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【探究学習】必要なのは「イマドキ感!」野菜と恋する「乙女ゲーム」の世界観

「大自然と人間の『ドキドキな関係』をつむぐカルビーのシン・サービスを提案せよ!」

こんなお題が出たら、どんなサービスを考えますか?

クラーク記念国際高等学校横浜青葉キャンパスのチーム「カルビーム」は、“自然”“ドキドキ”の意味を捉え直し、野菜と恋する乙女ゲーム「やさいとドッキドッキ農業ライフ」を提案しました。

イマドキのゲーム要素を詰め込んで野菜に関心がなくても楽しんでもらえるゲームのプレゼンの様子をお伝えします。

探究学習の祭典「クエストカップ2022全国大会」。全国の中高154校の4098チームの応募があり、審査を通過した261チームが参加しました。今回は企業探究部門「コーポレートアクセス・グループE」で準グランプリを受賞したクラーク記念国際高等学校横浜青葉キャンパスのチーム「カルビーム」が提案した乙女ゲーム「やさいとドッキドッキ農業ライフ」を紹介します。動画は、こちら(01:30ごろから開始)。

こんにちは!私たち、「カルビーム」です!

私たちに与えられたミッションは、「大自然と人間の『ドキドキな関係』をつむぐカルビーのシン・サービスを提案せよ!」です。

「ドキドキ」ってなに?

まず、このミッションの「ドキドキ」とは何だろう?「ドキドキ」ってなんだと思う?

えー、ドキドキ?恋したときとか!

そうです、「ドキドキ」とは感情。感情とは日々の生活から生まれるもの。生活は生物たちとの共生からきているーーと考え、「ドキドキな関係」とは「共生」関係と解釈し、私たちは大自然と人間の共生関係で心をつむぐ「心・サービス」を提案しちゃうぞ!

でも待って、このままじゃ問題あるよね?

「大自然」ってなに?

ひとつめ!
大自然って、なに?

山・海・動物など、「自然」はこの世のあらゆるものの総称であり、抽象的な言葉です。いったいどの自然を指しているのやら?

私たちは、カルビーと縁の深い「野菜」を自然の定義とします。

カルビーに必要な「イマドキ感」

ふたつめ!
「カルビー=お菓子」という固定概念です

世間一般的に、カルビーといえば「お菓子」と答える人が多いのではないでしょうか?しかし私たちはこのミッションを成功させるため、新たなステージへと踏み出すべきなのです!

カルビーでは現在、お菓子の販売や「折パケ※」やルビープログラム※や工場見学など、環境と食の未来について深く考えたサービスを提供していますが、今カルビーに必要なものは……そう!

イマドキ感ー!!

※食べた後の空き包装を小さく折りたたんで捨てるまでを「折パケ」と命名。家庭ごみのかさを減らし、ごみ袋の量を減らすことにつなげるカルビーの運動。運動の促進の一環で専用スマホで折パケを撮影、ポイントをため賞品と交換するキャンペーン「ルビープログラム」を展開しました。

野菜と恋する乙女ゲーム

そこで私たちは、野菜と人間のドキドキな関係をつむぐ、「乙女ゲーム」の開発を提案しちゃうぞ!

その名も、「やっさいとドッキドッキ のーぎょーLIFE」です!

こちらをご覧ください。これは農林水産省の農業労働力に関する統計の表です。

平成27(2015)年から比べて、令和2(2020)年には、「基本的農業従事者」は約30万人減り、平均年齢も少し上がっているのがわかります。農家が減ると、食料自給率の低下、耕作放棄地の増加による景観の悪化など、私たちの生活に大きく影響してきます。

この現状を打破するため、若者や女性に対して興味を持ってほしい。そこからさらに、農業者へと進む選択肢を作ってあげたい。

そのために、野菜を買う側から育てる側へと意識を変えるべきなのです。

ターゲットは、「#前髪の乱れは心の乱れ」(※)、女子高生を中心とした若年層の女性とし、女子高生が好きなものは、ずばりイケメン。

時代と共に新しく変革し、「ゲーム」という我々人間になじみがあるもので、自然とより近く親しみやすさを求め、野菜をイケメン擬人化し、野菜とじっくりコトコト愛をはぐくむ乙女ゲーム「やさドキ」を開発します。

※#前髪の乱れは心の乱れ=TikTokなどで使われているハッシュタグ

ゲームの内容

ゲームのヒロインは、ターゲット層をふまえ、私たちJKと同年代の一人娘。

農家の一人娘のあなたがある日、家の手伝いをしていると野菜が突然「イケメン」に?なんとその「イケメン」と同棲まで!あなたはいったいどうなっちゃうの?

さらにフードロスについての理解を高めるようなストーリーとして、あなたはあるとき実態を知ることになる。とてもショックを受けるでしょう。

メインストーリーでは、ストーリーでのあなたの言葉の選択次第で、イケメンとの未来が変わっちゃうんだって!

「ハピエン」になるのか、「バドエン」になるのか、最後までわからないから、ストーリーを何周か見たい!ハピエン厨、バドエン厨、その他もろもろがつまっている。

※ハピエン(厨)、バドエン(厨)は、ゲームや漫画、アニメの結末の内容を指す。厨がつくと「ハッピーエンドが好きな人」、「バッドエンドが好きな人」になる

メインストーリー以外に、また別の機能として、イケメンと交流する機能を設けます。一定の好感度を獲得すると個人ストーリーが解放。メインストーリーとはちがう、新たな恋を育んじゃおう。

プラス、交流の中でイケメンを自分好みに育成できちゃう。与える食べ物や会話など、あなた次第で「イケメン」が変わっていきます。

「イケメン」と関わるだけでなく、農業体験ができる農作業機能も。

都市に住んでる人間は、農業と関わる機会がほとんどありません。そんな人たちにも間接的に実際に農業とはどんなものかを分かってもらうために、バーチャル世界で、できる限りリアルな農業を再現し、野菜を一から育てます。

そのあいだに「イケメン」との交流で好感度が爆上がりするチャンスも。収穫した野菜を調理すると好感度アップアイテムになります。「イケメン」に与えちゃおう。

次にゲームをダウンロードしてもらうために、魅力的なゲームの仕様をご紹介!

その1!
初期十連ガチャ、リセマラ(※)やり放題。

※ゲームでボタンを押すとランダムでアイテムがでることを「ガチャ」といい、1度のクリックで10回分のガチャができる機能を10連ガチャという。スマホゲームでインストールとアンインストールを繰り返すことをリセットマラソン(略称:リセマラ)という。

その2!いろんなキャラのメインイベントが均等にくるようイベントを常に開催


その3 !
ゲーム画面を見てて楽しめるようなクオリティの高いグラフィック

その4!
農業と関わりがない人でも理解しやすく、中身の詰まったストーリー。

どうだ?やりたいだろう?

やりたいー!

収入源は、課金限定アイテムなどによるゲーム内課金とゲーム内での広告収入。

リアル世界にも影響を与えるため、ゲームと連携し、バーチャルとリアルの世界をまたぎ、イケメンに栽培のノウハウを教えてもらいながら室内に葉野菜やハーブを栽培できる栽培キットの販売。

カルビー製品のパッケージに、ゲームのキャラクターを起用。カルビーの利益を広げていきます。

カルビーの企業名に、野菜、そしてイケメン。この3つの要素があれば国内外でバズること間違いなし。

「やさドキ」は大ブーム、同時にカルビーの株は大上がり。カルビーは海外の商品を出していることと、ゲームの世界で楽しまれていることから、「やさドキ」が海外で流行れば、消費者、知名度もアップ。

自然と人間の関係と、カルビーの利益に貢献できる、Win-Winな企画だと思いませんか?

私たちはこの乙女ゲームを通して、農業の知識や農家の現状、自然の恵みの素晴らしさを少しでも多くの人に伝えたい。

そこから若者たちの意識を変える一つのきっかけになりたいです。

私たちの発表は以上になります。ご清聴、ありがとうございました!

審査委員コメント

カルビーの社員の方からは、

「今後の日本の大きな社会問題である『大自然と人間の関係』というテーマに対して、彼女たち目線で、独特な世界観で解決していくサービスで、とても我々大人の社員では思いつかないようなサービスだったと印象に残りました。小芝居とか名ゼリフも入っているところも魅力的でした」

また審査委員の方々からは、

「『ドキドキは共生』『自然は野菜』と、ばっさり解釈を冒険していて面白かった。野菜を擬人化して育てるという案も、ピグマリオン効果で『いいな』と思っているとニンジンがイケメンになっていって、そのニンジンをフードロスにしてはいけないという思いにつながってよいと思った」

「世界観がよかった!やはり新しいものは妄想から出るなと感じさせられました。ビジネス系のプレゼンでこんなにときめきを表現できているのが見てて楽しいし、一方でグラフの部分など論理的なところはその温度感でお話されていて、学ばせていただくことが多かった」

「私は国家公務員で官僚になって、日々国会審議などの対応をしているのですけれども、なぜ若い人に言葉が届かないか、今日よく分かりました。大人の出したお題も、若い皆さんがこういう形で咀嚼して形にしていくことで、世の中は確実に進歩しているんだなと実感しました」

といったコメントがありました。

みなさま、ありがとうございました!

【参考】
探究学習はじめの一歩!【実例】探究学習のテーマ16種
「探究学習」の最先端 教育と探求社の総合パンフレット
教員向けイベント情報

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