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「仕事の価値って?」→「人生に足りないものを埋めている」高校生とゲームプランナーの「対話」【ジョブトライアル 企業訪問編(1)】

「あなたは仕事で、世の中にどんな価値を提供していますか」

新しい職場体験プログラム「ジョブトライアル」に取り組む中村高校(東京都)1年生の企業訪問でこの質問を受けた、ゲーム制作企業「ボルテージ」の社員の皆さんの回答はーー

「人生に足りないものを埋めている」
「胸キュンを安定的に届ける」
「よりよい職業選択の手助けをしています」

高校生の質問に自分の言葉で答えてくれた、唯一無二の言葉の数々をご紹介します。

中村高校はこの夏、毎年恒例の企業訪問に、教育と探求社の職場体験向け補助教材「ジョブトライアル」を試験的に組み込みました。職場体験の事前学習に取り組むうちに浮かんだ疑問を質問にまとめ従業員にインタビュー(質問)します。

企業訪問の前に実施した中村高校の事前学習の記事

この日企業訪問で訪れたのは、ボルテージ。従業員約220人、平均年齢約30歳の企業です。モバイルコンテンツ事業を核に、コンテンツ関連のビジネスを国内外で展開しています。これまで100本以上のオリジナル作品を生み出してきました。ゲームの世界観やキャラクターを活用し、演劇や電子書籍、イベント、グッズや音楽の企画販売も手掛け、ファンとの結びつきをさらに強めているそうです。

生徒15人を出迎えてくれたのは、同社人事の担当者2人。オフィス見学を挟みながら、会社の概要や事業内容、社員のキャリアなどを説明してくれました。

ゲームはこうして作られている


事業内容の説明の中で、ゲーム制作の流れと、そこに関わる様々な職種が紹介されました。

ゲーム制作には沢山の人たちが関わっていますが、大きく分けると4つの職種があります。

「プランナー」=ゲームのコンセプトや筋書きなどを考える。制作にかかわる職種と連携する際の「要」となり、作品を作り上げる役割を担う
「エンジニア」=ゲームが安定して動き、ユーザーが楽しめるような設計を担う
「デザイナー」=キャラクター、背景、建物、アイテム、メニュー画面など、ビジュアル面を中心に制作する
「管理スタッフ」=働きやすい環境づくりや人事・採用などを担う

ほかにも外部のシナリオライター、イラストレーターに制作を依頼することもあり、沢山の人たちが一緒に作品を作り上げていきます。
ただ、ゲームが配信されたら終わり、ではありません。新たなストーリーを追加したり、キャンペーンをしたり、広告を配信したり。長く楽しんでもらうための工夫を凝らすそうです。

この後は、生徒の質問に社員が答える時間になりました。事前に人事の担当者が若手社員3人からヒアリングした内容を報告する形で回答してくれました。

・シナリオを担当するプランナー(新卒6年目)
・ゲームを安定的に運営する基盤(インフラ)担当のエンジニア(同7年目)
・採用や研修を担当する人事部スタッフ(同8年目)


Q:なぜこの会社で働こうと思ったのですか?

プランナー:東京ゲームショウのイベントで、ボルテージと出会ったのがきっかけです。当時、進路に悩んでいたのですが、ボルテージの選考結果が早く出たのと、いろんなことに挑戦できそうだなというイメージも持てたので。

エンジニア:若い社員が多くて、楽しく働けそうだったから。RPGゲームなど、ストーリー性のあるゲームを扱う企業を探していました。

人事部スタッフ:人と関われる仕事を中心に選びました。すごく小さい企業でもなく大きすぎる企業でもないのがちょうどいいと思いました。

Q:笑顔になるときはどんな時ですか?

プランナー「120%のシナリオができたとき」


シナリオライターさんが書いてきたシナリオが、想像以上の出来栄えだったときですね。自分の熱量がライターさんにしっかりと伝わるコミュニケーションが取れたからこその結果だと考えています。

エンジニア「大きな案件を達成した時」


大きな案件を達成すると、その達成感から、つい笑ってしまいます。

人事部スタッフ「何かを作り上げられたとき」


私の仕事は支える側ですが、社員や学生さんの役に立つ研修やインターンシップが作れた時、苦労が報われたと感じます。

Q:世の中にどんな価値を提供していますか?

プランナー「人生に足りないものを埋めている」


見た目も性格も完璧な人はいません。その足りないところを、コンテンツが埋められることもあると思っています。そういうものを提供するのが、自分の価値だと思います。

エンジニア「胸キュンを安定的に届ける」


皆さんの胸がキュンキュンするようなコンテンツを(技術で)安定的に届けられる環境(インフラ)を整えていることです。

人事部スタッフ「よりよい職業選択の手助けをしています」

人事部スタッフ「よりよい職業選択の手助けをしています」

よい選択のためにはたくさんの情報を提供する必要があります。お互いに協力し合って善い意味での影響が与えられると思っています。

Q:働くことの意味は?

プランナー「幸せの循環を作る」


自分が楽しく幸せに働くなかから生まれたものでユーザーさんに楽しんでもらい、幸せになってくれたら、その幸せは巡り巡って自分にも返ってくると思っています。

エンジニア「自分にだけ提供できる価値」


誰にでもできるような仕事だったとしても、自分が取り組むことで、よりよい結果を出せるようにすること、自分なりの視点で最適な選択をすることを考えています。

人事部スタッフ「働きがいのある企業にすること」


社員にもユーザーさんにも、ボルテージの存在が素晴らしいと思ってもらえる企業になればいいと思っています

人気キャラは?「心に何かを秘めているタイプ」

ゲームに関する質問は、司会の社員が一つ一つ答えていきました。訪問先の企業にボルテージを選んだだけあって、ゲーム愛溢れる質問が沢山寄せられました。一部を紹介します。

Q:恋愛ゲームを作る上で大切にしていることは?
A:日々のユーザーさんの声ですね。様々な要望をいただきますが、可能な限り耳を傾けて反映してきたいと思っています。

Q:キャラクターのモチーフになっている人物はいるのですか?
A:
「イケメン」俳優をモチーフにしたり、歴史もののゲームなら、歴史上の人物をモチーフにすることもあります。

Q:ゲームに出てくるキャラクターは、どんなタイプが人気ですか?
A:
心のうちに何かを秘めているキャラクターが人気を集めています。10年ほど前は「オレ様」キャラが人気だったそうなんですが、今はマイペースだけどいざという時に頼りになるようなタイプが人気だそうです。皆さんはどうですか?

ゲームに登場するキャラクターと一緒に記念撮影

Q:利用者の年齢層は?
A:20代後半~40代の女性で、通勤や家事の合間に楽しめるように想定してシンプルなゲーム構造にしているそうです。男性は30-40代だそうです。

Q:ゲームのシチュエーションはどうやって考えるんですか?
A:会議で話し合います。といっても「女子トーク」のように和気あいあいとした雰囲気の中で生まれてくることもありますし、日常でこれ、いいなと思ったら書き留めておいたり、市場偵察ではないですが、対象になりそうな人がいそうな場所に出向いたりすることもあるそうです。

Qゲームのキャラクターの声優はどうやって決めているのですか。
A:キャラクターとブレが生じないように選びます。新しいキャラクターが出る際には、オーディションで決まることもあります。

質問を通じて感じたこと、わかったことをワークシートに書き込んでいきます。

Q:推しのキャラクターを教えてください。
A:社員に聞いたら、自分が担当するコンテンツのキャラクターを推すと思います。新人のプランナーは、まず「自分の担当するキャラクターを愛しなさい」と指導されます。なぜかというと、自分で愛せるようなキャラクターを作り上げないと、ユーザーに届かないと考えているからです。

Q:達成感が一番得られる瞬間はいつですか。
A:自分が担当した作品に対する反応はSNSですぐわかります。結果によっては、つらいこともありますが、面白かったです、感動しました、と意見をいただく時、達成感ややりがいを感じます。

終了後、司会の人事部の方に感想を伺いました。

「普段の企業訪問でお話している内容に加え、事前にたくさんの質問をいただいたこともあり、改めて職種別に社員から話を聞く機会を持ちました。こういう仕事をしているのか、こういう気持ちで働いているのか、と人事として分かった部分もありました」

「社会に提供している価値など、深い質問も多いのも印象的でした。自分の仕事の「価値」を考える機会など、普段はなかなかありません。質問された社員も、自分と仕事を振り返るきっかけになったようです。私たちも勉強になりました」

「働くとは、お金がすべてではない。人生の価値を産むために好きなことをやることだ」

社員からのメッセージを生徒たちはどう受け止めたのでしょうか。9月の事後学習で、発表した学びの成果を「採用広告」のかたちで表現しました。

ボルテージ1のグループ発表から
「二次元好きの人には魅力的な職場だと思います。イケメンや美女のキャラクターに囲まれ、現実ではないドキドキ感を味わいながら仕事できるのも魅力です。ゲームのキャラクターはリアルな俳優さんをイメージすることもあり、ユーザーに人気なのは銀髪系とか。インタビューした3人の社員さんからは、仕事が楽しいという雰囲気が伝わってきました。ユーザーの幸せを作っていました」

「私にとって働くとは、お金を稼ぐことです。あとはやりがいを見つけること。自分に合わない仕事は三日で死ぬと言っていた。誰かの役に立つ幸せづくりに貢献したいです。誰かの役に立ったら、嬉しいじゃん(笑)!」

ボルテージ2のグループ
「企業訪問で印象に残ったのは、『幸せの循環を作る』と社員さんが言った言葉です。職場の環境は特定の席がなく自由に仕事ができ、斬新で働きやすそうと感じました。私にとって働くとは、世の中に幸せなものを届けることができると感じることだと思いました」

そしてワークシートには、こう書かれていました。事前学習で考えた質問に、自分の言葉で答えてくれた社員のメッセージが、生徒の心に届いている様子が伺えます。

「印象に残った言葉は働いて幸せづくり。ユーザーさんに貢献している。私にとって働くとは、お金を稼ぐこと・やりがいを見つけること・誰かの役にたつ幸せづくりに貢献すること」

「『お客様に安定した胸キュンを届ける』という言葉が印象的だった。私にとって働くとは、お金がすべてではない。人生の価値を産むために好きなことをやることだ」

<ジョブトライアルとは>
これまでの職場体験は、受け入れ先の職場の補助的な業務に生徒が取り組み、そこでの体験を振り返る流れが一般的で、ただの「お手伝い」で終わってしまう例も少なくありません。本来目指す、職業観やキャリア観の醸成につながる機能が十分果たせていないという指摘もあります。そこで、時代に即した新しいプログラムとして開発したのが「ジョブトライアル」。教育と探求社の探究学習のノウハウが盛り込まれた教材です。キャリアチェンジが常識となる「人生100年時代」の価値観を踏まえた「キャリアプランニング能力」の向上を図ります。

お問い合わせ先: 教育と探求社「ジョブトライアル」担当 (info@eduq.jp)

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