は真っ暗闇。危険極まりなく、不快でしょうがない。こんな状態だったら普通は誰もが一歩を踏み出そうとは思えない。

15% ルール

自分は右下の図のように不快ゾーンにある「点」に向って大きくジャンプすることで人は成長するのだと考えていた。「発言」の文脈で言えば、いきなりバシっと場の流れを決める発言をすること、と考えていた。しかしそれでは「点」に着地できなかったら真っ暗な不快・危険ゾーンに落ちてしまう。(発言が滑った時のショックが大きい。)

そうではなくて、人間の成長はこのゾーンの「キワ」にあるのでは?と思うようにした。コンフォートゾーンの「広がり」を考えるのだ。(後になって知ったが、このキワのゾーンのことをGrowth Zone (成長ゾーン) と呼ぶ。)

そこで活かせるのが15%ルール。これは自分ができるようになりたい方向に15%だけいつもより頑張ってみる、というもの。Googleがやっていた、直接自分と関係ない取り組みを20%までやっていいルールの応用だ。

例えばこんな使い方になる。

  1. 参加人数の多い1時間のグループミーティングの中で、自分が発言できた時間が5分ほどしかなかったとしよう。15%だけ頑張るということは、次のミーティングではあと4分ぶんだけもう少し発言してみる。ひとまず自分の見えているところから「これはおかしい」と思うところ、「はっきりさせたほうがいい」というところに絞って発言してみる。

  2. 勇気を振り絞って発言したが(発言時間30秒だったとして)、うまく文脈を伝えきれなかった。次は15% (≒5秒)上乗せしてその分ちゃんと伝わるよう工夫する。

  3. 1ヶ月の読書時間が仮に3時間だとして、そのうちの15%(≒30分)は苦手分野の克服のための読書にあてる。

いきなりうまくやろうとしなくていい。誰だって真っ暗闇に踏み込むのは怖い。だからこそ、今の時点でできることの15%だけ広げてみる。うまくいかなかったら一旦コンフォートゾーンに戻って、次の15%はどうすればいいか考え直す。こうして「こんな質問したら・・」のメンタルを少しづつ変えていけばいい。

そして少しでもできたら、ちゃんと自分のことを褒めてあげましょう!

陰キャ・陽キャ?プロダクトマネージャーはそんな「ラベル」に付き合ってるヒマはない。

この15%の話をすると「言ってることはわかるけど、自分の性格が陰キャ寄りなのでどうしてもガツガツ発言できず・・」という声が聞こえる時がある。こうした考えを持つ人に覚えておいてほしいことが2つある。

1. 沈黙の代償 (Cost of silence)

まず理解しておいてほしいのは、プロダクトマネージャーには「沈黙の代償 (Cost of silence)」がついてまわるということ。自分の感情や考えを控えめに表現しすぎると、他人はあなたを理解しようと空白を埋めにかかる。これが「忖度」の正体だ。しかも、他人はいつも自分が思っているように都合よく空白を埋めてはくれない。時としてネガティブな埋め方をされてしまうこともある。(むしろそのケースのほうが多い。)

本当の自分の考えについて、多くの情報を共有しない状態が続くと、その代償はプロダクト作りプロセスの中でどんどん大きくなっていく。ひいては自分を不利な立ち位置に追い込んでしまう。「自分陰キャだし、こんな質問したら・・・」と臆していることは、いろんな代償を払うことにつながる。

2.「才能」は与えられるもの。「性格」は自分から選択するもの。

"Talent is given. Character is your choice."
もう一つは、生まれつき与えられるのは「才能」であって、例えば陰キャ・陽キャという「性格」は、実は自分が結果として選んでるだけに過ぎないということ。似たような議論で、例えばUSではIntrovert (内向的)とExtrovert(外向的)という言葉がある。前者が日本で言う陰キャ、後者が陽キャとでもなるのだろう。シリコンバレーで見る内向的なPM達はどうか?先に説明したとおり、内にとどまるとかえってPMとしての仕事を阻害しかねない。だからこそ「言うべきことは言うし、理解してもらわないと困ることには言葉を尽くす」という行動の選択をしている。

つまり、内向的だが時としてきっちり話すことをためらわない、という性格を選んでいる。(なので仕事中は陽キャっぽく見える)別に陽キャになれと言ってるわけでも、陰キャがダメと言っているわけでもない。陰キャというラベルを隠れ蓑にPMとして正しい行動が選べないのは、本末転倒ということ。性格は自分の選択なので、選択を間違えればPMとして失格になってしまう。そこに陰キャも陽キャも関係ない。そんなラベルに囚われるだけ時間のムダなのだ。

性格に悩むあなたに、このフレーズも一緒に心に留めてほしい。

You cannot choose where you come from, but you can choose where you go from here.
(あなたがどこから来たのかについては選べない。しかし、これからどこへ行くかはあなた自身で選べる。)

抵抗や反対には理由がある

15%ルールを使い、自分の性格を選択していったとしても、それでも抵抗や反対に直面して「ぐぬぬ」となってしまうことは当然ある。だからこそ、「抵抗をくらう・反対される」理由を、先んじて潰してしまおう。PMなら、常に2, 3歩先を見すえて動くのは基本動作。半歩先では足らない。

そもそもなぜ人は反対するか?そして、その一方で反対を押し切ることができる人はなぜか?そのカラクリを実は以下の式で表現することができる。

R < D x V x F
R: 抵抗(Resistance)
D: 現状への不満足(Dissatisfaction)
V: 目線、信じていること(Vision)
F: 現実的な一歩目(First step)

抵抗(R)に負けてしまうのは、

  • なぜ現状にとどまることが問題なのか?・・・D

  • 逆にうまくいった先にどんな明るい未来があるのか?・・・V

  • そもそも何から始めれば良いのか?自分たちにできるのか?・・・F

が、相手に伝わっていないか、そもそもD・V・Fに関する自分の思考がクリアでないことが原因。まずはこのフォーマットに当てはめて、自分の考えやデータを駆使して整理することをおすすめする。そして、右項が掛け算なのに注目。D・V・Fはどれかがゼロだったら確実に抵抗に負ける。


今回は自分の経験から、PM駆け出しの方たちに少しでも力になれることを、との思いから書いてみた。自分も常に「15%超え」を日々実践している最中です。ぜひ一緒にプロダクトマネージャーとして腕を磨いていきましょう!これからも皆さんに少しでも役に立つ、「生きた学び」をお伝えしていきたいと思っています!

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